管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
エレベーターの「開閉」のわかりにくさ |
今、エレベーターのことがいろいろ問題になっていますが、昨日、当マンションでもちょっとした、故障による「事故」がありました。
「故障箇所」・・・
エレベーターのドアの先端には、「ドアが閉まる際に、そこに何か物が接触すると、このまま無理やり閉めては危険である、と判断し、ドアを再び開くセンサー」の役目をした部品があります。どのエレベーターにも必ずついていますから、皆さんもご存知でしょう。当マンションの場合、いたずら小僧が多いですから、この部分をよくいたずらして、「バン!」と蹴飛ばして、開かせるとか、やっています。このため、この部品はしょっちゅう壊れます。私からは組合に、「親に厳しく言って、やめさせましょう」と進言してますが、当マンションのエレベーター保守は「フルメンテナンス契約」であり、部品がしょっちゅう壊れたとしても、維持管理費が増えるわけでもないため、組合側が熱心ではなく、「別にいいんじゃないの?」で終わりがちです。
さて、上記のとおり、当マンションのエレバーターは、この「セーフティスイッチ」(専門的にはこう呼ぶそうです)がよく壊れるという前提条件を覚えておいてください。
私、以前から、エレベーターについて不満な点があります。それは、ドアの「開」「閉」のスイッチが判別しにくいことです。ボタンの箇所に漢字で書いてあるのですが、もともとの漢字が似ていることが問題です。「開」「閉」 どちらも、門がまえで、内部の小さな部分がちょっと違っているに過ぎません。瞬間的に見た際にわかりにくいです。それに、最新式のエレベーターではこの文字が大きいのですが、うちのように古いところだと、文字も小さいです。ですから、いっそうわかりにくいです。
「文字ではわかりにくい」ということで、数年前に、操作パネルのリニューアルをした際に、漢字ではなくなり、矢印に変更になりました。(リニューアルは有償で、組合的には本当はやりたくないものなんですが、いたずら書き、というか、針のようなものによる、”いたずら彫り”がひどく、あまりにもみっともないため、交換した次第です)
しかし、この矢印がまたわかりにくいのです。(事前に私に相談してくれないから、こういうことになります。)
「閉める」はこれです。
「開ける」はこれです。
色分けもしていないため、矢印の方向だけで判別します。漢字などの文字ではないということは、外国人の多い当マンションでは好都合で、いいことです。それに、今の新しいエレベーターは皆、矢印表記になっています。「これで、いいんじゃないの? 何が不便なの?」とお考えになる読者も多いと思いますが、これでも、間違いが多発しています。
上記の表記は、「両開き」(真ん中から両端に向かって開く)のドア用です。鉄道にも、「両開き扉」と「片開き扉」がありますが、エレベーターも同様です。当マンションでは全基「片開き」です。片開き扉で、この表示は、ややこしいのです。
本来は、 として欲しかったのです。つまり、「片開き扉なんだから、矢印は1本でいい」ということです。矢印にプラスしてひながなでも表記してあるから、とてもわかりやすいです。しかし、実際は矢印2本の「両開き 2枚扉用」の表記にしてしまいました。
「閉める」を意味するこの表示の「左側の矢印→」は、当マンションのエレベーターの扉では、「開く」の方向になります。
「開く」を意味するこの表示の「左側の矢印←」は、当マンションのエレベーターの扉では、「閉める」の方向になります。
「そんな勘違いする人いるの?」と言う方もいるかもしれませんが、実際、いるんです。こういう、「大勢の人が使う道具」というものは、「ユニバーサルデザイン」という考えで、「どんな人が使っても、間違えないように使える」ように配慮が必要なんですが、エレベーター会社は、配慮が足りません。
このため、開閉ボタンの押し間違いは、当初の予想を裏切り、全然減りません。というか、むしろ増えました。おかげで、私も、「一人の住民が先にエレベーターに乗り込み、その住民が、あとから乗り込む私のために、<開く>ボタンを押したつもりが、<閉める>ボタンだったので、私はドアにドカンとぶつけられた」なんていう経験がいっぱいあります。(本当は、エレベーターのドアというのは5秒程度は開いていますから、わざわざ<開く>ボタンを押す必要はないんですが、親切な人なんです。その親切が仇になります) 自分のマンションのエレベーターなのに間違う人がたくさんいるんです。特に、このマンションは高齢者が多いですし、民度が非常に低いですから、間違いが多いのです。時々、仲の悪い人がいっしょに乗り込んだ際、この「ドカン」をやってしまい、「オマエ、今、わざと<閉める>のボタンを押しただろう!このやろう!」と喧嘩が始まったこともあります。
昨日は、「セーフティスイッチが故障していた」状況に加え、「あとから乗ってくる人のために<開く>を押したつもりが<閉める>だった」という状況が重複し、一人の老婦人が突然ドアにぶつけられました。セーフティスイッチが故障しているため、自動的に開くことはせずに、グングンと閉め続けてきます。<閉める>のボタンを押した人は、パニックになってしまい、何もできません。その危険な状況に気がついた別の人が、ドア外の「呼び出しボタン」を押すまで、十数秒、グングン・ドカンが繰り返されました。そして、この時は、最悪なことに、この老婦人は胸のあたりに木箱のような硬い荷物を持っていたために、その硬い荷物が彼女の胸にあたり、一瞬呼吸困難になりました。幸い、骨折などのケガにはなりませんでしたが、彼女は「このまま終わりかと思った」と言ってました。たしかに危険な状況でした。騒ぎに気がついて急行した私が「念のため、救急車を呼びましょうか?」と声をかけましたが、この年代の人は「救急車なんて恥ずかしい。お上の世話にはならない」という思想の人も多く、「いいです。結構です」と固辞しました。
とにかく、すぐにエレベーター会社に電話して、「また、セーフティスイッチが故障したよ。直しに来て」と連絡しました。
このようなことがあるため、よそのマンションのエレベーターには、おそらく管理人さんが独自に工夫したのでしょう。漢字だけのエレベーターには矢印の書かれたテプラが漢字の横に貼られていたり、矢印だけのボタンのところに、「ひらく」「しめる」というひらがな(漢字だと間違えやすいから)の書かれたテプラシールが貼り付けられたりしていることがよくあります。メーカーさん、管理人がそんな工夫をしなくてもいいように、最初から考えて欲しいです。私も以前から組合さんに、「事故が起きるといけないですから、シールを貼ってもいいですか?」とお願いしていたのですが、「そんなことまで考えなくてもいいんじゃないの?」「テプラなんかないわよ」「余計なことしなくていい」「シールなんてみっともない」と、逆に怒られる始末で、貼れませんでした。でも、明日にでも貼ろうと思います。(会社に頼んでテプラシールを作ってもらいます)
高齢者でなくても、若い人でも、「急に閉まってきたドアに頭をぶつけた」というケースも多発してました。とにかく、スイッチ類がわかりにくいのは始末が悪いです。
エレベーター会社の製造部門も、マンションのエレベーターに関しては、管理人の意見を聞いたほうがいいですよ。ワイヤー断裂問題も重要ですが、こういう問題も重要なんです。