管理人はつらいよ
マンション管理最前線
奥さんに逃げられた旦那の悲哀 |
管理人は、住民の家庭内には干渉しませんし興味もありません。玄関ホールでの井戸端会議では、「***号室の**さんのおうち、離婚したらしいわよ」とか、そういう噂話で賑やかですが、聞く気にもなりません。
とは思っていても、どうしても、そういうのにかかわらないといけない場面もあります。
@ゴミ置き場に、「まったく、一切、分別されていないゴミが出され、毎回、回収拒否になって、放置される」というゴミがあります。さすがに放置できないので、袋を開けて、中味を確認します。こういう人は「隠す」つもりもないので、何回か調べると、名前の書かれた封筒とか出てくるので、わりと簡単に持ち主がわかります。
「**さん、ゴミの分別はちゃんとしてもらえませんか? 皆さんの迷惑になるんですけど」
「うるさい! こっちは女房に逃げられて、男一人なんだ。ゴミの分別なんか、いちいちやってられるか!!」
と怒られたりします。
A「**さんの部屋で火災警報器が鳴ってる!」というSOSが管理室に来ました。
**さんの部屋へ行って見ると、中で、ご主人が白煙もうもうの中、一人であたふたしていて、「この警報、どうやったら止められるの?」と困っています。奥さんに逃げられて一人住まいになってしまい、自分で料理をするようになったのですが、魚を焼く際に失敗して煙がすごいことになってしまったようです。「換気扇を回さないで魚を焼く」ってこと自体が、「料理したことない」って証拠で。男一人だと生活するのも大変なんです。この男性は、逆切れはしませんでしたが、逆に、「愚痴」を長時間聞かされました。
Bある強風が吹いた日。マンションのお向かいの一戸建ての住民から、「風向きを考えると、これ、おたくの住民のものだと思うんだけど、洗濯物がハンガーごとまとまって、どうちの庭に飛んできたんだけど。困るのよね」と苦情をいただきました。調べた結果、やっぱり、当マンションの住民の洗濯物でした。
ここも、奥さんに逃げられて一人になった男性の部屋でして。「天気予報で強風が言われているのに洗濯をする」「物干し竿への固定方法を知らずに、ただ、ひっかけただけ」という、いかにも、男やもめの悲哀さと言うか、そういうのがしみじみ伝わってきました。これも、25分間、愚痴を聞かされました。
こうやって、関わりたくないし、知りたくもないのに、「++さんのところは、奥さんが出て行って、今、旦那さんが一人暮らし」ってことがわかってしまうわけでして。
「逃げられた」ではなく、「奥さんが病気で入院した」場合なんかも同様にことが起きます。
それにしても、過去に「一人暮らし」の経験のない男性が、いきなり、一人暮らしに追い込まれると大変ですねえ。まともな生活ができなくなります。 一人暮らしは若いときに1回は経験しておくといいですよ。
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