管理人はつらいよ
マンション管理最前線
「また貸し」してはダメです 駐車場 |
規約違反も甚だしい
突然管理員室の前に現れた老紳士。
「お宅のマンションで、駐車場探している人いないかなあ?」
「はあ、いますよ。たくさん。それがなにか?」
「いやねえ、私、すぐそこのマンションの部屋を所有している会社の者なんだけど、うちで持っている駐車場が空いていてねえ、誰か他の人に貸したいんだけど、紹介してくれない?。チラシ作ったんだけど、このカウンターに置いてもいいかな?」」
「ちょっと、待ってください。まず、当マンションではチラシをポストに投函するのは条件付でOKですが、カウンターに置くことはNGです。それに、おたく、マンションの駐車場を勝手に第三者に貸していいんですか?」
「大丈夫、管理組合に相談してOKをとってあるから」
「え? 本当ですか? おたくのマンション、よく知ってますけど、世帯数が100以上はあるでしょ。それなのに、駐車場はわずか10台程度。空き待ちしている人がいっぱいいるんじゃないですか?」
「そりゃいいんだ、関係ない」
「え? 本当ですか? まずくないんですか? 第三者に貸して営利行為をすると、下手すると、駐車場全体に課税されるかもしれないですよ」
・・・・・・
「いや、けっこう、それじゃ」 と逃げるように出て行ってしまいました。一部もらったチラシは、とても素人とは思えない立派なもので、よくみると、会社の名前は、不動産屋みたいな名前でした。どうやら、本職のようです。
翌日、そのマンションに赴いて管理人さんに事情を話しました。
「え? そんなことやってるの? それ、○○エステートっていう不動産屋だよ。4○3号室のオーナーで社宅として使ってるんだ。ここ数ヶ月駐車場に車置いてないから、変だなあと思ってたんだ。」
「それでさ、また貸ししてもいいの。”組合の許可を得た”、って言ってたけど」
「うそうそ、そんなのウソだよ。組合も許可出してないよ。うちのマンション、駐車場が空くのを待ってる人たくさんいるんだから。車がなくなったのなら、待っている人に権利が移るよ。他人にまた貸しなんてとんでもない。そのチラシって、現物ある?」
「はい、これ」
「うわー、ひどいなあ。これじゃ、チラシ見た人は信用して借りるよねえ。まずいなあ。完全な駐車場利用契約違反だよ。まいったなあ、メチャクチャだなあ、あの会社。だから、会社所有の部屋って嫌いなんだよ」
「じゃ、どうするの?」
「あ、私から、管理会社と組合理事長に報告しておくよ。今回はどうもありがとう。助かったよ。」
「でも、このチラシ、すでにいろいろなところで配ってるんじゃないかなあ。契約結ばれちゃったあとに、”利用できない”ことがわかったら、トラブルになるね」
「そうだねえ。めんどうなことにならなければいいけど。とにかくすぐに手を打つよ」
こういうやりとりでした。
それにしても、不動産屋だったら、管理規約や駐車場の利用方法など、精通しているはずなのに。それなのに、また貸しするなんて、おそらく確信犯です。悪質です。こんな「犯罪者」まで管理人は相手にしなければなりません。
2005/9
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