管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

防犯カメラ 6 ステッカーの貼り方






 この前の定期総会で「防犯カメラ装置設置」が決定され、すぐに工事が行なわれました。「完成しました」と工事業者に言われたあと、「何か変だなあ」と感じ、よ〜く考えると、「防犯カメラ作動中」とかのステッカーが貼られていないことに気がつきました。工事業者に尋ねると、「それはうちとは関係ありません」とのお答え。

 ステッカーに関しては、私が以前防犯カメラの研究をしていた結果として、「ステッカーの貼り方は大事な問題である。貼らなくては抑止効果がないし、あまりベタベタ貼るとみっともない。苦情が来ることもある。」ということがわかったため、理事長にも、担当フロントにも、「ステッカーのこともちゃんと決めておいて下さいね」と何度かお願いしたのですが、「忘れていた」とのこと。

 今回の防犯カメラは警備会社○コム(警備装置が設置したあったのに、空き巣に入られたN島監督の家で契約している会社)による設置なので、このS社の担当者に電話をしました。「うちでは、その件はなにも聞いてませんので」とか、バカなことを言ってます。「ステッカー貼り付けまで含めて全部で、防犯カメラ設置でしょ!」と怒ってあげました。「理事会が何も言わなくても、おたくのほうから、”ステッカーはどうしますか?”と聞くのが、一流の警備会社じゃないの?」と注意したのですが、「いや、でも・・・」とか弁解してます。たしかに、理事会側が何も言わないのも落ち度なので、それ以上は突っ込みませんでした。
 決定を下した前年度理事長に話したら、「私はもう理事長じゃないんで、新理事長に聞いてよ」とあしらわれ、新年度の理事長に、「どうしますか?」と聞いたら、「管理人さんのほうで適当にやっておいてよ」「でも、変な貼り方をすると、あとで住民から苦情が来るかもしれませんよ?」「大丈夫だよ、うちの住民は鈍感だから」とかなんとか、結局、新理事長は自分で考えたくないようで、私に責任を押し付けられました。理事長がそう言ってるんですから、管理会社の社員としては、こっちでやるしかありません。しかし、私も素人です。それで、S社に、「おたくは専門家なんだから、おたくのほうで適当に数箇所に貼ってくれないか?」と頼んだのですが、「こちらで場所を決めることはできません。組合さんで指示していただかないと」 しょうがないんで、私のほうで、「どこに、どんな大きさのもの(ステッカーのデザインはみな同じだが、大きさが3種類ある。FAXで見本を送ってもらった)を貼るか?」研究してみました。

 私個人で決めるとろくなことはないので、見かけた住民に声をかけ、「ここにこんなのを貼ろうと思うんですが、どうですか?」と聞きました。でも、人によって回答がバラバラで、「もっと大きいのはないの?」と言われた場所で、「カメラがあるのは見ればわかるんだから。ステッカーなんかなくてもいいんじゃないの?」と言われたり、住民各自の意見を聞くほどにややこしくなってきたので、住民の意見は無視することにして、近所の別のマンション(カメラ設置済み)へ行って、実際にどのように貼られているか? リサーチしました。それで、ステッカーの配置を決めました。(いちおう、今期理事長に承諾を得ました)

 そして、S社に電話をしたら、「すいません。今、ステッカーの在庫がなくて、新しいのを製作中です。1ケ月ほど待ってください」だって! 「なんで、それを早く言わないんだよ」と怒りましたが、後の祭り。1ケ月経過しましたが、S社からは何も言って来ません。そして、雷門健忘症の私は、ステッカーのことをすっかり忘れていて、もう1ケ月経過しました。合計2ケ月経過したある日、住民の一人から、「なんで、ここの防犯カメラにはステッカーがないの?」と言われ(2ケ月間誰も言わなかったのもすごい)、ようやく思い出しました。すぐにS社に電話すると、口には出しませんでしたが、担当者が忘れていたようです。
 私も忘れていたので突っ込むこともできず、「まあ、いいから。とにかく、出来上がったステッカーを必要枚数だけ送ってよ」とお願いしたら、「送ることはできません。うちの職員が現場に行って、職員が貼ります」との返答。「別にわざわざ来なくてもいいよ。私がやるから」と言ったのですが、「いいえ、規則でそうなってますから」と言い返します。
 なんでも、S社とかA社などの有名警備会社の防犯カメラステッカーは、価値があるらしく、ネットオークションにも出ているそうです。実際は警備契約していない家で、防犯性を高めるために、ダミーのカメラを取り付け、そして、有名警備会社のステッカーを貼ると、効果があるそうで、そのために、お金を出してステッカーを買う人がいるそうです。そして、そういう需要があると、警備会社内部で、ステッカーを横流しする輩も出現し、「これはまずい」ということで、今は、ステッカーは貴重品並みに厳重に管理されているそうです。1枚1枚にシリアルナンバーが刻印されています。
 そういう状況のため、「管理人に渡して終わり」ではまずいんだそうです。(管理人が横流しするってことかい? 信用ない職種だなあ) そんなわけで、昨日、ようやく、S社の係員が来て、ステッカーを貼っていったのですが。

<まっすぐに貼れない不器用な奴>
水平が曲がってます。後方から私が「ちょっと右側を下げて」とかアドバイスするんですが、この人の水平感覚がおかしく、どうやっても曲がります。「おい、君さ。エアコンの工事業者なんかが持っている、水準器、持ってないの?」「すいません、ありません」 何回か貼り直ししたら、ステッカーの粘着力がなくなってきました。「ねえ、予備のステッカー持ってきてるの?」「いいえ、ちょうどの数しかありません」「じゃあ、どうするの。このステッカー、もう貼れないジャン」「すいません、接着剤とかありませんか?」「ええ?・・・・」 
何考えてるんだか。

<脚立も持ってきてない>
 駐車場を監視するカメラについては、高い位置にステッカーを貼るのですが、この係員、ステッカーを持ってきていませんでした。しょうがないので、うちの脚立を貸しました。

<デコボコ面に貼れない>
 場所が屋外で、かつ、貼る面がデコボコしている箇所があったのですが、そういうのに対応したステッカーはないそうです。「屋外に貼ることはよくあるだろう?」「すいません。用意してないんです」「なんで?」「すいません、私はただ、これを貼って来いと命令されただけなんで・・・・」 宮仕えも大変です。
 仕方ないので、急遽場所を変えて、なんとか貼れる場所に貼りました。

 そんなこんなで、ずいぶん時間をかけて、なんとか予定の場所全部に貼り終えました。

 そうしたら、今朝、役員の一人が来て、「あそこにも貼ったら?」とか忠告してくれました。(なんで今頃?)  その後、役員ではないけど別の住民が「もっと低い場所がいいんじゃないの?」と好き勝手なこと言ってくるし。
 S社に電話して、「また来てくれないか?」とお願いしたら、すごく嫌そうな返答だったので、あきらめました。どうせ、この役員以外にも、「ここにも」「あそこにも」と言ってくる人が出現するでしょうし、接着剤で無理やり貼ったステッカーが剥がれてくるだろうし、「しばらくちょっと待って、住民の反応を見てから貼りなおす」ことにしました。

 結局、理事長が「全部管理人さんに任す」とか言っても、住民全員が納得しているわけではありません。

 ほんと、面倒だなあ。メン・ドウは剣道だけにして欲しい。



2007/8