管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

管理規約冊子の引継ぎ








 管理規約というのは、マンションにとっての「憲法」です。そして、管理人にとっての「拠り所」でもあります。「規約にこう書いてありますから従って下さい」と明確に言えるのは規約だけです。「普通の感覚では」とか「一般常識からすれば」という言葉は、マンション内では通用しません。マンションは一種の治外法権、社会の常識は使えないのです。唯一の基準が管理規約(使用細則)なんです。

 でも、その管理規約すら、適当にあしらわれているのが現実です。(国連の中の日本みたいです)


「読んだことがない」
 ほとんどの住民が読んでないでしょう。理事長経験者でもろくに読んでいないです。犬を飼っている人も、「ペット飼育規則」の内容を全然知りません。

「持っていない」
 これがかなり多いような気がします。このマンションのように古いマンションでは、竣工時の住民はもはや3分の1くらいしか残っていません。つまり、3分の2が入れ替わっているということ。売買や賃貸に出す際には、「管理規約冊子を引き渡すこと」と規約には書いてありますが、引継ぎがろくに行なわれていません。私の前任管理人もまったくこういったことに無関心で、転入の際に確認することもしていませんでした。また、不動産業者というのもいい加減で、仲介の際に「規約冊子を引き渡すこと」をきちんとしていない会社ばかりです。
 私が管理人になってから、転入転出の際には規約冊子のことを確認するのですが、「どこにいったかわからない。紛失したようだ」とか「前の所有者からはもらってない」という人ばかりです。賃貸入居であっても、「規約は遵守しなければならない」ので、当然ながら規約冊子を持っていなければなりませんが、そういうことを気にする所有者(=大家)はゼロ、不動産屋も何もしません。入居する際に、「誓約書」として、「管理規約&使用細則を守ることをお誓いします」という念書を書かせています。これは昔からやっています。しかし、この誓約書は、「管理規約なんか知らないよ。とにかく、サインだけしておけばいいんだろ」と提出されているのが事実であり、規約を読んだ上でサインしている人なんか皆無なんです。規約がないのにサインしている人ばかりなんですから。

(賃貸契約する際の、不動産屋でサインさせられる「賃貸契約書」の中にも、必ず、「管理規約使用細則に従うこと」という条文がありますが、規約冊子を渡さずに、それを読んでないのを承知した上で、この契約書にサインをさせようとする仲介不動産業者の神経もすごいと思います。これが、本当に、「宅地建物取引主任者」の有資格者なんでしょうか? ほんと、不動産業者っていい加減!)

 今までで一番情けなかったのは、古紙回収のゴミの中に管理規約を発見した時のこと。数日後に引越し(転出)がありましたから、その人だったのでしょう。それにしても管理規約を捨てるとは、さすが、うちのマンションの住民です。



 そういうわけで、今は、新入居者に対して、私のほうでコピーして製本した規約冊子を必ず手渡すようにしています。賃貸の入居者の「誓約書」も、たいていは不動産業者が勝手に作って持ってくるんですが、「規約読んでからサインさせてよ」と、1回はつき返します。といっても、転出転入の連絡すらなく、いつのまにか住民が替わっていることも最近は多く、規約冊子を渡す以前の問題で悩んでいます。

 渡したとしても、一切読まないでしょうから、それを見越して、私の方で「大事な項目だけ抽出した、エッセンスたる案内書」を別に作っています。最低限、この案内書だけでも読んで欲しいんですが、転入3日後に生ゴミの中に混ざって捨てられていたのを発見しました。こっちは、苦労して作ってるんですけどねえ。

 うちのマンションの管理規約冊子より、駅前で配布している武富士のティッシュのほうが受け取り率は高いかもしれないなあ。

 とにかくいい加減な人ばかりになってきています。 

 毎月の理事会の時も、出席役員さんには「規約冊子を持って、会議に出席して下さい」とお願いしてますが、持ってきた人、皆無です。



 


2006/7



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