管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

県内犯罪多発地域 ワースト1の称号


かわいい顔してやることはこわい


2006/12

 「県民だより」の12月号は毎年、「防犯特集」になるのが慣例です。そして、県内の犯罪状況の集計発表もあります。昨年、当地域は「犯罪発生率 ワースト3」だったんですが、今年はついに”栄光の1位”に輝きました。おめでとうございます。夏には、信金強盗もありました。夜、自転車のライトをつける人は皆無です。ゴミの不法投棄もすごいです。交通事故もよく起きます。自転車泥棒は日常茶飯事。ひったくりもしょっちゅう。中学生はみんなタバコ吸いながら歩いています。 ・・・・・ これじゃ当然の結果だな。

 私が感じるに、とにかく子供たちのガラが悪いです。要するに
親の躾がなってないということです。



 初秋のお話。はすむかいのマンションの管理人さんと世間話をしていた時のこと、その管理人さんと仲のよい、そのマンションの住民(老婦人)がやってきて、「この前、あたし、ひき逃げされたのよ」と話を始めました。

 商店街を歩いていたそのご婦人。後方から、自転車に乗った小学生の集団がやってきて、最後尾の自転車が、そのご婦人のショルダーバッグにハンドルをひっかけ、その結果、ご婦人は転倒してしまいました。ひざを痛打して、立ち上がれません。ご婦人は大きな声で叫びましたが、その小学生の集団は逃走。周囲にいた人たちも、追いかけるわけでもなく、そのご婦人を助けるわけでもなく、見て見ぬ振りをしていたそうです。
 そのご婦人は実は、リューマチか何かを患っていて、ちょうどかかりつけの病院にいく所でした。10メートルも歩けば、その病院という場所での事故だったため、そのまま病院まで這って行き、治療をしてもらったそうです。幸い、骨折などの大怪我ではなく、単なる打撲で済んだそうです。

 このご婦人、不思議なのは、「救急車も警察も呼ばなかった」「病院での治療も交通事故扱いにしなかった」ということです。

 私の感覚だと、「なんでその場で警察を呼ばなかったんですか? ひき逃げは重大な犯罪ですよ」と思うのですが、「いや、なんかそんな大げさなことにすると恥ずかしくって」と年配者らしい羞恥心をお持ちです。「でも、交通事故は普通の保険じゃ治療できませんよ。交通事故として申請しないと」「でも、怪我したのがちょうど病院のすぐそばだったし、もともと、その病院にかかってたから、普通の保険で治療してもらったのよ。そのほうが簡単だし。交通事故だと手続きやらなんやら大変でしょ。」とのこと。なんとも奥ゆかしいというか。

 「それで、犯人はわかったんですか?」「それがね。小学生の集団の中で、なんか見たことのあるような顔がいたんで、きっと○○小学校の児童に間違いないと思って、○○小学校の校長に電話してみたのよ」(このご婦人、民生委員もしている、ちょっとした地元の名士らしく、教育現場には顔が利くそうです) 「やっぱり、その小学校の子供だったんですか?」「そうなのよ。校長が朝会で話したら、5年生の男の子が自首してきたんですって」「ほう、観念して名乗ってきたわけですか? それで?」「その日、校長から電話があって、放課後に犯人の子供が謝りに来たの」「それは当然ですね」「それがね、一人じゃないのよ。いっしょに自転車に乗って集団暴走していた仲間全員を連れてきたのよ、総勢12人。」「大人は? 先生とか保護者とか?」「先生はいなかったわ。犯人の子供の母親が一人だけ」「子供は12人で、保護者は一人だけですか?」「そう。でもね、マンションの廊下に子供が12人も並んで、謝られたってね。こっちが恐縮しちゃうわよ。だいたい、足を怪我して、立ってるのがやっとの状態だから、長い話もできないし。」「でも、交通事故なんだから、謝罪すればいいっていう問題じゃないでしょ。治療費とか、慰謝料とか。しかし、子供の自転車だと、保険は入っていないだろうし、どうしたんですか?」「親がね、菓子折りひとつ差し出して、なんとかこれで勘弁して下さい、って言うのよ。私は内心では、自分の子供が交通事故起こして、おまけにひき逃げして、そんな重大な犯罪を起こしておいて、菓子折りひとつで解決しようとするのか? ふざけるんじゃないわよ。と思ったんだけどね。しょせん、こんな親じゃ、何言ってもどうしようもないとあきらめて、それでよしとしちゃったのよ。だいたい、自分だけで来れないで、他の仲間をずらずらと引き連れてくるなんて、責任感ないでしょ」「まあね、一人じゃ謝れないから、大勢で行ったんでしょうね。暴走族と同じ集団心理ですね。それにしても、あなたも心が広いというか、それで済ませてよかったんですか?」「幸い、怪我もたいしたことなかったから、面倒は避けようと思って。それに、警察が関与する大問題になると、この子達も逆恨みするかもしれないじゃない? あたしの名前も住所もわかっちゃってるんだから、こわいでしょ」「たしかに、それもありうるでしょうね。今、小5だとすると、これからどんどん悪くなっていきますからね」

 ご婦人は、去っていきました。その後、そこの管理人さんと話しました。「謝罪に来たっていうけど、その後、その子たちも、当事者の親も、玄関ホールで笑ってたよ。全然反省なんかしてない様子だったよ」とのことです。まあ、今の小学生なんてそんなもんでしょう。本当に反省していたら、大勢で押しかけるなんてことはしないし、母親だけでなく両親揃って謝りに行くのが筋でしょう。それに、怪我させておいて、菓子折りひとつは非常識でしょ。下手すると何百万円も賠償金を取られるケースなのに、菓子折りひとつで済んだのですから、超ラッキーというところでしょう。最悪、殺人になったかもしれないのに。恐ろしい世の中です。


 後日談

 このご婦人、「軽い怪我」だと思っていたのに、実はけっこう重傷(というか、この怪我が引き金になって、ひざをかばうために腰を悪くしたとか、あちこち、悪くなってしまった)で、なかなか直らず、治療費もかさんでしまい、「やっぱり、警察沙汰にして、ちゃんと賠償してもらうべきだった」と今、愚痴をこぼしているそうです。


2016/11追記 後日談の後日談

 このご婦人、このケガがもとで、「ほとんど寝たきり」になったら、その後、認知症を発症し、それが急激に進行し、一気にボケてしまい、翌年には施設に入り、そして、3年後に亡くなったそうです。ある意味、この小学生たちは殺人犯と言えるかもしれません。








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