管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
「紹介制度」 という業界の慣習 |
まず最初にお断りしておきます。
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このサイトは、空想することが好きなHP管理人「トホホ」が、「自分がもしマンションの管理人だったら、どんなことが起きるだろう」と、頭の中で考えたことを書いています。そして、その内容はすべて”愚痴”です。「マンション管理人だったら、こんな愚痴を言うだろうなあ」と思って書いてます。たいそうなものじゃないです。
ですから、ここに書かれていることは、個人名・団体名・地名・出来事等、ほとんどフィクションです。(一部、マスコミ記事などから引用した出来事の中には真実もあります) そのつもりでお読み下さい。
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マンション管理に関して、マンション住民が書き込む、某掲示板を見ていたら、気になる意見がありました。
「中古マンションの場合、売買があると不動産業者から管理人に情報料が入るそうです。毎月のように引越しがある、うちのマンションでは、管理人は相当儲けているのでは?・・・・・。こんなこと許していいのでしょうか?」というものです。文面から察するに、憤慨されているようです
う〜ん、するどいことに気づいてしまいましたネエ。この制度、業界人なら誰でも知っていることですが、一般の人には知られてはいけないことなんです。(道路公団の談合みたいですが)
業界人の反発を考えると、本当は書きたくないんですが、この方は、「管理人は居住者の情報を横流しして、年に数十万稼いでいる・・・」みたいな論調なので、誤解してます。本当のことをお伝えしておきたいと思います。
私もこの仕事をするまでは、そんな制度があるなんて知りませんでした。ですから、「あれ、新しい管理人さんですか? あの、こういう制度がありますので、売却を考えているようなお客さんがいたらぜひ紹介して下さいね」と、不動産屋がパンフレットを渡してきた時はびっくりしました。これは、管理人専用というわけではなく、誰に対しても配布しているものなのですが、「ご紹介していただいたお客様が成約された時には2万円差し上げます」と書いてありました。中古マンションを売買したことのある人なら、見たことがあるかもしれません。「今度、どなたか知り合いの方が売買する際に、当社を勧めていただければ、お礼をします」というものです。こういう制度というのはどこの業界にもあるもので、ネット上のアフィリエイトなんかも、同じ性質のものです。ただ、「管理人が紹介してもお礼がもらえる」というのは初めて知りました。
誤解しないで欲しいのですが、この制度、どこの業者でも全部やってるわけではありません。営業力の強い大手不動産会社は、大量のチラシを蒔き、管理人からの情報がなくても平気なのでやってません。どちらかというと、さほど営業力の強くない中堅の会社に多いようです。「多額な広告宣伝費をかけるより、そっちのほうが安い」という考えです。また、管理会社D社のように、自社グループ内に、不動産仲介会社を抱えているところでは、これを積極的に管理人にやらせているケースもあります。
管理人の中には、「紹介料で稼ごう」と思っている人もいるかもしれません。でも、どうでしょうか? 「この家はそろそろ売買を考えている」なんていうプライベートのことは、我々にはなかなかわかりません。うちのマンションの居住者だって、「売買の契約が済みましたので報告に来ました」という事後報告のタイミングであり、「そろそろ売ろうと思ってる」なんてことをいう人なんて、ほとんどいないし、「売ることにしたので、○○という業者に任せた。今後、見学の客が来るかもしれないからよろしく」と挨拶してくれる人も皆無です。つまり、よほど、家庭内のことに通じていない管理人(地獄耳)じゃないと、「この人はそろそろ売ろうと思っている」なんていうことはわからないのです。スパイ並みに盗聴でもしない限り、情報を得ることはできません。ですから、紹介のしようもないんです。
私の場合、過去に1回だけ、「管理人さん、うちの部屋、売却するつもりなんだけど、どこかいい不動産業者知りませんか? 教えてください」と聞かれたことがあります。「教えてください」と依頼されれば教えます。
こんなこと管理人に言ってくるのは非常に珍しく、今までで、1回きりです。この時は、「あ、そうだ、例の業者を紹介すれば、もしかすると紹介料がもらえるかも」と思い、その業者を紹介しました。実際、そういう紹介料を出す業者というのは、草の根の営業を大事にしているため、仕事が丁寧ですし、そのマンションのことも詳しく調べていて、無責任に「ペットOKですよ」なんて宣伝しないし、管理人になんでも断ってから動くし、優良な業者です。管理人と対面で情報を得ようとするのですから、管理人を裏切るような行為はできないのです。マスメディアを利用する大手会社の場合は、「管理人のことなんて関係ない」という態度ですから、チラシにウソを書いたり、いい加減な仕事をします。
ですから、その業者を紹介することはいいことです。ただ、「1社だけ紹介するのもなんだなあ」、と思って、うちのマンションをよく扱っている大手業者も加えて3社を紹介しました。そうしたら、結局、大手を選んでしまい、私に紹介料は入りませんでした。「1社だけ紹介すればよかったなあ」と、後の祭りです。ただ、この業者、社員もいい人で好感を持てるんですが、いかんせん、売却に関する営業力が弱いんで、広範囲に客を呼んでくるということに関しては、大手の後塵を拝しています。このため、「この会社が絶対にいいですよ」とは勧められないのがつらいです。
そんなわけで、私は一度も紹介料をもらえませんでした。そして、この4月から、「個人情報保護法」の関係で、管理会社の指示で、不動産業者と話をすることも禁じられておりまして、今後ももらえることはないでしょう。ちょっと残念。
前述の書き込みをした、何も知らない住民は、「毎月1回程度引越しがあるから、相当儲かっているだろう・・・」とおっしゃってますが、そのマンションの管理人さんも、よくて年に1回もらってるかどうか?だと思います。この人は、”引越し=売買”だと思っているかもしれませんが、住民の入れ替わりが多いのは実際には賃貸です。賃貸部屋の入れ替わりは売買ではないので、中古売買不動産会社は関係ないです。そして上記の通り、「すべての業者が紹介料をくれるわけではない」「管理人に相談することなく、業者を選定している人がほとんど」という条件では、紹介料は期待薄です。
世の中、そんなに甘くないですよ。誤解しないで下さい。真実はこういうことです。わかりましたか?