管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 優秀なフロントマンの見分け方 近隣挨拶 

こういう配慮が欲しいのだが・・・・



2014/4

 
 「マンションの管理の質は、担当するフロントマンの資質によって決まる」
なんてことがよく言われます。そして、「どういうフロントマンが優秀なのか?」を記述している「マンション管理士」さんのブログも見受けられますが。

 私が思うに、「このフロントマンはたいしたものだなあ」という人が、過去に、一人だけいました。それはこういう人でした。
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私が管理室の中にいた時に、見知らぬ男性が2名やってきました。一人は背広姿、もう一人は作業着です。背広君は、「私は、実は、あそこのマンションの管理をしているABC管理の鈴木と申します。実は、本日より、そのマンションの管理人が替わりまして、今、ここに連れて来た山本というものが新しく勤務することになりました。なにぶん、管理人業務は初めてなもので、未熟ゆえ、こちら様のマンションにもいろいろとご迷惑をおかけするかもしれませんが、なにとぞ、どうか、よろしくご指導のほどお願いいたします」と頭を下げました。そして、近所のお菓子屋の和菓子の詰め合わせを一折渡しました。
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こういうことって、なかなかできることじゃないです。実際、長年、管理人業務をやってますが、これ1回きりです。

管理人って、ほとんどが「一人だけの勤務」ですし、フロントマンが現地にやってくることも少ないし、フロントマンは管理人業務のことを良く知らないし、実際のところ、あてになるのは「近所の別の管理人」だったりすることが多いのです。

私も初心者の頃は、「どうしたらいいのか?」不安なことばかりで。フロントに電話をしても、適切なアドバイスはしてもらえず、「適当にやっておいてよ」とか言われてしまうし。特に、ゴミ分別の方法が劇的に変わった時期だったので、業界全体が「どうしたらいいんだろう?」と混乱していました。それで、ご近所の管理人さんのところをまわって、ちょっとしたお菓子類を渡して、「すいませんが、**のことを教えてくれませんか?」「なんかいい方法はないでしょうか?」と頭を下げて教えを乞うたものです。

それに、最前線の管理人というものは、そんなに「他社排斥意識」はなく、「同じ仕事をしている同志意識」のほうが強いので、「教えて下さい」と頼まれると、けっこうみなさん、親切に教えてくれるものです。ですから、他社であっても、頭を下げて、「教えて下さい」「よろしくお願いします」とお願いすると、いろいろと教えてくれるものです。やっぱり、現場のことは、現場で働いている人が一番よく知っているし、頭のいい管理人さんは、独自に優秀なアイデアを持ってたりするし。けっこう助かりました。       
 
こういうことをわかっているフロントマンであれば、新人管理人といっしょに、近所の同業者を回って、挨拶をすることを考え付きます。わからないフロントは、「なんで、他社の管理人に頭を下げないといけないんだ」と思うことでしょう。

でも、ほんと、「教えを乞う」という関係だけではなく、「仲間内でくだらない話をする」だけでも、仕事の役に立つし、ストレスの解消(管理人業務はストレスの塊みたいな仕事だから、これは大事)にもなるんです。それだけ、近隣管理人との「ふれあい」は大切なことなんです。

なかなか、管理人単独で突然、全然知らない人のところに行くのは大変だし、勇気もいることでしょう。でも、フロントが付き添って2名で行けば、相手もじゃけんにはしません。

こういうことがわかっているフロントは優秀な人だと、私は思います。(まず、いないけどね)