管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

仏壇が燃える よくあるんです






 さっき、ある住民(Aさん)から、SOSの電話がきました。

「お父さんが燃えている! 助けて!」

 電話でいきなりこんなことを言われて、何がなんだかわかりません。詳細を聞こうとしても、相手の言葉は要領を得ず、不明です。でも、電話のむこうで、「火事です」という、おそらく、「住宅火災警報器の声」が聞こえたので、「火事だ」と思い、管理室の消火器を手に持ち、かつ、すぐに119通報できるように、自分の携帯を持って、その電話主の部屋に行きました。

 中に入ってわかりました。「お父さん」というのは、仏壇のことでした。つまり、「2年前に病死したご主人を祀っている仏壇」という意味でした。
 火事自体はそんなにたいしたことはなかったので、消火器ではなく、(消火器はいったん噴射すると、消火剤が大量に撒かれて大変なことになって、あとかたづけが大変なんです) バケツに水をくんで、それをかけて、消火しました。119にも通報しないですみました。(本人が、「通報しないで下さい」と言うので)

 原因は、仏壇の「ろうそく」でした。なんでも、昨日、お孫さんが、珍しく、学校のテストで「100点満点」をとり、うれしくて、その答案用紙を、おばあちゃん(=Aさん)にあげにきたそうです。Aさんは、バカな孫が100点をとったことを喜び、「ねえねえ、お父さん、**ちゃんが、学校で100点とったのよ」と、その、テスト用紙を仏壇に飾ったそうです。そして、ろうそくの火が、そのテストに引火し、その後、御札にも引火し、般若心経の経本にも引火し・・・・と、 ちょっとしたボヤになってしまったようです。(この仏壇、紙類が多すぎる)

 さて、このマンションでは、アロマキャンドルの火事も、経験がありますが、震災以後、多いのが、この「仏壇のろうそく」の火事です。

 また、世間一般でも。ちょっと調べただけでも、この「仏壇火災」、相当な数があります。
参考  https://www.itscom.net/safety/column/163.html
http://kizahashi.blog-myoshin.net/?eid=623892
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-kouhouka/pdf/220917.pdf




 当マンションでは、震災後、放射能の影響なのかどうかはわかりませんが、とにかく、大勢の人が病死しています。異常な高率です。(おかげで、管理会社としても、名義変更だ、部屋の売却だ、なんだと事務仕事が増えて大変) 高齢者がほとんどですが、40代で突然死した人もいます。
 高齢の夫婦の場合、どちらかが死ぬと、残されたほうがは、独居老人となります。単身者です。そして、高齢者は仏壇を大事にしますから、毎日、線香をあげます。火災原因が発生するわけです。そして、単身になると、「ボケ」が始まるケースが多くなります。今回のように、ろうそくをつけたまま、台所に行って料理を始めてしまうわけです。単身だと、火事に、気づくのは遅いし、気づいてからの対応も、一人では適切にできません。それで、119通報する前に「管理人に電話する」なんてことをするわけです。まあ、今回は、その対応が正解でしたが。でも、「ボケ」と「慌てている」ということで、正確に状況を伝えることができません。ベテランの管理人じゃないと、適切な対応はできないでしょう。

 というわけで、震災後、多くの人が死に、仏壇が増え、単身者が増え、そして、火事が増えています。困ったものです。亡くなった方を大事にしたいキモチはわかりますが、できれば、単身高齢者の方は、仏壇で、火を使うのはやめたほうがいいと思います。今は、「電気のろうそく」とかありますから、味気ないものですが、そういうもので代用したほうがいいと思います。火事で自分が死んだら、なんにもなりませんからねえ。
 また、単身高齢者の家庭では、ご家族縁者の方が、「電磁調理器に変えてあげる」とか、そういう配慮があるといいです。やっぱり、「火」は怖いですから。

 なんやかんやと、高齢者マンションの管理は大変です。






2014/6



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