管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

賃貸部屋のペット飼育申請 応対は大変



爬虫類は困ります


 このマンションも賃貸化が進んでいます。賃貸の部屋はいろいろ問題が多く何かと疲れます。

事例@

 ある空室に突然引っ越し業者が荷物を運び入れてきました。賃貸部屋です。入居する本人からも、その部屋を取り扱う不動産業者からも、引越業者からも、何の事前連絡がありません。一般常識からしたら信じられませんが、このマンションではよくあることで、もう驚かなくなりました。
 それにしても、引越業者というのは、テレビCMでは親切丁寧真面目みたいな宣伝をしていますが、事前連絡がないとしても最低限、その当日に、「これから、引越業務を行わせていただきます。つきましては、トラックはどこにつけたらいいでしょうか?」くらいの挨拶はあっていいものです。研修で教えないのかな? しかし、それもなしに、勝手にトラックを敷地内に乗り入れ、好きなところに置いて、荷物を降ろし始めました。井上和香さん、あなたが宣伝している会社です。

 さて、引越作業が始まったわけですが、ここで早速トラブル発生。「いや〜ん、○○ちゃんが逃げちゃった〜!」 どうやら、この新入居者、犬を持ってきたようです。そんなことも何も聞いていません。
 裏のほうでも、「キャー」とか悲鳴が聞こえます。犬が苦手なDさんの奥さんの声です。おそらく、その犬が裏に行ったんでしょう。飼い主に教えてあげて、回収してもらいました。初日から困ったものです。
 目の前で引越をしているので、いちおう、管理人としてのひととおりの業務をします。「管理規約やペット飼育規約は読みましたか?」などなどです。ただ、このマンションは申請書類などがきちんとしていないため、口先だけでなんでもOKになっちゃうんで、これが困ります。
 「規約の本ですか? あ、もらってます。中も全部ちゃんと読みました」「あ、そうですか? それじゃ、ペットの申請書をあげますから、記入して提出してください」「はい、わかりました」
 本当にわかってるのかな? わかってたら、引越初日に犬を放しちゃうなんてことないはずなんだけどなあ。

 数日後、新入居者が書類を管理室に持ってきました。なんか、記入内容が変なんです。「あの〜? ちゃんと飼育規則読んでますか?」「読んでますよ」「読んでたら、ここ、わかるはずなんですけど。飼育規則って、この冊子のことですよ。これ、持ってます?」「え? それですか? いや、知りません。私がもらったのは、紙2枚のものですけど」・・・・
 あ〜あ。やっぱりね。この人が、管理規約や飼育規約だと思っているのは、どうやら、仲介の不動産屋と交わした契約書の付録のような冊子のことのようです。だいたい、
察しがつきます。ここの大家(区分所有者 管理組合員)は、とにかく、いい加減なんです。そして、不動産屋も。以前も、「賃貸入居者には必ず管理規約冊子をコピーして渡して、読んでもらって下さいね」と念を押したんですが、全然気にしてないようです。区分所有者から提出させる「賃貸使用申請書」に、「規約を渡しました」というチェック欄を設けるべきですネエ。こういう、申請書類なんていうのは、どこのマンションも同じなんだから、管理会社としてきちんとしたものを用意しておいて、それを使うようにすればいいと思うんですが、大手の管理会社でも、このへんはいい加減です。やっぱり、私が作らないとだめかなあ? そんな面倒なことしたくないんだけど、書類が整備されていないと困るのはこっちだからなあ。。。。

 そんなわけで、規約冊子を渡して、「これをよく読んでからまた再度飼育申請をして下さい」といったん、お引取り願いました。翌日、「全部読みました。大丈夫です、規則は守ります」と、お見えになりました。こんどは書類の中身も大丈夫です。

