管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

ベランダの壁 いろいろ  そして物






 マンションのベランダの壁の構造というのはいろいろです。どれも長所短所があり、「これが一番いい」というものはありません。

@鉄格子だけでほとんど丸見え
 
  最近はあまり見かけませんが、古いマンションでは多いです。公団住宅でもよく見かけます。プライバシーがさらけ出されますし、雨風が吹き込んできます。また、高い階だと、「足元まで全部見えて怖い」という点もあります。ベランダ内の物が落下しやすい、という欠点もあります。
 逆に「日が当たりやすいので洗濯物を干したり、植木鉢がある人には好都合」「エアコンの室外機の換気がしやすい」という長所もあります。
 「丸見えのため、あんまりみっともないものは置けない」「なにか変な物や規約違反物を置くとすぐにバレる」という点もあります。(管理人的には、いいことかもしれない)

 ただし、やはり丸見えは恥ずかしいらしく、個人で勝手に「目隠しボード」を設置したり、すだれをつけたり、ツタを生やしたり、と、隠すための方策をとっている人がけっこういます。 特に1階部分の人はほとんど隠しています。
 維持管理の面では、全部鉄製なので、定期的な鉄部塗装が必要(約5年毎)で、コストもかかり、大変です。
A鉄格子に一部プレートなどで目隠し

 当マンションがこのパターンです。部屋の窓の前にあたる部分に目隠し用のボードがあります。写真のように完全なボードのものもあれば、明るさを確保するためか、半透明のアクリル板のようなものもあります。
 
B半分が壁 半分が鉄格子
 
新しいマンションで一番スタンダードなものがこれかもしれません。格子部分に半透明ボードがはまっているものもあります。格子部分は鉄ではなく、ほとんどがアルミになっているため、メンテナンスが楽です。
C全部が壁
 
プライバシー重視で、こういうマンションが増えています。特に住宅密集地で、「隣の建物との距離が近い」場合は、「向こうから覗かれないよう」、全面壁になるケースが多いです。
 しかし、「全面が壁ということで、重量が重くなり、建物の外に張り出す構造のベランダとしては、建物の負担になり、危ない」という危惧があります。また、壁ですから、大規模修繕時の外壁部分に加わり、コストもかかります。それに、植物好きの人は、壁の後ろでは日光があたらないため、手すりの上に植木鉢を置いたり、植木鉢用の背の高い棚を置いたりする人がいて、落下の危険性が高いです。
柱や棒状のものがないために、「あとから物干しを別付けで設置する場合」に、取り付ける部分がなくて苦労します。
 
また、外から見えないために、ベランダ内にいろいろな物を置く人が実際は多くて、「緊急時の避難経路としてはぜんぜん使えない」のが実態です。
 
それに、「見えない」ということは、泥棒が紛れ込んでも「見えない」ことなので、防犯上は良くないです。

このタイプで、「表面がタイル貼り」のところも多いですが、タイル職人の手抜き工事で、タイルの落下事故がよく起きています。


 さて、私はAのタイプのマンションの管理人として働いているわけですが、「ベランダ内が適当によく見えるために」、いろいろと不都合です。正直言うと、Cのタイプのように何も見えないほうが無責任でいられていいです。
 中が見えると、「野良猫があそこのベランダに紛れ込んでいる」「使用細則に違反して物置を置いている」「避難はしご落下位置にクーラーボックスがあって邪魔。避難不能」 「洗濯物が物干竿から落ちてベランダの床にあるのがわかる」「汚い生活をしているのが目に入る」「鉄格子の間から、何か物が落ちそうだ」「巡回時にはベランダもチェックするが、室内の住民と目があってしまうことがある」など、いろいろと気を使うのです。

 見える以上、注意しないわけにもいかないので、「ベランダは大事な避難経路ですから物を置かないで」とお願いしますが、絶対に片付けてくれる人はいません。消防点検の際も点検員に毎回怒られます。「このマンションは、火災が起きても、ベランダ側からの避難は絶対に無理ですね」と太鼓判を押されています。


 


2006/6



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