マンション管理最前線
管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
| 外注工事に関しては財布の紐が硬い |
当サイト愛読者の皆さんは、このマンションの住民の民度がいかに低いか、よ〜く理解されてると思います。とにかく管理人泣かせのマンションです。組合もグウタラしています。
ただし、財政状況だけはいいんです。大規模マンションということでスケールメリットがあるのは間違いないのですし、駐車場が全部「平置き」というのも有利です。
何より大きいのが、根本的に「ケチ」の思想であり、「無駄なお金は使わない」という考え方です。これが住民全体に浸透しています。 なにしろ、管理人室のエアコンが壊れても、修理代を出してくれず、「自分で払え」という組合なんですから。（それだって、最初に中国製の超安物を買ったから、すぐに壊れたんです）
今（2006/8）、当BBSをにぎわしているＧ人社さんは、顕著に「ふだんの委託費は安いけど、工事で儲ける」というポリシーの会社ですが、この考え方は、Ｄ京さんもＴ急さんも皆同じ、マンション管理業界全体に共通するものです。しかし、当マンションの場合、過去にどういう経緯があったのか？ よくわかりませんが、「各種工事類は管理会社と関係のない業者にやらせる」というのが習慣的に決まっているようです。過去に何回か同様の話題を書きましたが、また書かせていただきます。
ですから、雑排水管清掃も植栽剪定・消毒なども、みな、管理会社とは関係のない会社と組合との直接契約です。直接契約というのは、本来、管理会社がとるべき手数料（つまり、ピンハネ）が不要になるため、当然のごとく安くなります。ですから、財政状況はいいのです。
直接契約は、安く済むため、非常にいいことのように思われますが、弊害もあります。
○大きな工事では、「相見積もりをとって競争させろ」という役員が必ずいるため、１社の見積もりだけということはなく、必ず２社の見積もりをとる。しかし、本命以外の会社というのは、いつも管理会社経由の会社のことで、いわば当て馬。管理会社としては、「絶対にとれるはずのない工事」のために、わざわざ下請け業者を手配して、見積もりを作らせる。大きな工事だと見積もりのための調査は数日間かかることもあり、面倒な仕事である。管理組合は、管理会社経由の会社の見積もりを見てから、「これよりは安くしろ」と本命の会社に指示して、安い見積もりを出させて、そして本命の会社に発注する。管理会社「飯加減」は、変に真面目なところがあり、工事に関してはふっかけた料金を提示することはないため、ピンハネ分もそんなに大きくなく、市場としてだいたい適正と思われる価格を見積もりに出す。その見積もりから少し下げた価格を本命は出してくるため、安い・適正価格で注文することになる。管理会社としては、毎回当て馬に使われ、はっきりいって迷惑である。それに、これは個人的感想であるが、本命会社の価格は、まあまあ適正だとは思えるが、ピンハネ分がないことを考えると、本当はもっと安くできるのではないか？と推察される。
○管理会社経由の業者が仕事を行なう場合、その会社はいわば下請けであり、管理会社は「仕事をくれたありがたい会社」ということで、上下関係が発生し、私ら管理人に対してもそういう態度をとる。連絡も密にしてくれる。（というか、「しっかり連絡しろ。なにかあったらすぐに伝えろ」と最初に言っておく） それに、住民から見れば管理会社が実施する工事ということになるため、管理人も「当事者」として、工事の全容をきちんと把握しておかなくてはならない。つまり、管理人が監視役になるため、そんなに変な工事はしない。
しかし、「管理組合→工事会社」の直接契約の場合、管理会社が介在しないため、工事業者は管理人を無視することが多い。態度も悪い。事前連絡もせずに、突然大きなクレーン車を持ち込んできて、「この車が作業するために、駐車場の車を５台ほどどかして欲しい」などというだいそれたことを、その場で初めて言ってきたりする。そんなこと急にできるわけがない。ゴミのあとかたずけもきちんとしない。監視役がいないため、全般的に手抜き工事を行なう。（この組合は、直接契約するのなら、役員が現場を巡回して監視する必要があるのに、「安く発注できてよかった」で完結してしまい、肝心の工事の中身をしっかり監視することがない。）
