管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

ヒモ の見栄 







 通勤管理の私は、基本的には昼間しか働いていません。ですから、昼間マンション内にいる人としか顔を合わせません。そういうわけで、土曜日を除き、普通に働いている住民とはめったに顔を合わせないのが当たり前です。だいたい、どこの家でも男の人は働いていますから、ご主人の顔を知らず、主婦などの「女性」と接する機会のほうが多いです。

 となると、「年金生活者でもない年齢の、昼間なのに、しょっちゅう顔を見る男性」が目立ちます。このマンショには私が把握している限り、「結婚をしていないが男女二人暮し。女性に働かせて、自分は毎日ゴロゴロしている男性。いわゆる 
ヒモ」が3人はいます。
 個人的には大嫌いな人種です。他の住民はわからないはずですが、管理人は、「その部屋の区分所有者の名前」「その部屋の管理費を払っている人の銀行口座の名義」を知っていますので、「この部屋は女性名義で、口座もその女性のもの。しかし、男性といっしょに住んでいる。要するにヒモだ」ということがわかります。

 この人たち、3人とも、ほんと何もしないです。何もしないのなら、ずっと部屋の中にいるかと思うと、そうでもないです。相手の女性は働きに出ていますから、一人では寂しいのでしょう。しょっちゅう外には出ます。犬の散歩だったり、パチンコだったり、買い物だったり・・・ そんなわけで顔を見る機会が多いです。こういう人は普通は「こっちが挨拶してもシカト」という、無愛想な人が多いのですが、たまに、「これ、やるよ」と上機嫌で桃の缶詰をくれたりします。パチンコでとったそうです。物もらうのは基本的にNGだし、私は桃は嫌いなので、断りますが、無理やり置いていきます。それから、毎日マンションにいるためか、いろいろと見つけてきて、管理人に苦情を言います。「10階の子供がエレベーターに自転車を載せていたぞ、注意しろ!」とか。ほんと、暇みたいです。

 でも、ヒモにも「男の意地」があるのでしょうか? 表札に関しては、「男の苗字 女の苗字」の順番で書いてあります。生活を支えている女性のほうが後なのです。これだと、パッと見には、「男が所有する部屋に、女が同居している」ように思えます。でも、実際は、女性の所有する部屋なんですけどね。

 まあ、とにかく、いい身分です。何にもしないでいいんですから。

 ところで、内縁関係でない夫婦の場合でも、苗字が二つある場合があります。それは、新婚さんです。「鈴木 (佐藤)」とか書いてあることがあります。これは、「結婚したばかりなので、旧姓で郵便が来たり、荷物が届いたりすることがあるので、そのために、旧姓を併記しておく」という意味です。今の郵便屋も宅配業者も、宛名の苗字が違っていると、持ち帰ってしまいますから、こうしておいたほうがいいのです。

 でも、そういうのはややこしいなあ。野次馬根性旺盛な井戸端主婦が、「あの家、内縁関係なのよ・・・・」と噂する場合もありますから、要注意です。

 ところで、ヒモの男性は、当然ながら、その部屋が管理組合の役員就任の順番になっても、役員は「女性」なので、男性は、役員としての仕事を何もしません。ヒモの人は、すごく暇なんだから、そんなに暇なら、理事長にでもなって管理組合の活動を手伝ったらどうでしょうか? って思うんですけど、働く気はないんでしょうね。組合に文句を言うくせにね。


2007/5