管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

名前負け



 春の引越しシーズンが終わり、住民の入れ替わりが一段落しました。毎年この時期になると、「今年度分の住民名簿」を作ります。(なぜか、管理人の仕事。でも、他人がやるより自分がやったほうがいいので、これは文句はいいません。

 今年は個人情報保護法の関係で、2種類作らなければなりません。せっかくなので、2種類とも一から作り直しました。

 Aは、個人名と部屋番号だけのシンプルなもの。これは、管理人室内の壁に貼ります。万一他人に見られてもいいものです。
 Bは、電話番号や、駐輪場の番号、駐車場の番号、ペットを飼っているかいないか、銀行の口座番号(管理費の未収の管理までやっている関係で)など、かなり詳しい情報を載せたものです。これは、デスクの引き出しに鍵をかけて保管しておかないと怒られます。

 ところで、Bを作り直す際、いつもは苗字しか見ていない私ですが、下の名前も着目しました。というのも、今年の入れ替えでは、S木さんという人が二人も入ってきたため、マンション内で「S木さんが7世帯もいる」という珍しい事態になってしまたからです。W辺さんも4世帯います。N沢さんも4世帯です。今は、郵便物も、郵便局だけでなく、いろいろな業者から配達されますので、「S木さんて何号室ですか?」と聞かれることも多々あります。「どのS木さん? 下の名前は?」と尋ねなくてはなりません。
 そんなわけで、下の名前も気にしながら、名簿を作っていったら、ある「法則」が浮かび上がりました。「正」とか「忠」とか「真」とか「誠」とか「信」とか「清」とか「義」とかの文字が、名前についた人ほど、”問題児”であるということです。管理規約や細則を守り、管理費の滞納もしない、いわゆる我々にとっての「優等生住民」には、こういった文字はあまり見受けられません。「勘弁してくれよ〜」と悩みの種の人ほど、こういう名前なんです。間違ったことばかりする人が「正」だと、なんかねえ? 名前に負けてませんか?

 こんな話を、休憩中に清掃パートの人としてたら、「親は、”こうなって欲しい”という文字を子供につけるのよ。つまり、その親にないものを子供の名前につけるの。だから、その子供はその親の子供だから、そういった文字に値する人はいないの」とおっしゃいました。
 なるほど、一理あるなあ。確かに、「美」という文字がついた名前を持つ女性に・・・・。おっと失礼!

 やばい。私にも「豊」という文字がついてるけど、ど貧乏です。やはり、名前というのははかない望みを託すものなんでしょうか?

(私の友達で、動作がすべてスローモーな男がいるんですが、名前は「俊敏」です。)


2005/6