管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 嗅覚 いろいろな臭い 




  
 最近、女房に、「あなた、年とって嗅覚衰えてきたんじゃないの?」と言われたことがあります。こういうのって、なかなか自分ではわからないんですが、やはり、加齢と共に衰えるものなんでしょうか? 老眼はかなり進みましたが。

(そういえば、上岡龍太郎は嗅覚がほとんどないそうで、「食べ物の臭いなんか全然気にならない」と、昔、テレビで言ってました。)

 つい先日、東京の板橋では、管理人夫妻が殺され、ガス爆発という悲惨な事件がありましたが、今朝、当マンションの近くで、ガス漏れがあり、周辺が大騒ぎになっていました。その場所を通りがかった住民によると、「すごいガス臭かった。ガス会社はもちろん、警察・消防も出動して大変な騒ぎだった」とのことです。家庭内のガスというのは、ガス漏れ安全装置があるはずなんですが、万能ではありません。板橋の事件でも、「安全装置が作動しないような量のガスを噴出させた」と犯人は言ってます。
 私は現場に行ったわけでもなく、最後まで見ていた人もいないので、原因がなんだっったのか、今の段階ではわからずじまいなんですが、今日の巡回は「そうか、ガス漏れというのも気をつけなければなあ」と思いつつ、鼻に神経を傾注して歩きました。

 そうすると、ふだんはあまり気にしないでいる臭いが不思議と気になってくるもんです。季節は初夏、玄関の扉を開けっ放しの家庭も多いため、部屋の中の臭いが外に出てきます。
 そんな感じで巡回すると、さまざまな臭いがあることに気づきます。「今日はラーメンか」「カレーだな」「ハンバーグ焼いてるぞ」「おっと、キムチだ」といった食べ物の臭いは一番わかりやすいです。それから、玄関扉の上の通風孔からはお風呂の石鹸の臭いもしてきます。「昼シャンでもしてるのかな?」といったところです。また、上の階に上がると、近所の工場の臭いがしてきます。そういえば、昨年は近くでマンションの建設工事をやっていて、基礎工事の時は、土壌の臭いがなんとも気持ち悪かったのを思い出しました。

 こういった、わかりやすい臭いもあれば、「なんなんだろう?」という臭いもあります。「その部屋特有の臭い」とでもいいましょうか。最近はアロマなんかも流行ってますから、そういうにおいもあります。
 「老人臭」といったものもあるようです。お年寄りの部屋は、夏に開けっ放しにする人が多く、(ク−ラ−が嫌いな人が多い)、部屋のにおいが漏れてきます。老人の部屋に共通の臭いというようなものがあります。根拠はないのですが、「こういうのが老人臭なのかな?」と思いながら、歩きます。

※そういえば、老人臭のことを専門用語では「加齢臭」というそうで、最初、音で「カレイシュウ」と聞いたときは、カレーライスの臭いかと思いました。

 まあ、とにかくいろいろな臭いがするものです。若い女性の単身部屋だと、やたら、化学物質の臭いがします。マツキヨなんかにいくと、すごい種類のスプレーや化粧品類(デオドラント?)が陳列してますから、今の女性(男性も?)は、そういうものをガンガン消費して臭いを出しているんでしょう。ホームセンターへ行けば、消臭剤専用のコーナーもあるし、臭いがたくさんあるんだなあ、と感じます。そして、消臭剤そのものの臭いも放出されるわけで、余計に臭いがマンション中に広まります。

 臭いって不思議なことに、自分の臭いは気にならないもので、学生時代に下宿していた時も、自分ではまったく平気なのに、来客が「臭い」とかいいます。逆に、友人宅を訪れると、その友人は何も気にしてなくても、こっちは「臭いなあ」と思うことがよくあります。
 きっと、私も加齢臭で臭くなってるんでしょうね。管理人室も芳香剤でも蒔こうかなあ。



2005/6