マンション管理最前線
管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
| 例外なし 徹底してやることが大事 |
近くにあるマンションの中で、「ここの管理は素晴らしい」と思えるところがあります。Ｔ急さんが管理するマンション（Ａ）です。Ｔ急さんをヨイショする気がありませんが、「いいものはいい」と評価させていただきます。ただし、全部のＴ急さんがいいわけではなく、「だめだな、ここは」というマンションもよそにはあります。
とにかく、今回は、この素晴らしさに焦点をあてます。
今、当マンションでは、「廊下上の私物」について論争しています。管理組合がずっと放置していたために、あまりにもひどい状況になったからです。具体的には、高齢者の車椅子生活者が増えたため、「廊下にモノを置かれるせいで、車椅子での通行が出来ない。なんとかしろ。このマンションは「障害者をいじめるマンションなのか？」という苦情が理事会に寄せられたからです。イジメは教育現場だけでなく、マンションでもあるのです。
「廊下上の私物」を理事会で取り上げると、それが引き金になり、「違法駐車」「違法駐輪」「暴走族の少年のオートバイがうるさい」「共用部の植栽に勝手に自分の植木を植える」・・・など、他の迷惑行為がずるすると話題に上がり、いつも、議論が混乱します。
なにしろ当マンションは、”規則違反のデパート”ともいえる悲惨なスラム化マンションですから、舞の海もびっくりです。
今回も、そうだったようです。特に、今年の理事長自身が自分の廊下の前に植木鉢を置いているため、理事長は議論に参加したがりません。こういう議論になると、「真面目な住民」「良識ある住民」は、「だめなものはだめなんです。全部きちんと禁止しましょう」と提案するのですが、たいてい、「そんなのは絵空事」「きれい事」「無理無理」「そこまでしなくても。みなさんの良識に任せれば」・・・・となり、議論は進みません。妥協案で、「程度のひどい人だけなんとかしよう」となったようですが、該当者に「撤去して下さい」と言いにいくと、どの人も、「なんで俺だけなんだ。だったら、あそこの部屋もなんとかさせるべきだろ！」と必ず、他人を引き合いに出して、自分を正当化しようとします。たとえ、「廊下の私物全面禁止」と決めても、「だったら、駐車違反をなんとかしろ」と、他の分野のことを言い出します。結局何にも改善されないんです。いつもこうです。こうやって、「議論はしましたが、うまくいきませんでした。努力だけは評価して下さい」と言い訳をし、批判をかわして、１年を終えます。
マンション管理では、「オール オア ノット」が大事だと思います。一般常識が通じる相手ならば、「駐輪違反１台ならまあ許せるが、３台はひどい」という議論もいいかもしれませんが、マンション住民に常識は通用しません。「１台も３台も、違反は違反だ。やるなら、全部禁止しろ。じゃないと、俺もどかさない」と言われるんです。これもある意味、正論なんです。ですから、やる時は徹底的にやらないとだめなんです。
Ａマンションさんは、上記のようなことをＴ急さんがわかっているため、一切の例外を認めていません。このため、廊下には私物はゼロです。普通のマンションだと、「自転車を置くのはじゃまだけど、植木鉢だと、目の保養にもなるからいいんじゃないの？」と腰砕けの論議になりますが、ここは、「規則違反なんだからだめなんです」とはっきりした意識を持っています。ベランダの中も、非常時の避難に障害になるような物置などは置かれていません。衛星放送用のパラボラアンテナも１個もありません。これを、管理会社・管理員・管理組合が共通の認識として持っているところが素晴らしいのです。もちろん、ペットも完全禁止です。とはいえ、「自転車置き場は一家に１台だけ」というのだけは、うまくいかなかったようで、つい最近、空き地部分に２台目用駐輪場が増設されました。（屋根付ですから、容積率制限などに抵触するかもしれませんが、そこは目をつぶりましょう）
そこの管理人さん曰く、「これで完璧です」とのこと。たしかに完璧です。ルール違反ゴミには、管理組合オリジナル警告シールが貼られ、玄関ホールにさらしものにされています。組合の確固とした意識を感じさせます。この確固とした意識は「管理委託契約」にも共通で、「契約にないことはやらない」も徹底しているそうです。ですから、町内会関係のことなどは、そこの管理人さんは一切やりません。こういった点でも、「うらやましい」マンションです。
とにかく、「ひとつでも例外を認める」「程度の差で対応を変える」ようなことをすると、「だったら、あいつはどうなんだ！」と反論する住民が出てくるのは自明の理です。「すべて禁止」にしてこそ、言い訳を言わせないのです。モーニング娘の唄じゃないですが、「やるときゃやるのさ」じゃないとだめです。
小泉の構造改革も、例外だらけの腰砕けのため、大失敗したじゃないですか？ 同じことです。天下りも全面禁止しないとだめ。
2006/10
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