管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
お古 「もったいない」思想の復活を 自転車 |
マンションの管理費・修繕積立金というのは、たいてい、「その部屋の大きさに比例して多額になっていく」システムになっています。これは合理的なことだと思います。でも、「部屋の大きさに比例して」という思想があるのなら、その他のことにも採用して欲しいと思います。具体的には、「自転車駐輪場」。
単身者用ワンルームも永住型4LDKも同じように、「各部屋1台分は確保してあります」というのはおかしいと思います。
ワンルームなら1台だけでいいでしょうが、50平米を超えたら、2台分、70平米を超えたら3台分は最低でも必要ではないでしょうか? マンション設計者の頭の中を疑います。何も考えてないんでしょうね。(建築会社の皆さん、設計の段階でマンション管理人に意見を聞いてください。姉歯も戸建に住んでましたし、マンション住民の気持ちをちゃんと理解していない建築士に任せたってダメです)
さて、そんなわけで、当マンションでは、どんなに広い部屋でも、駐輪場は1台分しかありません。しかし、1台ですむわけはなく、単身者以外は、どこの家でも、たいていは2台以上所有しています。(単身者でも、同じようなママチャリを2台持ってる人が居て、それは意味不明) 2台目以降は、敷地内の空間を利用して、共用部分に置いています。
当マンションのように大きなマンションだと、「誰の迷惑にもならない場所」というのが、少しはあるのですが、それでも、一家で3台4台所有する家もけっこうあるため、「廊下に置く」「通路においてジャマになる」「エレベーターに乗せて、自室前の廊下にまで持っていくために、エレベーターが傷つく」などトラブルが絶えません。T急さんの管理するマンションでは、「絶対に共用部分に自転車は置かせない」ときっちり管理しているところもあるようですが、当マンションはすべてにいい加減ですから、「まあ、いいじゃないの」という考えで、なんでもOKになり、その結果、すごいルーズな置き方になっています。
最悪な部屋は、40平米の小さな部屋に家族6人が住んでいるところです。6人全員が各自の自転車を持っています。おまけに、原付バイクも3台あります。計9台です。1台以外はみな共用部分に置いています。そして、その置き方がひどいんです。他人の迷惑をまったく考えていません。置く場所も一定ではなく、毎日のように変わります。(それなのに、地域の小学校が配布した「防犯パトロール中」のステッカーを自転車に貼っていたりします。あんたが自転車持っていること自体が犯罪だよ) おまけに、小さな子供が成長するごとに、やどかりの貝殻みたいに、大きな自転車を買い与えます。私の感覚だと、「お兄ちゃんのお古をそのまま使えよ」と思うのですが、「体が大きくなったために乗りにくくなったもの」は、下の子に与えるのではなく、すぐに捨ててしまいます。実にもったいないです。しかし、すぐに捨ててくれればまだいいのですが、「粗大ゴミの手続きが面倒だ」なんだと、なかなか処分してくれずに、ほったらかしになっていることがよくあるのです。その結果、計9台で済まずに、瞬間的には計12台あったときもあります。
(なんで、こんな狭い部屋にぎゅぎゅうづめで無理して住み続けているかというと、「他のマンションで、自転車バイクを一家で9台も置けるところはないから」だそうです。たしかにそうかもしれません)
おまけに、「新しい自転車を購入したら、すぐに登録手続きをすること」と使用細則で決まっているのに、たいていは無報告です。私が巡回して、「この自転車は登録シールがない」と警告書を貼って、それからようやく「新しいの買ったんです」と報告に来ます。手間がかかってしょうがないです。このマンションは駐輪費が非常に安く、払うことに負担をまったく感じない金額です。もっと高くすべきだと思います。
また、今の人はものを大事にすることがないし、中国などで作られた粗悪品の自転車が多く出回っているため、自転車がすぐにだめになります。錆びもすぐに発生し、手入れをしないでほうっておくと、ボロボロです。ですから、「子供の成長に合わせて」だけでなく、大人もすぐに買い換えます。とにかく、自転車本体が7000円程度から買えるんですから、安いモンです。これじゃ、一人一台買っても家計的には大丈夫でしょう。でも、家族全員が揃って自転車に乗って出かけることなんてまずないんですから、一家に一台だけで、家族で共用すればいいじゃないでしょうか? せめて、「大人用1台」「子供用1台」の計2台に抑えてもらえないでしょうか?
服でもおもちゃでも、なんでも「兄貴のお古」で済ませていた私にとって、今の日本社会は信じられない世界になってしまいました。物質が豊かになると、反比例して、人の心は貧しくなりますね。
皆さん、ものを大事にしましょうよ。当マンションでは、今、「流行に乗って買ってしまった折りたたみ自転車」が、一度も折り畳まれることもなく、「やっぱり、乗りにくいなあ」と、ほとんど乗られることもなく、植栽部分の隙間に放置され、赤錆でボロボロになっているのが、5台ほどあります。
所有者に、「きちんと処理するか、家の中に保管して下さい」とお願いしてますが、それでもほったらかしです。折りたたみ自転車って、実際はマンションの1階部分の敷地に置いているのに、駐輪費を払いたくないせいか、登録してくれません。警告書を貼ると、「じゃあ、折りたたんで家の中に入れるからいいだろ!」と、数日間は家の中にしまわれるのですが、狭い家の中に置くスペースもないんでしょう、すぐに外に戻ってきます。中途半端で、管理上は困った存在です。また、「ライトがついてない状態で売られている」「運転しにくい」ことから、「交通事故に遭う確率が高い」そうで、よく事故ってます。また、折りたたむために構造が弱く、壊れやすく、よく、そこらへんの路上の隅に捨てられています。買ったはいいが、無用の長物扱いされているようです。
とにかく、登録されている自転車だけで、その総数が、部屋数の3倍近いというのは異常ですよ。電動自転車(アシストタイプ)の普及で、「坂道でも自転車に乗れる」となったことも増加の一因のようです。以前は、「周辺に坂があるから、自転車ではなく、原付を買う」という人が多かったんですが、今は電動自転車がバカ売れです。
(そういえば、電動自転車が発売開始になった頃って、まだバッテリーが大きかったせいか、「管理人さん、家の中に持っていって充電するの面倒だから、玄関ロビーのコンセントで充電してもいいかな?」なんて人がいました。ほんと、このマンションの住民は公私の区別ができません)