管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
防犯カメラ4
知らせないと意味がないのでは
無断で撮影するのは”のぞき”と同じじゃないの?
当マンションでは、またまた「早く防犯カメラを設置しよう」と理事会が言っており、「そろそろ来年にはつくかなあ」という感触です。そんなわけで、防犯カメラに関する情報収集は続けております。
今年の3月に防犯カメラを導入したDマンションのお話。
設置工事までは順調に進みました。というか、組合側では何にも考えずに、設置業者の言うがままに任せて取り付けたようです。このため、「防犯カメラ運用規則」といったものも作られておりません。あとで、工事業者に「作ってくれ」と頼んだそうですが、「うちの仕事じゃありません」と断られ、管理会社に対しても頼みましたが、これも、「うちは関係ないです。組合さんで自分で作ってください」と断られました。この工事は組合から工事会社への直接の発注のため、管理会社は関与しておらず、一文の儲けにもならなかったため、管理会社もやる気がないのです。
とにかく、「安く済ませよう」と思ったらしく、メンテナンスの予算は計上しませんでした。リースにすると金利がかかるため、「機材費」「工事費」すべて一括現金払いにしたようです。お金をケチルことだけは熱心な役員がいたようです。
さて、設置したはいいが、運用法をまったく考えていませんでした。機械をつけたら組合も安心したらしく、どの役員も運用のことを考えようとはしません。結局はすべて管理人任せにされているようです。
ところで、この工事業者、カメラを設置したのはいいのですが、「防犯カメラ監視中」といった、ステッカー・ポスター類を全然置いていかなかったそうです。導入検討時の理事会で、「監視されているのは気持ち悪いので、なるべく目立たないように設置しましょう」という意見が出たため、カメラも小さいし、目立たない場所に目立たないように(白い壁に白いカメラ、といったふうに)設置したらしく、「初めてマンションを訪問した人はカメラの存在に気がつかないのでは?」という感じだそうです。そのマンション、ちょっと昔に流行った”デザイナーズマンション”というもので、おしゃれな作りなんです。美観を大事にしたいらしく、「カメラなんて無粋なものは見えないようにして」という方向付けになったそうです。そんなわけで、玄関ホールの入り口に「監視中」といったステッカーもありません。とにかく、目を凝らさないとわからないのです。住民の中でも、総会資料をろくに読んでいない無関心住民は、カメラの存在に気がつかずに、突然、「あれ、いつの間に、防犯カメラが? 私何にも聞いてないのに」と驚くそうです。
美観を重視するのもひとつの考え方で、私はそれを否定しませんが、カメラがあることをアピールしないと、防犯カメラの意味がないと思います。防犯というのは、「犯罪を起こさせないようにする」ものです。カメラをつけても、その存在を知らせないと無意味です。実際問題、カメラが設置されたあとも、「車上荒らし」「自転車泥棒」「下着泥棒」が発生しており、犯罪は全然減っていないそうです。管理人さんとしても、「防犯カメラが設置されれば犯罪はなくなるだろう。ゴミ出しマナーの悪いのも改善されるだろう」と期待していたのに、ちっともよくならず、逆に、ある事件が起きた時は警察から「映像を見せてくれ」と頼まれ、組合役員は何もしてくれないため、難解な機械を操作させられて、何時間も時間をとられ、その間通常業務もできずに、大変だったそうです。
私もその機械をちょっと触らせてもらったのですが、あれは高齢者には無理ですねえ。マニュアルもありますが、分厚いし、難解だし、簡単には覚えられません。操作ボタンもわかりにくいです。
一般の家庭用電化製品とは異なり、「高齢者や子供でも容易に操作できように作る」という思想が設計者にないようです。専門知識のある人間しか操作できない、というのが真実のようで、その管理人さんも「あーでもない、こーでもない」と悪戦苦闘して画像を調べたようです。だいたい、機械を設置した際に、説明も受けていないそうです。ひどい会社ですねえ。難解な機械なら、「初心者向きマニュアル」とか別個に作っておいて行くものじゃないでしょうか? ハードディスクレコーダーというのは、ビデオと違って、早送り再生をすると、画像が飛んでしまい、見たい画像を見逃してしまうため、そんなに早い早送りはできないそうです。「3〜5倍程度の再生で見ないと犯罪行為は見つけられない」とのことで、警官といっしょに、5時間も映像を見ていたそうです。でも、犯人は見つけられませんでした。苦労は水の泡だったようです。カメラが何十台もあればいいのですが、カメラに映っていない場所での犯行は、証拠が残りません。
