マンション管理最前線
管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
| 電話帳 交換の時期 |
当市では毎年９月に電話帳が更新されます。
昔、大変でした。「個人名」「企業名」「業者別（タウンページ）」の３種類で、全部でけっこうな厚さ＆重量になります。
「電話帳の配布も回収もＮＴＴがやるんだから、管理人は関係ないでしょ？」と思うのが普通ですが、そうはいきません。
「古い電話帳の回収日は○○日。玄関ホールに回収箱を用意しますから、その中に入れてください」として回収するのですが、そんな日付を守る人なんて、このマンションでは少数です。回収日以前に出す人がいます。出し方も、ただ、放り投げるだけですから、回収箱はすぐにいっぱいになります。私がいったん回収箱から出して整理し直して、整然とまとめてから、箱に入れなおします。しかし、２００世帯超のマンションだというのに、回収箱は２０世帯分くらいしかない、小さなもので、すぐに入りきらなくなり、玄関ホールのそこらじゅうに、雑然と放り投げられます。この整理も管理人の仕事になってしまいます。住民の中には、「玄関ホールに紙を放置しておくと、放火されたら大変なことになる。いったん、物置にでも保管しておくべきだ」などと、こむずかしいことを言う人もいます。言ってることは正しいですが、「ＮＴＴの責任です。私は関係ありません」と断ります。（しかし、断ると、「あの管理人は、このマンションが燃えてもいいと思っている。ひどい奴だ！」と、会社に苦情が行くことがあります。ヤレヤレ）
回収日当日、山のような電話帳が玄関ホールに集まります。この中には、雑誌とか、古新聞とか、ダンボールとか電話帳以外のものが実はけっこう混ざっています。電話帳の回収なのに、「古紙類全部回収する」と勘違いしているのです。ＮＴＴは電話帳しか回収しませんから、私のほうで、電話帳とそれ以外に分別します。大変な仕事です。中には、電話帳と生ゴミをいっしょにしているツワモノまでいます。無分別な人です。それでも、まだ、玄関ホールに電話帳を持ってくるだけましです。「玄関ホールに持ってきてください」という文面を無視して、自分の部屋の前に出しているだけの、ぐうたらな人もいるのです。（カラダが不自由な人ならわかりますが、元気な人がそういうことをします） ＮＴＴは玄関ホールのものしか回収しませんので、事前に巡回しておいて、「東棟の何階と何階、西棟の何階と何階・・・・に電話帳が出ているから中に入って回収してよ」とＮＴＴの係員に伝えなければいけません。けっこう忙しいです。
さて、これだけでも大変なのに、「まだ、回収日に出すだけまとも」なんです。そう、回収日以降に出す人が大勢いるのです。回収日が過ぎたのに、回収用のボックスがなくなったのに、玄関ホールに電話帳を投げていくのです。こうなると、この処理は完全に管理人の仕事になります。何十世帯分か集めて、物置に保管しておき、あとでＮＴＴに電話して回収に来てもらいます。でも、玄関ホールに出すだけ、まだ、まともなんです。生ゴミの日にゴミ置き場に出す人がいるんです。ゴミ置き場から電話帳だけを取り出して、物置に保管します。雨の日などはびっしょり濡れてしまいます。生ゴミと混ぜて出したものは、汚れてしまっているため、古紙としては回収できないので、燃やすゴミとして処理します。
また、「入院しているため家人がいない」「長期出張中」といった人の部屋の前には、新しい電話帳がぶらさがったままです。「このままだと、この部屋は長期留守だ、ということが丸わかりで、空き巣に狙われる」とのことで、以前、防犯にうるさい理事長から、「管理人さんが預かっておいてくれ」と頼まれたことがあり、管理人室で保管しておかなければなりません。そして、ご当人のポストには「新しい電話帳は管理人が保管しています。あとで取りに来てください」と手紙を書いて入れておきます。
こういう状態が１１月いっぱいくらい続きます。面倒です。
ところで、２年ほど前からでしょうか、電話帳の地域区分がとても細かく細分化されました。当市でも、今までは市全体で１冊だったのが、３分割されました。おかげで、１冊１冊が非常に薄くなり、回収処理が楽になりました。また、「個人名」の電話帳は、「希望を出さない人には配布しない」ということになりました。今は、個人名電話帳は悪用されるため、みな名前を出したがらず、このため、役に立たなくなったからです。これで、もっと減りました。当方としてはありがたいところです。
ただし、電話帳本来の役割からしたら、あまりよくないです。実は当マンションは、分割された地区の境目に位置するため、欲しい情報が隣の地区の電話帳に載っている事が多く、配布された電話帳だけでは探せないことが、しばしばあるのです。特に商業施設は隣の地区の電話帳に載っているケースが多いため、「なんで、分割なんかしたんだ。かえって不便になった。」と、みなさん、お冠です。このため、わざわざＮＴＴに申し込んで、隣の地区の電話帳を注文する人がけっこういます。管理人の業務上も、広範囲の地域の状況が必要なため、当地域の電話帳だけでなく、隣県の電話帳も別注して配布してもらっています。（リフォーム業者などの中には、わざわざ隣県から来るのもいるんです）
さて、電話帳自体の絶対量が減ったため、多少楽になった管理人業務（もともとは管理人の仕事じゃないけどネ）ですが、最近は別の問題が発生しています。それは、「ＮＴＴではない電話を使用する人が増えている」ことです。インターネットプロバイダーが「電話もセットで使えます」と宣伝しているアレです。これだと、ＮＴＴではないため、ＮＴＴが発行する電話帳は配布されないのですが、今までの習慣からか、「今年は、うちに電話帳来ないんだけど、どうしてかな？」という問い合わせが管理人に来ます。調べてみると、上記の理由でした。回線の契約がＮＴＴではないのです。これじゃ、当然、ＮＴＴの電話帳は配布されません。
皆さんからは見えない苦労、たくさんあるんです。楽な仕事じゃないですよ。管理人は。
2006/10
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