 これで、一段落のはずだったのですが・・・・・・・

 1ヵ月後、この部屋の仲介をする不動産業者から電話がありました。「管理人さん! ○○さんって、犬飼ってるの?」「ええ飼ってますよ。申請を受けました」「ちょっと待ってよ。勝手にそんなこと許可しないでよ」「許可するもしないも、規則を守れば、このマンションでは飼えますから、申請を拒絶するわけにはいきません。どうしたんですか?」「あの部屋の賃貸契約には、ペットOKなんて書いてないのよ。ペット飼われると、部屋は汚れるし、臭くなるし、痛むでしょう。大家さんが嫌がるのよ」「それは私どもとは関係ないです。そちら様の問題でしょう」「今ね、揉めてるのよ。”管理人がOKしたんだからいいでしょ”って、○○さんは主張しているわけ。でもね、大家さんは承認してないの。区分所有者が承認してないのに、なんで受理するの?」・・・・
 
 (なんじゃい、そりゃ?) 私、顔が歪んできました。長州小力じゃないんで、キレました。「いい加減なのはそっちだろ! 新しい入居者が来ることすら連絡せず。管理規約も渡していない。そっちが、そんなふざけたことやってるから、こういう問題が起きるんだ。管理会社のせいにするな。ふざけるな、ドアホ!」 まくしたてました。(ひどい管理人です)

 でも、これくらい、ガツンと言ってやらないと、あの業界の連中は反省しないんですよ。ヒューザー見てればわかるでしょう。ああいう業界体質なんです。

 このあとは、「保証金を10万円とることで話がついた」そうです。でもね、この部屋って、前いた人も犬飼ってたんだけどなあ。この人は大家に無断で飼ってたのかなあ? ペット飼う人間はろくなもんじゃネエ。(by 長淵)


事例A

 先日入居してきたばかりの賃貸入居者(@とは別の人。この人も何の連絡もなく入ってきた人。しゃべるのは初めて。)。御近所の噂で、部屋の中に犬がいることはだいたいわかっていました。「無断で飼うのは困るなあ」と常々思っていたのですが、犬を抱いて歩いているところを見たわけでもなく、注意できません。
 そんなある日、その人が管理室にやってきました。

 「あの〜、管理人さん。実はうちの実家で犬を飼ってるんですよお。母が犬が好きで。その母がですねえ、先月、脳溢血で倒れまして、今入院してるんですう。うぐぐ。・・・ (ここで、彼女は涙を見せて、悲痛な表情を見せる) それでえ、犬の面倒を見る人がいなくてえ・・・ (この時点で私としては、「いったい、この女性は何を言いたいんだ。家族の事なんか私は関係ない。さっぱりわからん」と困惑) 今、私の部屋で面倒を見てるんですう。あくまでも、母の犬であって、私の犬じゃないんですよう。預かってるだけなんですう。でも、母の病気が重病でしょう。どれくらい長い時間、預かるか、わかんないんですう。  うぐぐ。 (また、涙がポロリ)  そんなわけで、しばらくの間、私の部屋の中に、犬を置いてもいいでしょうか?」   
「はあ?」(by魔邪)

 いろいろ話をしている間に、事情がようやくわかってきました。この人、どうやら、当マンションでは、「現有一代限りのペットは飼育できるが、新たなペットの飼育はできない」と勘違いしていたようです。たしかに、もともと飼育禁止のマンションが、例外的に飼育を認める際に、「一代限り」という条件をつけることはよくあります。というわけで、管理人である私に、涙混じりに事情を説明して、「なんとか飼育を許可して欲しい」と、泣き落としにかかったようなのです。(この人も、管理規約持ってないんでしょうね)
 「規約を守れば、飼えますよ」と説明すると、今までの涙はどこへやら。「え? そうなんですか。知らなかった。そうなんだ。あ〜、よかった」と台風一過のような明るい顔になりました。
 次の週の土曜日、この女性が母親らしき人と、犬を連れて歩いているのを見ました。「脳溢血で入院中」もどうやら、仮病だったようです。

 
 管理人は、こんな人たちの相手もしています。超つらいよ。




2006/2



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