管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 表札出しましょうよ




 
 以前も書きましたが、マンションでは、部屋に表札を出さない、郵便ポストにも名前を書かないところ、がけっこうあります。この傾向は増えているそうで、いまや、一戸建てでも無記名のところが多いそうです。当マンションでは、「新入居の案内」にも、「表札を出して下さい」と明記し、掲示板にも時々、同様のことを訴えてはいるものの、出さない人は出しません。

 毎日巡回して、すべての部屋を見回っているものの、表札がないと、私もなかなか部屋と名前が一致しません。(頭が悪いので) 
 以前は、胸のポケットに超小型版の「携帯用、住民一覧表」というものを入れて歩いていたため、わからなくなると、すぐにそれを見て、「あ〜、この部屋はK林さんか」と判明したのですが、ある日、その表を落としたことがあり、「個人情報漏洩だ」などと、拾った住民から怒られてしまい、その後は携帯しておりません。

 6月〜7月はお中元の時期です。管理人は不在荷物の預かりという仕事があり、忙しくなります。しかし、忙しいのは預かる仕事だけではありません。中元とか歳暮の時期は、アルバイトの配達員が大勢やってきます。こういう人は当然、当地区は素人です。表札に名前がないと、「○○○号室って、T橋さんで間違いないですか?」とイチイチ私に確認してきます。これがけっこう面倒な仕事です。「N村さんて、何号室ですか?」「え? N村さんは4人いるよ。下の名前は?」というやりとりも頻繁です。これも、表札がないためです。アンド、荷札にきちんと部屋番号を記載していないからです。

 マンションには多種多様の人が来ますから、200以上の世帯を抱える当マンションで、イチイチ、相手していたら疲れます。でも、怪しい奴が無断で立ち入るよりは、管理人室に立ち寄って質問するほうが、防犯上安心、という面もあります。相手の顔を見ますから。

 最近は、宅配各社が「メール便」というものに力を入れており、この数が増えています。郵便局と違って、宅配業者は転居情報を掴んでいないため、転送がうまくできずに、「転出済みの部屋あての手紙を届けてくる」ということが、よくあります。困ったことに、飛脚が目印の会社は、「あて先の名前と表札の名前が合致していなても、投函してしまえ」と指示を出しているようで、”表札がなくて名前が確認できない部屋”はもちろん、”表札があって、メール便のあて先と名前が違っているのが確認できる部屋”でも、おかまいなしに投函していくのです。この中には、かなりの数の誤配があります。これは、すべて、「なんだ、うちのじゃないよ。間違いだよ」と管理人室のカウンターに置いていかれます。メール便の外袋にはたいてい、「間違いの場合は、配送センターへ電話して下さい」と書かれているのですが、そんなことする住民は誰もいません。全部、管理人の仕事だと思っています。ですから、私の毎朝一番の仕事は、管理人室のカウンターの上に置かれた誤配メール便の処理から始まります。業者によっては、フリーダイヤルでないものの多く、こういった電話の費用もバカになりません。もちろん、私の労力も相当なものです。

 飛脚さん、管理人に自分の仕事を押し付けないでくれませんかねえ。これだけ、協力しても、いままでにタオルの1本ももらったことないです。

 表札といえば、しつけの悪い、悪評たらたらの犬の名前を併記している部屋があって、「バカじゃねえの!」と、いつも思っています。犬の名前なんか出すなよ。何も知らない人は本当の家族(人間)だと思ってしまいます。
 
 


2005/7