管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

管理費と給食費








 「自分の子供の面倒をきちんとみない。自分の子供の起こしたことに責任を取らない」、そういう無責任な親が増えていることについては、何度も書いてきました。

 さて、マンション内には、多くの「管理費等滞納者」がいます。私が気に入らないのは、「どうしてもお金がなくて、仕方がなくて払えない」という人は少数で、他は、「お金があっても払わない」という人が大勢いるということです。高級車に乗りながら、管理費&駐車場代を払わない人もいるのですから。
 当マンションをはじめとして、よそのマンションでもほとんどが、「管理費を滞納することに対する罰則」がありません。「払わせるにはペナルティを加えなくてはだめだ。遅延損害金何%を取ろう」という動きもありますが、計算が面倒になるため、管理会社としては乗り気ではありません。督促業務もたいていが管理会社からの手紙だけで、役員全員がその部屋に押しかけて、「払え!」と取り立てることもしません。役員はそういった「損な役回り」は避けます。

 滞納したからといって、エレベータに乗れなくなるわけでもなく、部屋の前の廊下の照明が消えることもありません。何にも不具合がないのですから、払わない方が得です。「あんたらは管理費も払わずに生活してるんだから、せめてじっとしていてくれ。管理人に迷惑かけるようなことはするなよ」と思うのですが、実際は逆で、滞納者ほど、「違法駐車が多い」「ゴミのマナーが悪い」など、問題児である確率が高いです。まあ、最低限のマナーを守れないから管理費を滞納するのであって、そういう人間にまともなモラルがあるはずはないのですが。

 さて、私は以前から、「管理費滞納者は食い逃げ犯と同じだ」と言ってきましたが、今、小中学校では本当に食い逃げが問題になっているそうです。小学校の教師をしている知人から聞いた話と、先日テレビで見た話をまとめてお伝えします。

 大昔、私が小学生だったころ、まだ、生活苦の家庭があちこちにあり、給食費を払えない子供が何人かいました。「おい、山田、今月も給食費払えないのか? お父さんによく言っておけよ。”ただ食いは許さないぞ”ってな」「はい、先生。どうもすいません」。なんていう会話がみんなが聞いている前で行なわれていました。そして、子供だけになると、「山田、おまえただ食いなんかしていいと思ってるのかよ! ただ食いのくせにおかわりばかりしやがって、おまえは、西武の中村か? ふざけるな」などとイジメも横行してました。ただ、こうやって子供が苦しむのが嫌で、親ががんばって稼いで、給食費を払おうとしたものです。

 今、日本人はみな豊かになりました。小泉政治のおかげで、昔みたいな貧困家庭が出現しているのは事実ですが、昔に比べれば絶対数は少ないです。しかし、今、給食費の滞納がものすごいんだそうです。給食費が集まらないために、「豚肉は無理だから鶏肉に変えよう」なんてことが実際に起きているそうです。問題は、「払えるくせに払わない親が大勢いる」ことだそうです。
 彼らの言い分は、「義務教育は無料で行なわれるものだ。だから、学校内の給食も無料で提供しろ」というものだそうです。滅茶苦茶な論理です。しかし、こういう親が珍しくないそうで、現場の教師がアイフルみたいに取り立てに行くそうです。今の教師は、家庭内で親がすべき躾も学校に押し付けられています。仕事も増える一方です。子供の健康管理も今は大変です。(昔はアレルギーなんて概念がなかったしね) 普通の仕事だけでも忙しいのに、取立屋の仕事までさせられてストレスで参ってしまう教師も多いそうです。教師は社会人としては不適合な人間が多いから、社会的なストレスには弱いのです。おまけに、給食費の取立に言ったら、その子供の家が立派な新築一戸建てだったりして、「なんでこんな金があるのに、自分の子供の数千円の給食費が払えないんだ?」とあきれてしまうとのこと。(給食費というのはすごく安いですから、その父親のタバコ銭よりも少ない金額で払えるはずなんですが)
 
 とにかく、「貧乏だから払えない」のではなく、「金はあるけど払わない」という人ばかりですから始末に悪いです。昔なら、「先生すいません、今は金がなくて、もうちょっと待ってけろ」と言っていた親が、「義務教育なんだから払う必要はねえ。帰ってくれ」と追い返されるそうです。「まるでNHKの集金人みたいな扱いをされる」そうです。それに、「家にいるのはまだましで、いついっても家に親がいない家庭がけっこうある。どういう生活をしてるんだ。子供はずっと一人きりだ」とのことで、親に会って話をすることすらできないそうです。

 こういったことを打開しようと、山梨のある学校では、校長が奮起して、苦肉の策として、「親から学校に対して、”給食費を払えない時は、給食をとめられても結構です”という誓約書を提出させよう」としましたが、これが賛否を巻き起こしているそうです。私なんかは、「当然だよ。金がなければ飯は食えないのが資本主義社会」と思いますが、バカな連中は「親の責任を子供に押し付けるのはよくない。一部の子供だけ給食を止めることはしてはいけない」とか言っています。「親と子はいっしょなんだよ、何バカなこと言ってるんだ。社会は厳しいんだ」と私なんかは思います。また、「子供に対して”給食費を払いなさい”」と言うのは、子供がかわいそう。だから言ってはいけない」などという教育委員もいます。昔みたいに給食費袋を毎月提出する方法なら、「うちは給食費を払えないんだ」と子供がわかりますが、今のように「銀行自動引き落とし」だと、子ども自身は、自分の親がきちんと払っているのかいないのか、知らずに食べているケースもあり、うしろめたさを感じません。
 
 テレビでは、「プリペイドカードを導入して前払い方式にして、そのカードがないと食べられないようにすることにより、滞納は皆無」という自治体を紹介していましたが、全国でこのようにすべきだと思います。ほんと情けない無責任な親が増える一方です。そして、教師は本来の仕事以外にも働かせられ、疲弊していきます。そして、わいせつ行為に走るのかも?


 なんか、管理費と給食費って、同じような問題だな、と思いました。「滞納者一覧を毎月掲示板に貼って懲らしめにしよう」という意見を言う役員がいても、「そんなことできない」とボツになります。何のペナルティもなければ、改善されないのに。今の日本人、社会主義がいいなら、資本主義を捨てるべきです。今の自民党は弱肉強食社会を作る党なのに、なんで票を入れるんでしょうか?

 それから、現場の教師は、「今の親は呼び出しても来る人は少ない。親が来たのは入学式の1回だけ、あとは運動会も学芸会も授業参観も来ない親が多い。いったい、自分の子供をどう思っているのか? 子育て全体を学校に丸投げしている」と嘆いています。秋田の畠山事件は、特殊なことではないようです。自分の子供も愛さない親が確実に増えているのです。教師の社会的地位も落ち、昔なら、「先生様、すいません」と謝ったものなのに、今は、逆に「うちの子が何をしたというのだ!」と開き直って反論するバカ親もいるそうで、相手にするのも大変だそうです。「それに今の親は子供に食事を与えることをサボル親も多く、給食が唯一のバランスのとれた栄養だったりするわけで、それをとめることなんてできないよなあ」とも言ってました。

 
 そういうバカ親も、マンション内にたくさんいます。学校現場の悩みと管理人の悩みって、けっこう重なる部分が多いなあ、と思った次第です。

 教師もつらいよ。
お疲れ様です。



 


2006/8



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