管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

情報開示
徹底した情報公開こそが、良い管理組合の条件


 
 
 HPお友達の「ほととぎす」さんのマンションのゴタゴタ?を見ていると、「隠すのが一番悪い」「都合の悪いことも含めて、なんでも公開すればいいのに」と思います。

 この業界ではよく言われることですが、再度言いたいです。「情報公開こそが一番大事」と。

 先日、当市自治体主催で「マンション管理セミナー」というのが近くの公会堂であり、参加してきました。(無料だったので) もちろん講師ではなく、一傍聴者としてです。わりと革新的な市長ですが、私を講師として呼ぶほどの見識はありません。
 その中で講師が繰り返し言っていたのは、「広報をがんばることが一番大事」ということでした。こいつ、なかなかできる男です。この講師の意見と、私の意見を合体させて、以下のように提案したいと思います。
 

○理事会は毎月開催する。役員は全員参加させる。世帯主が無理な場合、家族に出席してもらう。

○理事会開催予告掲示を必ず出す。その中には検討事項を具体的に提示して、「この件についての意見を求めます。理事会参加も歓迎します」と一般組合員からの意見・情報を募集する。

○理事会が開催されたら、すぐに議事録を発表する。(1週間以内が望ましい) 「議事録は管理会社が作成するので、できあがるのが遅い」のであれば、「管理組合新聞」などを役員で作成し発表する。

○議事録や新聞は、掲示だけではなく、毎号全戸配布する。賃貸部屋など、組合員が外部に居住する場合、郵送・FAX・電子メールなどの手段で配信する。「全戸配布するなら掲示はいいのでは?」という意見もあるが、来客に、「このマンションの管理組合はしっかりしているぞ」と教える面もあり、掲示もしたほうが良い。それに、配布物は、郵便ポスト前のゴミ箱に直行する可能性も高いから。

○議事録や新聞の内容は、「理事会の結果、○○を行なうように決まりました」と結果だけを数行で伝えるのは、不十分。「どのような意見が出されたか」「それに対してどのような反論があったか」「どういう理由で結論に達したのか」「賛成票数は? 反対票数は?」など、決定に至る経緯を公開することも非常に大事。
(※管理会社に作成を任せると、管理会社に不利なことは、官僚の文書と同様、隠蔽されるから要注意)

○「写真」や「見積書などの実際の資料」を議事録の付録につける。

○そして、発表した内容についての組合員の意見質問を受け付ける体制を作る


また、
○少しでも重要度の高い案件の場合、理事会前にアンケートを実施し、役員だけの意見では決めない。
これも大事なことです。

 なにかと疑惑の種になりやすい、高額な工事については、「なぜ、この業者を選んだのか?」「どういった見積もりが出たのか?」、これらもすべて公開すべきです。
 それから、工事については、「一番安い見積もりの会社にした」というのが、他の組合員の理解が得やすいですが、「一番安い会社の担当社員が頼りない。質問しても返答が遅い。多少高いが、営業社員がしっかりしている会社にした」というのも、悪いことではありません。理由さえはっきり公開していればOKです。実際問題、「安かろう悪かろう」という業者は多く、優秀な役員がいるマンションでは、「最低価格の次に安い業者にするのがベスト」としているところもあります。 工事というのはあとあとのこともあり、安さだけで判断すべきではありません。品質を吟味しないといかんです。
 たまたま、選定した業者が手抜き工事をして、あとから住民から、「なんであんな業者を選んだんだ」と非難されても、「”理事会で業者説明があるから、一般組合員も出て欲しい。意見を言って欲しい”と頼んだのに、出なかったあなたが悪い。意見を言う資格はない。我々は素人なりにがんばって選定した」と、胸を張ればいいのです。こそこそと非公開で業者を決めれば、あとで不都合があった際には、役員が責任を負わなければいけません。

 このように、徹底的な情報公開をすれば、不正はできないし、役員があらぬ疑いをかけられる心配もありません。また、これだけ、「一般組合員の意見をくみ上げる」仕組みを作ってあれば、「そんなこと知らなかった」「役員だけで勝手に決めやがって」といった批判は通用しません。「情報に目を通さない」「自分の意見を言わない」のが悪いのですから。


 企業の不祥事もそうですが、「隠そう」とすると、どんどん悪循環で悪いほうに傾いていきます。良いことも悪いこともすべてさらけ出すのが、一番なのです。
  
 管理組合というと、「なんでも理事長が決めている」「理事長のわがままで動いている」と思われがちですが、あくまでも「役員による多数決」で決められていて、正常に機能している理事会では、理事長のわがままは通用しません。
 「あの失敗は理事長の責任だ」と言われても、「いや、私はあの時、反対したが、他の役員が賛成したから、私の意に反して可決されたんだ」と、審議の過程も記録に残してある議事録なら、弁明ができます。
 また、このように情報公開が進んだ組合では、理事長への信頼度がアップし、「台風で、○○が壊れた。すぐに直さなければいけないが、理事会を開催している暇はない。設備管理担当役員と二人で相談して、緊急復旧工事を実施した」と発表しても、「しょうがない」「あの理事長なら大丈夫だ」と皆さんが思うでしょう。ただ、このような緊急時でも、理事長独断で決めずに、役員の一人(副理事長が妥当かな)を組み込むことが大事です。「単独ではなく、複数で決めた」というのがポイントです。
 そして、理事会開催前に、このように臨時に行なわれた工事のことの仔細も、次回の理事会議事録の中に文書としてきちんと残しておくことが肝要です。理事会議事録とはいえ、その内容は、その一ヶ月間に行なわれた組合活動すべてを記録に残しておくと、あとあとで役に立ちます。


 逆に言うと、議事録というのはそれだけ大事なものであり、管理会社のフロントに代筆を頼むようなものではないのです。理事会席上でのすべての言動を記録に残すべきです。手間を惜しんで、「決定事項」だけを羅列する、手抜きの議事録を作ってはいけません。

 ほととぎすさんのところのように、1回こじれてしまったマンションは、マンション管理士さんとか第三者を入れて、組合運営方法を再構築したほうがいいんじゃないでしょうか? 公正な立場の第三者というのは貴重な存在です。宮城県も警察と県庁で情報公開をめぐってもめてます。公開しないから疑惑が生じるのです。




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2005/9