管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

「工事」というのは、「工事」だけじゃないんだよ




2014/8


 真夏の真っ盛りの時期に、異例なことなんですが、ある大きな工事がマンション内で行われています。

 夏休み時期の工事って、本当はやって欲しくありません。というのは、「子供が朝からずっといる」「親戚とか、よその子供もいる」という状態だからです。子供がいっぱいいる中での工事って、危険なんです。「学校」の中で工事をやっているのと同じです。

 これは、前回の「大規模修繕工事」でも痛感したのですが、「工事業者」ってのは、工事本体のことはちゃんとわかっているが、それに付帯することに割く神経が足らないのです。
 実例としては、「危険な工具類を、住民の誰もが容易に触れる場所に、注意書きもなしに放置している」とか。ガス溶接に使う、酸素とアセチレンのボンベが、共用廊下に置かれていたこともありました。その時も業者に注意をしたんですが、「子供が触って怪我したらどうするんだ?」「子供がいたずらして機械を作動させたらどうするんだ?」とか、ずいぶん怒りました。

 マンションの大規模修繕工事って、そのへんの「ビルの新築工事」とかと、全然違います。

「住民が住んでいる状態での工事」
「夜も人がいる。出入りがある。酔っ払った住民が歩くこともある」
「大きな荷物を抱えて、前がよく見えない、ヤマト運輸のお兄ちゃんがやってくる」
「ゴミ収集車が、敷地の中に入ってくる」
「第三者が入り込んでくる」
「ヘルメットをかぶっていない人が、工事現場を通行する」
「クソガキもいっぱいいる」
「告知事項は、住民全員に行き渡らせないといけない」
などなど

こういう「違い」がわかっていない業者が、大規模修繕工事をやると、本当に困るのです。事前説明会とかプレゼンの場では、工事の元請業者は、「我々はマンション工事の専門家です」とか、えらそうに言ってますが、実際に現場で働く「下請け業者」の中には、「人が現住している現場での作業」での経験がないものもいます。(新築マンションの建設工事では、住民はいませんし)

 今回の工事でも、「夏休み期間中で、いたずら小僧がいっぱいいる」という視点がまったくありません。1日で終る工事ならいいんですが、複数日必要な工事の場合、作業の途中で、その日が終わり、資材や道具が現場に置かれた状態で夜を過ごすこともあるわけです。だから、「昼間作業をした工事現場を、夜は閉鎖しておく」、ということが大事なのに、その点の配慮ができないのです。業者に「閉鎖しておくためのロープとか持ってきた?」と聞いても「知りません。元請けからは何も聞いていません」だし、「”立入禁止”って書いたプレートとか用意してあるの?」「いえ、持ってきていません」という有り様。

 しょうがないから、私が、クソガキからの防御対策を講じないといけないのです。
 本当なら、こういう「付帯業務」を含めた、全体の作業量で見積もりを出すべきなのに、業者というのは、そこまで気が回りません。今回の工事業者は、「掲示板に貼る事前告知の紙」も用意していませんでした。私は、元請業者にはちゃんと言ったんだけどなあ。下請けに伝わっていないんだなあ。元請けってのは、仕事回すだけで金もらうんだけど、その代わり、そういう付帯業務をちゃんとやってもらわないと困るんです。

 見積もりを作るための下見見学の際、工事業者ってのは、「作業車両の駐車場所の確認」とか「資材を一時保管する場所の確保」といったことも大事なのに、そういうのをまったくせず、工事初日にいきなり、「この資材をいったん一箇所に置いておきたいんですが、どこに置けばいいですか?」といきなり聞いてくる人もいます。なんで、当日なんだよ。事前に言えよ〜。事前に相談してくれれば、駐車場の車両を数日間、外に出して、その場所を使う、といった手もあるのに。(外部の駐車場を借りる経費がかかります)

 ほんと、この業界も、「ド素人」ばっかりになりました。参ったぜ。





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