管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
デベロッパー系の管理会社 親会社と連携したらどうなの? ディスポーザの弊害 |
先日、掲示板上で「排水管清掃」に関する話題があったこともあり、ご近所の管理人さんと、そのことでちょっと話を聞きました。その管理人さんの会社は、いわゆる「デベロッパー系大手」で、大規模マンションも作っています。自分のところで作ったマンションには、当然自分のところの子会社である、直系の管理会社をあてがうようになっており、独立系管理会社のように、顧客を探す苦労はありません。(手放さないようにする苦労はあります)
さて、その管理会社は比較的良質な「管理員研修」を定期的にやっています。前回の研修で、「排水管清掃」のことがトピックスとして取り上げられたそうです。今、排水管清掃で問題になっているのは、「ディズポーザ」とのこと。最新のマンションに多く採用されている、「生ごみをその場でミキサーにかけて細かく破砕し、シンクからそのまま下水道に流してしまうシステム」です。これは、マンション分譲会社としては、販売宣伝の際に、大きなアドバンテージになり、「便利ですよ」「清潔ですよ」「生ごみを捨てる手間から開放されますよ」「簡単ですよ」・・・・と、「だから、このマンションはいいですよ」と宣伝します。
ただし、医薬品と同様、副作用もあります。便利なものには裏があるのです。「ちゃんと流れない」「排水管が詰まる」「排水管清掃が大変」「滞留した生ごみの悪臭がする」、目に見えないところでいろいろと大変なことが起きているそうです。そして、「自分のところだけよければそれでいい」という問題ではなく、当然、公共下水道〜下水処理施設にとっても負担を大きくしています。どうやら、このシステム、実は「ろくなもんじゃねえ」(copyright :Tsuyoshi Nagabuchi)みたいです。
普通、排水管の清掃というのは、建設初年度は必要なく、2年目以降、毎年1回やればいい、というのが標準ですが、ディズポーザ設置マンションでは、「初年度から必要」「その後も、年に2回実施が必要」だそうです。排水管清掃というのは、1戸あたり1回5000円前後の費用がかかりますが、ディズポーザ・マンションでは、これが倍になってしまいます。つまり、維持費が大きくなるということです。また、単純に「倍」というわけにはいかないそうです。それは、「清掃の手間が普通のマンションよりもずっと大変なため、時間もかかり、通常の料金ではできない」からです。
特に問題になるのが、「卵の殻」です。ディズポーザでクチャクチャに破砕されるものの、もともと固形物ですから、水に溶けるわけでもありません。また、比重がけっこうあるため留まりやすいです。そして、油分とくっついて、しつこく配管内にこびりつくそうです。この結果、排水が詰まり逆流することがよくあるそうです。
ディスポーザは使用上の説明として、「使用後は水を大量に流して下さい」となっているそうですが、たいていの人は、それを守らず、目に見えなくなれば安心して、そのままだそうです。実際は、横管内に残らないように、相当量の水を勢いよく流さないと、流れないそうです。ディスポーザは水の浪費の原因にもなります。
卵の殻は、普通の高圧洗浄でもなかなかきれいにならず、頭痛の種だそうです。最下階の下にある「排水枡」にも、どっさりと沈殿しているそうで、これは手作業で掘り起こすそうです。
これに加えて、ディスポーザの困ったところは、「最新の高層マンションに多く採用されていること」。高層マンションは排水管清掃業者泣かせだそうです。高い階まで、高圧洗浄ホースを届かせるのは至難の業で、通常より高い圧力も必要だし、長いホースも必要です。「途中に清掃用の"進入口”でもあればいいが、それがない。高層マンションの建築設計者は、建てたあとのメンテナンスのことを何も考えていない設計をしている」とのことです。姉歯同様、「外側だけ立派ならそれでいい」という思想なのでしょう。しょせん、彼らは実際にそこに住む人のことなど何も考えていないのです。(これは、当マンションでも日ごろ実感することです。エアコンの取り付け用スリーブ穴の位置ひとつとっても、??? 何も考えてないなあ、と思うことしきりです)
私ら素人が考えるに、「管理会社を子会社として抱えているデベロッパーなんだから、設備管理面の問題などが設計者に意見としてあがっているはず。それを考慮して、実際に住みやすい・メンテナンスしやすいマンションを作っているはず」です。
しかし、事実はそうではないようで、管理会社からの意見など何も聞いてないようです。ですから、いまだに、「メンテしにくいマンションが次々に建っている」のが現実だそうです。
デベロッパー系の管理会社というのは、デベロッパーから見て、かなり、さげすまれている、下層社会だそうです。つまり、デベロッパー会社でつまはじきにされた「こいつは使えねえ社員だ。○○管理に飛ばしてしまえ」という、箸にも棒にもかからない「ペケ社員」が、管理会社に出向・移籍し、支社長とかになっているのです。つまり、子会社である管理会社側から、親会社であるデベロッパーに意見などいえる状況ではないそうです。
馬鹿な業界ですね。生の経験を豊富に持っている管理会社を抱えているのなら、その経験を生かして、他社に比べて優秀なマンションを作れるのに、それをしないなんて。
なんともはや、もったいないです。
2014 追記
分譲会社の直系の管理会社の場合、「左遷先」であると同時に「天下り先」でもあります。ですから、マンション管理会社の中に、役員が大勢居たり、肩書だけで何もしない社員がいっぱいいたりします。こういうのを養わないといけないために、「管理委託費が高額」というカラクリがあります。公務員が、高級好待遇だから、消費税を上げないとやっていけないのと同じです。消費税が「社会福祉のために使われる」っていいますけど、あれは、「公務員の社会福祉」ですからね。中小民間企業の人なんかの社会福祉のことは、眼中にありません。
昨年から、長谷工さんが、大々的なテレビCMを打っています。「建築と、管理の両方」を宣伝するもので、「自分で作っているから、管理のこともよくわかっている。だから、管理会社の長谷工も、いい会社だ」と言いたいようですが、実際は、「この人達、何もわかってないじゃん」ということも多いようです。本当は、建築と管理と、両方が有益な意見交換をして、いいマンションを作って欲しいのですけどねえ。
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