管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
高齢化 & バルアフリー設備 & エレベーター点検 |
建物が古くなれば、人間も古くなります。つまり高齢化です。
今年になってから、2軒の家で「御主人が脳障害で倒れる→車椅子生活」というケースが発生し、以前から私が組合さんに対してお願いしているように、「バリアフリー対策を本腰入れてやらないと、困る人が多いですよ」という状態になってきました。特にこのマンションでは、マンション前道路から玄関ホールに入る際に上る4段の階段が、大きな障害になっています。(これがあるから、大雨でも浸水が防げていいんだけど)
高齢者だけでなく、宅配業者・引越屋など荷物の搬入をする人にとってもネックで、いつも「ここにスロープがあればなあ」と言われています。私からは声を大きくして理事会に訴えているんですが、出席する理事会メンバーの中に障害者はいないし、今期は、若い人ばかりです。実際は高齢者がいるんですが、そういう人は「しんどいから」と言って、理事会をサボり、意見を言ってくれません。管理会社のフロントマンも若者なので、こういった問題に熱心ではありません。また、スロープを欲する人たちは、「スロープがあるといいんだけど」と管理人にこぼすことはあっても、理事会に対して正式に要請することをしません。
「私に言われても、一管理人にはなんにも権限はないんですよ。理事会のほうに正式に要請してくれませんか?」とお願いするんですが、「あたしら年寄りのために、お金を使わせるのも悪いから」とか言って、要請するのを遠慮するんです。管理人には気楽に文句を言うのに、ちゃんと要請するとなると尻込みするんです。困った人たちです。
本当は、今現在、「車椅子の人&手押し車を押しながら歩く人&いつも杖を使って歩く人」を合わせると10人は軽く超えます。また、完全に寝たきりの家庭も2軒あります。「寝たきりだから外出しないだろう」とおっしゃるかもしれませんが、時々病院に入院したりしますし、定期的にやってくる訪問入浴の人たちがバスタブを運搬するにも階段は不便です。やはり、スロープが必要です。そういう人たちが集まって意見をあわせて理事会に要請すれば、数の理論からも無視できない人数になるんですが、どうも遠慮がちの人ばかりで、愚痴だけはこぼしますが、行動に移りません。私ばかりが一生懸命訴えても、「でしゃばりの管理人」と思われていますし、どうにも改善されません。
ちょっとした工事でずいぶん楽になるんですけどね。市の助成金だってあるのに。
さて、エレベーター点検の話に移ります。点検日は一週間前から予告しています。かつ、「この時間にどうしてもエレベーターを使う用事がある人は前もって言っていただければ時間を調節します」と断り書きを書いてあります。というのも、当マンションは東棟と西棟の2基のエレベーターがあるので、どっちから先に点検するかを変更することによって、多少の時間調節が可能なのです。
「東棟で11時から引越があります。東棟の点検を10〜11時で終らせて、西棟を11〜12時に点検して下さい」と点検員にお願いして、東を先に終らせてもらったりします。
このように、前もって管理人に事情を伝えてもらえば、多少の融通がきくんですが・・・・・
この前の点検の日の話。点検している時に、私は午後の巡回をしていました。東棟の階段を歩いていました。そうしたら、西棟の階段から大きな声が聞こえます。そっちを見ると、車椅子の老婦人を4人の人がかつぎあげて階段を上っているのです。一人は車椅子の女性の御主人、残りの3人はマンションの他の住民です。そして、そのうちの一人は、先日私が「○○さん、共用廊下に自転車を置くのはやめてくれませんか? それから、犬の毛を廊下でブラッシングするのもやめてもらえませんか? せめて、その毛は自分でまとめて捨ててくれませんか? 廊下の排水溝にそのまま捨てるため排水溝が詰まってしまい大変なことになったんですけど・・・・」と苦情を言った相手でした。「うるさいわね。自分の部屋の前なんだからいいでしょ。排水溝だって、掃除するのがあんたの仕事でしょ。犬の毛はね自然と落ちるのよ」「でも、共用部分でのブラッシングは困ります。規則にもちゃんと書いてあるじゃないですか?」「そんな規則なんか知らないわよ」「知らない、って? でも、奥さん、ペット飼う時に”規則を守ります”って誓約書出してるじゃないですか?」「そんなこと忘れたわよ」 といった、話にならない話をしたばかりの人です。
このメチャクチャな奥さん、実際はこういうひどい人間なんですが、外面はいい人でして、住民の中には「あの人はいい人よ」と完全に騙されている人も大勢います。この女性、車椅子を持ち上げながら、こう言ってました。
「しかし、ひどい管理人ね。車椅子の人がデイサービスの帰りにエレベーターを使うことがわかっているのに、エレベーター点検をするんだから。障害者のことを全然考えない、人でなしよね。お年寄りに対するイジメよね。あたしもね、この前、ペットのことで言いがかりつけられたの。 このマンションはペット飼っていいマンションなのに。あの管理人、犬嫌いなのよ。動物が嫌いなんて、人間じゃないわね。悪人よ」・・・・・
といったことを延々と大声で言い続けていたのです。彼女にしたら、「これがチャンス」とばかりに管理人を中傷したかったのでしょう。ほんと、ペット飼う人間て、ろくなのがいないです。私、それを聞いて、あわてて、西棟へ移り、車椅子の運搬を助けました。私が顔出さないと、この人の罵声が終らないからです。それでも、「今頃来たって遅いわよ」と怒られました。
車椅子の夫婦には、「デイサービスに行くのなら、事前に言ってくれれば、エレベーター点検の時間をずらすことができるのに。今度からは教えてくださいね」とお願いしました。 それにしても、送迎車のスタッフも気が利きません。エレベーターが停止しているのなら、持ち上げてあげればいいのに。車椅子の運搬というのは技術が必要で、素人がやると危険なんです。特に今回のような住民は。(車輪を持つと回転して危険なのに、車輪持ってるんだから、危ないです)
今回のデイサービスとか、入退院とか、車椅子の人たちの出入りというのはある程度予定が決まっているはずです。ですから、事前に教えて欲しいです。しかし、まず誰も一言も教えてくれません。なんか、いまだに、「お上に世話になっているのは恥ずかしい。他人に知られたくない」といった思想があるようです。最初に書いた2軒の家の病気も、ご本人の家族からではなく、他人伝いに聞いた話です。高齢者や障害者の家庭には、ホームヘルパーとか訪問介護とか訪問入浴とか、いろいろな人が訪れます。それも、車で来たりオートバイで来たり、と防犯・警備の面からも情報を仕入れておかないと困るんです。何も知らないと、不審者として「あなた、何やってるんですか?」と対応しなければなりません。それに、こういう人たちも管理室素通りで挨拶もなく中に入っていくのが多いんです。礼儀知らずだなあ。このように、伝えてくれないことが結局は管理人に面倒をかけるですから、「恥ずかしい」とかではなくて、「主人が脳梗塞で倒れまして車椅子生活になってしまったんです。リハビリのために施設に通うんです・・・・」と、きちんと教えてください。そうすれば、こちらも対応できるというものです。車椅子のタイヤの空気が減ったら、空気ポンプをお貸しします。
今回のように、ちゃんと対応しないと、他住民から「人でなし」と言われるんですから、たまったもんじゃないです。
高齢化マンション、管理人はつらいよ。
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