管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 まずは現場に行きましょう 

2014/5




 
 映画「踊る大捜査線」で有名になったセリフがありますが、私も、「現場第一主義」です。

 管理人室の窓口に、「東棟の駐輪場の置き方がひどいよ。もっとちゃんと整頓できないのか?」とか、住民から苦情が来た場合。普通は、管理人は毎日巡回しているから、そこの現場のことも想像できるので、管理室の中だけで、「皆さんの置き方がひどいのでどうにもならないんですよ。組合さんには言ってるんですが、何も動いてくれないんです」などと弁解して、それで終わりです。
 でも、苦情主からすると、「オレの要望に対して、管理人が体よくあしらった」「何もしてくれなかった」「オレを無視した」という悪い印象を持つでしょう。実際問題、管理人が何もできない案件というのはたくさんあって、「どうしようもない」って面はあるんですが、同じ「何も対応できない」であっても、やり方があると思うのです。

 大事なのは、現場に行って話すこと。

 今回の話題でいえば、管理人としては「そんなの、見なくてもわかるよ。あそこは、毎日巡回してるんだから」と思うかもしれませんが、まず、「じゃあ、現場に行きましょう。見てみましょう」と、管理室の外に出て、苦情主といっしょに現場に行くんです。

 そして、現場で、苦情主と話すのです。そうすれば、苦情主側からすれば、「現場に行った」というだけで、「オレの要望を無視しないで対応してくれた」という印象になります。
 その後、苦情主は当然、「これを見てくれよ。ひどいだろ」ってことになります。管理人としては「知ってるよ」と思うでしょうが、これも、素直に聞きましょう。苦情主は、言いたいことを言ってすっきりしたいんですから。
 現場で、実物を見ながら、指を指して、「これがこうで」・・・・と、ある程度、好きなことを言えば、その後、「でも、何もできないんですよ。すいませんね。力が足りなくって」と、管理人から「できません」という答えを聞いても、結果的には、「6割くらいはすっきりした」ってことになるんです。
 管理人テクニックとしては、ここで、デジカメを取り出して写真を撮り、「この写真を理事長に渡して、再度、検討してもらうよう、頼んでみますよ。住民から具体的に苦情が出れば、なにかしら動かないとまずいですから」と回答すれば、苦情主の「スッキリ感」はさらにアップすると思います。(どんな苦情が出ても、組合が動かないことは知っていますが、そのことは言いません)

 このように、同じ「できない」でも、やり方次第で、印象はずいぶん変わるんです。

 それに、「自分ではわかっているつもり」でも、実際に、現場に行って、細かなところを指摘されると、「あれ、これはこうだったのか」と新たに発見する場合もあります。そうすれば、的確な対応ができます。やっぱり、現場に行くべきです。
 なお、人間の言葉の中の、「すごいことになってるんだ」「あれはほんとにひどい」とか、そういう形容詞というのは、人によって基準が様々です。客観的に見て「たいしたことない」ものでも、その人によっては「大惨事なんだ」という場合もあります。そういう形容詞に惑わされないためにも、やっぱり、現場を見るべきです。

 なお、住民の中には、具体的な場所を説明せず、「あのよお、あそこのあれがさあ。あれなんだよなあ。あれじゃあ、あれだよなあ。なんとかあれしてくれよ」と、「アレアレ語」で話してくる人がいます。(高齢者の多い当マンションでは、ほんとに多いです) この場合も、「あれって、どこのことですか?」などと聞いて、「あれはあれだよ」とか、不毛な会話に時間を費やすよりも、「いっしょに行きましょう。案内してください」としたほうが全然早かったりします。

 そんなわけで、とにかく、「まずは、デジカメ持って、現場へ急行」というのが、「いい管理人」だと思います。「管理室を離れると、万一、電話とかが来た時に対応できない」とか言う人もいますが、やっぱり、現場が大事ですよ。

 これから、管理人になる人とか、参考にして下さい。









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