管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 ペット委員会 

なんにもやってないよ



 
 読売新聞で「マンション快適ライフ」という連載があり、読んでいます。前回は「ペット」でした。そして、「飼育者で構成する”ペットの会”」のことが書かれていました。

=互いに飼い方などをチェックしあうとともに、何か問題が起きた際に、相談や苦情の受け皿になることで、ペットのいない住民の理解を得られやすいという効果があるようだ= と書かれています。

 記事の中のマンションは、「以前は禁止。しかし、ペットクラブを作って全員が参加することを条件に、飼育可能に変更した」マンションです。これは、うまくいっている例であり、読売のことですから、非飼い主のことをきちんと調べもせずに、書いたと思いますが、とにかくうらやましい内容なので、ここに記載します。

「ペットを飼う際は、隣などの住民の了解を得た上で、管理組合理事会に申請し、許可を得ることが必要。そして、ペットクラブに強制加入する」
・・・隣戸の了解って大事です。当マンションでは、「ペット委員会に入りさえすればOK」という制度で、お隣さんに挨拶すらせずに飼い始める人がほとんどです。

「会員からは入会金1万円、月会費1000円を集めて運営に充てている」
・・・これくらいお金がかかると、安直に飼い始める人を抑制できます。また、何かお金が必要になった際の資金も豊富です。当マンションでは、ペット細則の中に、「会費を徴収してペット委員会を運営する」という条文がありますが、実際は会費はとっていません。それに、何か問題が起きても、飼い主がお金を出すことはせず、仕方なく、管理組合から支出されます。

「散歩の際に、自分の犬のフンでなくても拾うようにしている」
・・・素晴らしいですね。こういう活動をしていれば、マンション内どころか近隣の住民の理解も得られるでしょう。当マンションでは、マンション敷地内に放たれた糞尿であっても、「マンション住民の犬がやったっていう証拠あるの? ないのに、文句言わないでよ」と言われてしまう、お寒い状態です。たしかに野良猫のウンコもありますが、今は近隣に野良犬はいないため、大きなウンコは間違いなく○○○号室のレトリバー犬のもの(目撃証言もあり)なんですが、飼い主は、「写真とかビデオで証拠があるのならともかく〜」という姿勢を崩さず、一切の責任は取りません。結局は我々が掃除させられます。おまけに、近隣住民から、「お宅のマンションの犬がうちの家の前で毎日オシッコするのよ。迷惑だわ。あんたから注意しといてよ」と管理人が怒られています。
 当マンションで、ペットOKに変更された時の総会では、「マンション内のフンは、誰の犬猫の糞だかわからなくても、ペット委員会が責任をとって掃除します」という発言があったそうで、「そういうことなら許そう」という話になったそうですが、残念ながらその発言はペット飼育細則に条文化されておらず、加えて総会議事録にも記載されておらず、このために、非飼い主は「言った」と主張し、飼い主は「言わない」「忘れた」と主張し、平行線で揉めています。ウソついてまでも、飼育OKを無理強いしたんですネエ。ひどいもんだ。ちなみに、この時の総会議事録を調べてみると、総会参加者はわずか2割弱。その他はほとんどが委任状提出者。強硬に反対した人もいたようですが、わずかに数名のみ。大半が「議長に一任」じゃ、多数決制度では簡単に採択されます。まあ、その時は、「飼育を認めて欲しい」と言っているのはほんのわずかな住民だけでしたから、今のように、全住民の2割以上がペット飼う「動物園マンション」の状況など予想もしなかったのでしょう。無関心・無知・無能が生んだ悲惨な結末です。(ちゃんとしたアドバイスをしなかった管理会社の責任も大)

「月に2回、犬のしつけ教室を開いたり、年に1回、猫の健康診断を実施している」

・・・これもうらやましいですね。きちんと躾して無駄吠えをしなくなるようになると、ずいぶんいいんですけどね。ろくな躾もせずに飼っている人がほとんどの当マンションでは、トラブルばかりです。

「ペットクラブの活動や、苦情への対応策などを記載した会報誌を全居住者向けに年に3〜4回発行している。迷惑をかけないように努力していることを知ってもらうことも大事」
・・・素晴らしいですネエ。当マンションでは、広報はなんにもないです。管理人でさえ、ペット委員会の会員を把握していないという、実にお寒い状況です。一般居住者なんてほんとに何にも知らされていないです。「名簿を作って管理組合に提出してください。入退会があったときは連絡してください」と委員長にお願いしていますが、なしのつぶてです。





 トラブルに対処する際、我々管理人があてにするのが、管理規約や使用細則です。ペット飼育細則も作ってあるんですが、ゆっくり読んでみると、いかんせん、お粗末な内容です。(以前も書きましたがまたまた書きます)

「飼育は原則1頭」・・・”原則”ってなんですか? これじゃ、実際は何頭でも飼えるじゃないですか???