ところで、そこの管理人さん、面倒な仕事も押し付けられてしまったそうです。警察が来て画像をチェックした際に、あるカメラがいたずらされたかなにかで、カメラの向きが少しずれてしまい、大事な場所が写らなくなっていたことに気がつきました。また、別のカメラは風雨でレンズ(保護ガラス)が汚れて、画像が汚くなっていました。組合にそのことを報告すると、「あ、そうか。メンテナンス契約もしていないし、日ごろの手入れを誰かにしてもらわなければいけないねえ。それに週に1回程度は動作確認しないとだめだねえ。・・・・・管理人さんにやってもらうしかないねえ」ということで、またまた仕事が増えました。
「毎朝、ちゃんと録画されているかどうか確認する作業」と、「月に1回、カメラの前部を掃除する」という業務です。もともと委託契約にない業務ですが、組合さんはそんなこと気にしません。当然という顔をして仕事を無償で押し付けます。
「まあ、頼まれればやるしかないんだろうけど、機械の操作はいまだによくわかないし、二箇所だけ、脚立でも届かないすごい高い場所にカメラが設置されているのがあるんですよ。あんなところ掃除できませんよ」と嘆いています。
いつも、苦労するのは管理人です。
2006/8追記
今年はじめに防犯カメラを設置したEマンションのお話。
どこのマンションでも、共用部分の電灯というのは、タイマー制御されているのが普通です。(きっちり時間で制御するタイプや日光の明るさで制御するタイプなど、いろいろあります。) ただし、一部、別個にスイッチが設けられていて、誰でもそのスイッチを触れるという設計になっているマンションも少なからずあります。屋内駐輪場のように、昼でも暗い場所の場合は、24時間つけていたほうがいいので、タイマーの回路とは別になっていたりするのです。Eマンションでは、共用廊下はタイマー制御なんですが、玄関ホール・屋内駐輪場・屋外ゴミ置き場などが、別スイッチになっています。ゴミ置き場は屋外で、太陽光が差し込むため、タイマー制御の回路に組み込んだほうが合理的なはずですが、そこでは別個のスイッチになっているそうです。マンション設計にはいろいろと不思議なことがあります。というか? 屋外のゴミ置き場に、なんで照明が必要なのか? 「夜にゴミ出してもいいよ」と煽っているのか?と勘ぐってしまいます。夜間の不法投棄を他人の目に触れるようにするためなのかな? 真意はわかりません。そんなわけで、ゴミ置き場に関しては、「暗いなあ」と思った住民が点灯し、「もう夜があけたよ」と思った住民が消灯するように、慣用的になっていたそうです。玄関ホールや屋内駐車場は、日光が差し込むとそこそこ明るいとはいえ、「ポストの中を覗き込むときに暗いと不便」、「自転車の数字の鍵を開けるときに暗いと不便」ということで、24時間点灯ということが不文律で決まっていたそうです。
そのEマンションに防犯カメラが設置されるにあたって、「カメラに映像が写らないと困るから」という理由で、「玄関ホール」「屋内駐輪場」は必ず24時間点灯しておくことと正式に決まりました。また、ゴミ置き場に関しては、「管理人が帰宅する際に点灯する。出勤する際に消灯する。日曜日は役員が交代で当番になる」という制度にしたそうです。
そのように正式に決めて、全住民に通知したのですが、カメラ設置後1ヶ月経過した頃から、「玄関ホールの電気が消えていたよ」「駐輪場が夜真っ暗だったよ」という声が出てきました。「なんでかなあ?」と皆不思議に思い、カメラの録画映像を見て調べると、ある老婦人が毎日のように、時間関係無しに電灯を消して回っていることがわかりました。「誰だろう、この人?」と皆さんが知らない人でした。
でも、よく調べてみると、つい先日に引っ越してきたばかりのAさんの部屋のおばあちゃんであることがわかりました。このおばあちゃん、どうやら認知症のようで、以前住んでいたマンションでも、「もったいない。もったいない」と言いながら、そこらじゅうの電灯を消して歩き回っていたそうです。たしかに、日中の玄関ホールはそこそこ明るいですから、もったいないと思う気持ちもわからないではないですが、とにかく勝手に消されては困りますし、夜間の玄関ホールを真っ暗にされてはみんな迷惑です。最初は口頭で注意したのですが、効き目がないため、最終的には、 工事業者を手配して、スイッチにカバーをかけて、触れないようにしたそうです。
うちのマンションにも、実は「もったいないおばあさん」が何人かいます。こりゃ、カメラ設置の時はちゃんと対策を考えないとだめだな。大変だ。