管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
提供公園 公開空地 その違いとは? |
今年の夏の甲子園。東京の帝京高校は惜しくも出場できませんでした。
さて、マンションに関連した「専門用語」の中に、「提供公園」と「公開空地」(こうかいあきち こうかいくうち)というものがあります。どちらも同じように見えますが、実は中身は全然違います。
「提供公園」・・・
ある一定規模以上の大規模マンションを建築する際に、行政側から、「敷地の一部を公園として自治体に無償譲渡しなさい。地域の皆さんの憩いの場として提供しなさい」という取り決めがある場合があります。
これが提供公園です。もともとは、マンション建設のための私有地なんですが、マンション建設後は、譲渡され、「自治体の所有地」となります。マンション側からすると、「なんで、タダで寄付しないといけないんだよ!」と不満の声があるでしょうが、これは取引であり、「一部の土地を公園として寄付することによって、様々な特例を認めて、大きなマンションを作るのを認めてあげるよ」という、いわば、ギブアンドテイクの関係なのです。
自治体の所有物になるため、その公園の管理&維持は、管理組合ではなく、自治体の仕事(「公園緑地課」とか、そういう部署の担当)になりますし、公園の利用方法も、自治体が定めます。なお、土地の所有権は自治体ですから、この部分に関する固定資産税は当然かかりません。
「公開空地」・・・
提供公園の制度と同様に、「敷地の一部を公園として差し出せば、大規模開発を認めてあげるよ」という性格のものですが、公開空地の方は、所有権はマンション側にあり、あくまでも、マンションの「私有地」になります。「私有地なんだけど、地域の皆さんが自由に利用できる公園である」(公園の場合もあるし、「通路」という場合もあります)という、ちょっと矛盾したような存在です。
このため、その公園の維持管理はマンション側の負担になります。管理会社から言わせると、「ホームレスが入ってきたり、クソガキが暴れたり、犬の散歩でウンコしたり、火の着いたタバコをポイ捨てしたり・・・・」、そういう、公園利用のマナーを守らない人のしでかしたことの後始末までしないといけないのですから、しんどい仕事になります。正直、「提供公園にしてくれればいいのに」と思います。
下の写真は、東京の佃島に作られた大規模タワーマンションです。建物の手前が「公開空地」となっています。こういうふうに、きれいに植栽を管理するのは、相当のお金がかかっていると思います。また、この注意書きを見ると、管理するのに相当な苦労をしていることが推察できます。
「公開空地」なので、「私有地です」という表示があります。
公開空地は、地域の市民に開放された場所ですが、あくまでも私有地であるため、常識の範囲で、「利用制限」をかけることができます。このマンションでは、「禁煙」「飲食禁止」「スケボー禁止」「迷惑行為禁止」といった制限を課しています。なんでもかんでも自由に利用させたら、住環境も悪化しますし、維持管理する側も大変ですから、このような規制は当然かと思います。
ただ、この「公開空地の利用制限」に関しては、そのマンション独自によるものなので、一部のマンションでは、「マンション居住者が犬連れで通行するのはOKだが、居住者以外が、犬連れでここを通行するのは不可」という、ちょっと「差別的」な制限を課しているところもあるようで、軋轢も生じているようです。まあ、でも、犬の飼い主は悪質な人が多いですから、マンション側からしたら、そういう制限を設けないと大変なんだという気持ちもよくわかります。
正直、公開空地のあるマンションで、管理人業務はやりたくないなあ。植え込みに空き缶捨てたりするのも、たくさんありそうだし。
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