管理人はつらいよ　　　
マンション管理最前線

　ある朝、住民Ｄさんがやってきて、「おい、管理人、昨日（日曜日）の昼間、マンションの駐車場で車上荒らしにあった。犯人を捜すから、防犯カメラを見せろ」と言ってきました。

「すいません、Ｂさん。うちのマンションには防犯カメラないですよ」
「なに？　たしか、役員のＣさんが、防犯カメラなんたらって言ってたから、すでについたと思っていたが・・・」
「たしかに、取り付ける方向で理事会さんは検討しているようですが、まだなんです。大きな案件ですから、次回の定期総会にはかることになります。ですから、うまくいっても、実際に稼動するのは今年の６月以降じゃないでしょうか？　ところで、車上荒らしって、どういう状況だったんですか？　何が盗まれたんですか？」
「昨日、車に乗ろうと、エンジンを暖めて、ちょっと離れていたすきにやられた。盗まれたのは、ウーロン茶のペットボトル１本だ」
「はあ、エンジンかけたまま、車を離れていて、その間にやられたんですか？　でも、ウーロン茶１本だけなら、被害はないのと同じじゃないですか？　よかったじゃないですか？」
「何を言うか、ウーロン茶１本でも、泥棒は泥棒だ。今すぐ、警察を呼べ！　管理会社の管理責任もあるぞ！」
「ちょっと待ってください。駐車場の契約書お持ちですよね？　そこには、”管理組合は駐車場内のトラブル・・・責任を持たない”と書いてありますよ。それに犯行時間は日曜日だし、管理会社はまったく関係ないですよ。」
「契約書なんて知らない！　なに？　責任がないだと！　・・・・・」
「わかりましたよ。じゃあ、１１０番しますから。１　１　０　警察が出ましたよ。では、お話ください」（受話器をＢさんに渡す）　
「はい、あの・・　　いえ、・・・・なんでもないです」（電話を切る）　
「急に電話をかけても、話せないだろ。」
「何言ってるんですか？　警察を呼べ、といったのはＢさんじゃないですか？・・・」　（その後，無駄な会話が続く）

　おそらく、警察を呼んでも、「エンジンかけっぱなしで車を離れたあなたの責任です。」で終わりです。ペットボトル１本の被害くらいで警察も動けないです。動いても、記録に残すだけで、捜査なんかしません。今、警察は身内の犯罪の捜査＆もみ消しに忙しいんですから。

　このＢさんというのは以前から問題になっていた「困ったちゃん」です。
　自分の車に乗る際に、必ず「暖機運転」を１０分間します。型が古い車なので、「エンジンがあったまるのに時間がかかる」とのことです。でも、どうでしょう。３０年前の車ならともかく、北海道でもないこの土地で、暖機運転はそんなに必要じゃないですよ。必要だとしても、２分くらいじゃないでしょうか？　それをこのＢさんは、毎回、夏でも冬でも１０分間、必ず暖機運転をします。チョークを引っ張ってやっているようで、この間、かなりの騒音と、排気ガスが放出されます。以前から、車の近くの１〜２階の部屋から苦情が来てました。私から伝えたのですが、「じゃあ、なにか？　俺の車が交差点の真ん中で突然エンストして、交通事故でも起こしたら、オマエが責任取れるのか？」と難癖をつけられ、そのままです。いまだに苦情はつきませんが、事実上、放置しています。
　このＢさん、暖機運転の際に、車の中にいればいいのに、「１０分間ももったいない」ということでしょうか？　いつも、いったん、自分の部屋に戻って、１０分後に再び出てきて、車に乗って出かけます。つまり、この間、誰でも簡単に、Ｂさんの車に乗ることが可能です。車のドアも鍵はかけません。つまり、無用心なんです。私は、ボロ車だから盗まれてもいい、くらいの気持ちかなと思っていました。

　それにしても、「防犯カメラがあるのかないのかも知らない住民がいる」「理事会の案件を全然住民に伝えない理事会」、どっちもどっちです。　

こんなバカ住民の相手もしなくてはならない管理人。今日も超つらいよ。トホホ。

　　

2007/1