「体長制限○センチ」・・・まず、犬や猫の体長の測り方を具体的に明示していないのがダメです。「うちのダックスは背の高さは規定内だから飼えるでしょ!」 ダックスの背の高さなんて小さいに決まってるじゃないですか? また、「成犬時の大きさ」と明記しないとだめです。子犬の段階で「制限内です」とラブラドールレトリバー(大型犬)飼う奴がいるんですから。

「飼育細則の冊子を持っていない人が大勢いる」・・・持っていないなら、委員会でコピーして渡すべきなのに、何にもしない。おまけに飼い始めようとする人が細則を読まずに、ただ、「委員会に入ればいいんでしょ」と飼い始める。委員会といっても何にも活動はしていないため、委員長の家のポストに「○号室の○○です。犬飼います」と手紙を入れれば、それで自動的に登録OKみたいな状況になっている。「ペットのことはすべてペット委員会で処理する」となっているため、管理組合も何にもしない。

「飼育細則では、"細かな点は、別途定めるペット委員会規則による”と書かれているのに、肝心のペット委員会規則が決められていない」・・・総会議案が可決したら作る予定だったらしいですが、ペットOKになって安心した飼い主がなにもせずに放っておいたため、いまだ委員会規則ができていません。永遠にできないでしょう。”会費をとるはずなのに、とらない”"委員会の会合がほとんど開かれない(2005年はゼロ回)””飼い主の最新名簿もない””苦情の受付もしない””当然、トラブル対処も何にもしない”といった、ないないづくしの現状は、このことが原因です。管理人の手元には昔もらった名簿がありますが、犬・猫の欄に、「マリア」「トビー」といった犬の名前が書いてあり、犬種すら書いてありません。これじゃ、名簿の意味がないです。どんなペットを飼っているかさえわからないのですから。改善を求めても何もしてくれません。


 マンションという共同生活の場で、ペットを飼おうなんて考える人間はろくなもんじゃないです。事実、ゴミ出しマナーの悪い家、総会に出席しない家、近所とトラブルになる家、こういった問題のある部屋のほとんどはペット飼育をしています。はっきりいいますが、飼い主はろくでなしです。委員会の活動が事実上休眠していることをいいことに好き勝手やってます。

 それに、不動産屋の「ペットOK!」の広告のために、新しく引っ越してくる新住民の8割以上がペット連れです。ですから年々増える一方です。そして、「厳しい審査があるかと思ってたのに、何にもないじゃない。委員会に申し込めばそれだけでOKじゃない。楽勝ね」と思った飼い主は飼い方がルーズになります。他人に迷惑をかけても平気なんです。おまけに、他の住民は「どこの家でどんなペットを飼っているのか?」「委員会はどんな活動をしているのか?」、何にも知らされていないため、迷子の犬が他人の家に侵入しても、どこの飼い主のものなのかもわかりません。SOSを受けて、私が急行しても、管理人自身が把握していないため、「私にもこの犬がどこの犬なのかわからないんですよ」と答えるしかないです。(昼間散歩に出かけさせている犬ならだいたいわかるんですが)

 管理組合にしても、「うちは関係ない。委員会に任せている」じゃ、だめなんです。しょせん、委員会は飼い主だけの集まりです。ろくでなししかいない委員会で、ろくな対応ができるわけないじゃないですか? 委員会に組合理事会から非飼い主の役員を送り込んで監視させないとだめです。


 今回の読売新聞で取り上げられたマンションのペットクラブの会長さんを招いて、当マンションで講演会を開きたいですね。マジ。


(近隣のマンションのペット飼育者の会では、毎年定期総会の資料に、「最新名簿」と称して、ペット全部の写真入りのカラーの名簿を加えて、全戸配布しています。もちろん制作費は会費で賄ってます。それぐらいするのが、飼い主として当然だと思いますが、皆さん、どう考えます?? 私だったら、「飼い主の顔写真も掲載して欲しい」と主張しますね。今のマンション、近所づきあいが希薄ですから、「あれは誰?」ってことが多いですから。飼い主側も自分の顔写真を全戸配布されれば、まじめに飼いますよ。きっと)


2005/12



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