管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
施設見学会 開催しませんか? |
マンション管理の「2本柱」というと、ひとつは「会計業務」、もうひとつは「設備管理」だと思います。
会計に関しては、毎年、総会時に書類が発表されますから、ある程度はわかると思いますが、設備に関しての報告はほとんどないのが実際だと思います。マンション住民は、自分が住んでいるところでありながら、まるで自分の背中のように、「自分のものなのに、その目で見たことがない」、マンション内のいろいろな設備があります。
<屋上> 普通は、安全のために、屋上は閉鎖されていますから、一般居住者は見たことがないはずです。しかし、屋上は「防水」という大切な役目をもっている、建物の中でもっとも大事な部位です。当然、屋上にあるエレベーター機械室も見たことがないでしょうし、屋上の給水タンクも見てません。。
<ポンプ室> 水道施設の要です。これも普段は入れません。
<水道メーター集中監視盤> ここに全室の水道メーターが集中して置かれています。しかし、ふだんは中は開けられないため、「あそこの白いボックスはなんなんだ?」と疑問に思っている住民もいるでしょう。
<キュービクル> 電気の変圧施設です。これも、普段目にふれる場所にはないのが一般的です。
<管理室> 事務作業だけやっているわけではなく、警報装置・電気の配電盤などの機械類もこの部屋の中に入っています。防犯カメラが設置されたマンションでは録画装置やモニターもここにあるはずです。共用部の電灯のタイマーもここにあります。管理室は1階のあるのが普通のため、大雨で床上浸水などになった場合に、配電盤が水に浸かる可能性もあります。
<貯水タンク> 1階部分にあったとしても、中を見たことがある人はいないでしょう。年1回の清掃の直前はけっこう汚れています。
<施設倉庫> いろいろな備品を収納しています。
<集会室> 組合関係の書類倉庫も中にあるはずです。
<エレベーターかご内のトランク> 緊急時にストレッチャーごとエレベーターに入れるように、トランク付のエレベーターがありますが、ふだんは使いません。
<排水管> 排水管は非常に大切な設備です。廊下の雨水排水管は外から見えます。でも、じっくり見たことがある人は少ないでしょう。建物内の排水管は目に見えません。自分の部屋からでた下水がどこをどうとおって、公共下水道に注いでいるのか知っている人はまずいません。
このように、「ふだんは鍵がかかっているために一般住民は入ることができない、見られない施設」がマンション内にはたくさんあります。また、当マンションのように、「東棟と西棟の2棟からなっている」ような複合的なマンションの場合、「東棟の住民だから、西棟には1回も行った事がない」ということもあるでしょう。商業施設と住宅施設が混合したマンションでは、店舗のことは全然知らないという居住者ばかりだと思います。このように、鍵がかかっていなくても、「行く必要が普段はないので行った事がない。だから様子は知らない」という場所もたくさんあると思います。
実際に維持管理をするのは管理会社だとしても、「自分のマンションの中にはどんな設備があるのか」程度は、住民は知っておくべきです。知らないことには、「あそこの設備が調子が悪くなりまして・・・・」と管理会社から言われても、なんだか理解できません。特に、役員に任命された人は最低限の知識として必要です。
そこで、私から提案です。これから、総会が開催される季節なのでグッドタイミングだと思います。
「総会終了後にマンション内施設見学会を開催しよう!」
総会は、普通は土日祝の日中に行われるはずです。終了後の時間でもまだ外は明るいです。そして、マンション住民が一番たくさん集まる好機です。特に、次期役員はたいてい全員出席しているはずです。そこで、総会が終わったら、ふだん見ることができない場所を重点的に見学をするのです。参加住民のほとんどは、「へえ。こうなってるの?」「ここがそうか? 今まで全然知らなかった」と新鮮な気持ちで見ることができると思います。大規模修繕が間近に迫っているマンションでは、いくら文面で「屋上の防水コートがはがれそうです」と説明されていても、実際に目で見ることに勝るものはありません。写真が添付されていても、一部を切り取ったものではなんだかわからないし、全体を写した写真では、細かいところがわかりにくいです。
できれば、管理人か、もしくは、毎月設備点検に来ている管理会社の点検員が案内しながら説明するのが最適です。こうやって、まず役員任期の最初に、実物の設備を見せて、その問題点を解説したあとで、そのあとの理事会で、「屋上防水のことですが・・・・」と議論すれば、話も早いはずです。
今、関心の高い「防犯」に関しても、設備のことを知らないと、「この前、悪質な訪問販売がやってきたので、部屋の中のインターホンについている”警報”ボタンを押した。大きな音はしたが、管理人も警備会社も来なかった。どうなってるのか? 断線してるのか」「いいえ、うちのマンションの場合は、部屋で警報がなるだけで、その他にはどこにもつながってません」といった勘違いも起きます。警報装置の仕組みについても、この見学会で教えればいいんです。
また、土日や夜間など、管理員がいない時間になにか電気トラブルが起きても、役員だけで対処できるように、「落雷などのショックで共用電源が落ちる可能性があります。そのときは、この配電盤のこのスイッチを上に上げれば、復旧します」といった、非常時操作方法を教えておくのもいいことです。緊急時は警備会社は20分前後でやってきますが、彼らは電気関係のことは何もわからず、対応できません。対応できる設備員が到着するには、2時間以上かかる場合もあります。それよりも、軽微なものなら住民自らが対処すればいいだけのことです。オートロックのマンションでは、電動自動ドアのため、停電時はドアが開かなくなることがあります。しかし、自動ドアには「緊急時の手動開放スイッチ」というのが必ずあります。理事長くらいだけには、それを教えておくのもいいでしょう。
とにかく、自分のマンションのことです。すべてを管理会社任せにするのではなく、なるべく、自分たちで勉強してしておくべきだと思います。そのために、ぜひ、年に一回でいいですから、施設見学会をやりましょう。(こういう面倒なことは管理会社から提案することがまずありません。組合から管理会社に要求してください)