管理人はつらいよ
 緑と清掃 |
秋です。そろそろ落ち葉の季節です。マンション管理の側からいうと、非常に嫌な季節です。（幸い、当所は雪国ではないので、「雪かき」などの重労働は、そんなにないだけ幸運ですが。雪国の管理人さん、これから大変ですが、がんばってください）
落ち葉掃除というのは大変な作業です。一度きれいにしても、毎日のように落ちてくる葉っぱを相手にしては、また翌日掃除しなくてはなりません。当マンションのように敷地が広く、植栽の面積が大きく、かつ年数が経過し、木が大木化しているところでは、ほんと大変です。それでなくても、住民のマナーが悪く、葉っぱ以外の掃除だけでも大変なのに、落ち葉が加わると、清掃パートさんは大忙しです。でも、愚痴ひとついわずに、毎日精勤されています。ほんと、頭が下がります。高度経済成長を支えてきた年代の方のパワーには恐れ入ります。落ち葉のピーク時は、毎日、７０リットルのゴミ袋に２つは溜まります。毎回、生ゴミ置き場ででかい顔して置かれています。
当マンションの場合、建設当初からあった樹木の他に、住民が勝手に植えた樹木がたくさんあります。栗の木まであります。ビックリです。２０年もたつと、立派な木に育ち、実もなります。でも、勝手に植えた木です。本来、「共用部分の私物化」で、違反のはずです。植えた時は小さくても、「木は育つ」ということを考えて欲しいです。２０数年も経てば、それらの木の持ち主も、すでに引っ越した人も多いでしょう。今では、誰のものかさっぱりわかりません。植えたご本人も、ほったからしで、剪定、落ち葉の面倒、害虫駆除もみんなこっちでやってます。迷惑です。また、地上の幹が育てば、地下の根も育つわけで、所々、地面のコンクリートが盛り上がって割れているところもあります。水道業者に聞くと、根が張ることによって水道管が破裂することもあるそうです。植物の力を甘く見てはいけません。
秋というと、イチョウです。イチョウというと、太田胃酸ではなく、銀杏です。落ちると臭いです。住民の中には「食べる」つもりでわざわざ拾う人がいて、掃除の手間がはぶけますが、駐車場のところにあるイチョウの木は、車に、次次と実が轢かれて、路面に摺りこまれ、悪臭はするし、掃除しにくいし、困ったものです。
桜の木も、住民にはありがたいものでも、我々には、迷惑な存在です。春の花びら、これも大量です。細かいので掃除がしにくいです。その後「花があった茎」の落下、そして、受粉したサクランボの落下、地面にグチャっと落ちます。これがベタベタするんです。箒や塵取りも汚れます。（一部は鳥が食べてくれたりしますが） 秋の葉っぱ、大量です。管理的には疫病神のような存在です。これに害虫が加わると最悪です。
サザンカや椿などに沸く、チャドクガは、消毒液を散布すると、数秒後に地面に落下します。これを始末するのも清掃の仕事です。触るとかぶれる毒物ですから、慎重に扱わないといけません。
木が伸びて、街路灯を塞いでいるところもあります。来週、植栽剪定がありますから、そこも切ってもらわないといけません。うちのように、大きな木が多いマンションだと、植栽業者も「高所作業車」が必要になります。
緑は環境のためにはいいんですが、管理する側にとってはとんだお荷物です。そして、我々が植栽に苦労していることを住民はまったくわかっていません。
一階住居の住民の中には、自分のベランダ前の落ち葉を掃除する人がいます。でも、この人、落ち葉を箒で掃いて、よそに移動させるだけなんです。集めて捨ててくれるわけではありません。結局、捨てるのは当方の作業です。
敷地の一画でも区切って、そこに落ち葉を集めて、「腐葉土」でも作りたいです。ゴミとして燃やすよりはずっといいと思います。
先日見かけた新築マンション。最初から植栽の先端が照明灯にかぶさって、光を遮っています。どういう設計をしてるんでしょうか？ 数年後は完全に隠れますよ。
＜2005/10/22＞ ３日間におよぶ、年に一度、秋の植栽剪定が終了しました。この作業、剪定自体も大変ですが、後片付け、つまり切った葉や枝の処理が、かなり大変です。量もものすごいです。毎年、３t車の荷台に４台分くらい排出します。産業廃棄物扱いになるらしく、処理費用もバカにならないほど高額だそうです。我々の落ち葉拾いは生ゴミで出してしまいますが、業者の剪定ではそうはいきません。今年来た業者さんは、市の清掃局と同じようなゴミ回収車を自前で保有していました。これだと、機械で圧力を加えて詰め込むことができるので、見掛けの体積以上に多くの葉っぱを積むことができます。また、オープンな荷台ではありませんから、輸送の途中で道路に葉っぱを撒き散らすこともありません。さすが、大きな会社は装備が違いますね。高所作業車も自前で持ってるし。すごいです。
こんな状態なので、植栽管理の費用というのも、年間で百万単位になってしまいます。緑の維持というのは大変なんです。
それから。剪定業者さんもがんばって、かなりきれいにしていってくれるんですが、細かな枝葉がどうしても残ります。また、剪定後に風が吹いて新たに落ちてくる枝葉もあります。その掃除は我々の仕事。これもけっこう大変ですよ。住民の人は誰も気にかけませんが。
2005/10
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