作業行程表なんかも、こっちから言わないと提出しない。提出しても、もし、その予定に変更が発生してもそれを連絡してこないから、管理人が困る。とにかく全般的にルーズ。
○組合役員は「直接契約」のことをわかっているので、「管理会社が工事のことをよくわかっていない」のを承知しているが、一般住民は、「各種工事はすべて管理会社がやっているものだ」と誤解している人が多い。このため、私が「よくわからないんです」と答えると、「管理会社のくせに何をやってんだ」と怒る人がいる。管理会社の評価が落ちる。また、工事というのはちゃんとやって当たり前のものであり、ちょっとでも不具合があれば、すぐに文句が来る。その苦情の受付役は管理人である。そして、「良くない工事」＝「管理会社が悪い」と誤解され、管理会社の評価も下がる。濡れ衣なのに。
○「組合と直接契約」とはいえ、事務手続きやお金に関することは管理会社に任されているので、工事手数料収入はゼロでも、管理会社としては仕事がある。直接契約ならば、「いつから、こういう工事を行ないます」という予告掲示も、組合もしくは業者がすべきだと思われるが、それをしない。業者に催促してもなかなか作らず、作ったとしても「こんなの字が小さすぎて年よりは読めないよ」「この日付間違ってるよ」「こんな専門用語使っても誰も理解できないよ」・・・・と使い物にならないものばかりで、このままではまずいため、しかたなく管理人が作り直しているのが実情である。タダ働きである。
○ケチなわりには、一度決めた業者を変えることを躊躇する傾向があり、定期的に行なわれる工事や作業は、業者が一定している。ずっと同じ業者というのは、「ツーカー」であることは有利といえるが、「慢心」が発生することもある。実際のところ、雑排水管業者の仕事振りを数年間見ているが、年毎にいい加減になっているような気がする。住民に対する態度も悪い。「どうせ、来年もうちに注文が来るに決まってるんだから」という魂胆が見え見えである。汚れたホースをそのまま室内に持ち込んで、床のシュータンを黒く汚しても平気でいる。建設省の天下り企業みたいなもんである。来年も自動的に仕事をもらえると思っている。料金も、デフレ傾向が反映されていないため、現在では周辺の一般価格よりも高いと思われる。（いい加減な業者というのは、服装からしてだらしなく、一目でわかる。少なくとも、衛生関係の仕事に従事する人間は清潔な服装を心がけて欲しいのだが）
このように、財政的には直接発注はいいことなんですが、工事の中身＆品質はけして高くなく、管理人の仕事上もやりにくくてしょうがない。
管理会社としては儲からないため。、フロントもやる気がないです。
私も最近は上記事情に慣れてきたため、工事があるときは、先手を打って、「この工事は管理会社は関与していません。管理会社や管理人に言っても何も対応できません。ご質問等は業者に直接どうぞ tel *** ****」という掲示物を貼っておきます。先に責任回避しておくのです。とはいえ、掲示板を見ない住民がたくさんいるので、効果はわずかですが。
「工事の立会い」というのは管理人の業務ですが、立会いだけでなく事前告知までやらせる、このマンションは、管理人に過度の業務を押し付ける困ったマンションです。
（でも、すべての工事・作業が管理会社の下請けの場合、その業者がいい加減だと、責任の所在は管理会社であり、直接的には管理人が苦情をすべてかぶらなくてはなりません。ピンハネ率が高くて、下請けをすごい安いお金で雇っている場合、ろくな下請け業者ではありません。ろくな工事をしません。そういったことの責任を、「なんなの、あの工事。管理人さんしっかり指導してよ」と怒られる矢面に立たされる管理人もしんどいです。どっちもどっちだなあ。あ〜、つらい。）
2006/8
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