管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

1ドア 2ロック 補助錠設置  賃貸が面倒








 9月に、近くのマンションに強盗が入り、大騒ぎになりました。このため、急に「防犯意識」が高まり、「管理人さん! うちの玄関ドアも2ロックにしたほうがいいかな?」とか、「2ロックにしたいから、鍵屋さんを紹介して!」「管理組合でまとめて注文すれば、いくらか安くなるでしょ! 組合で斡旋してよ」という声が寄せられました。

 この問題は、以前、日本中で「ピッキング犯罪」が多発した際に、「2ロックにしましょう」と、管理組合で斡旋してまとめて注文したことがあり、私から言わせると、「なんであの時にやらなかったの? 何をいまさら」という気持ちなんですが、住民の入れ替わりも激しい当マンションでは、前回の時にはいなかった新住民もいるわけで、組合としても、「そういう声が複数あるのなら、またやろうか?」ということになりました。といっても、実際の事務作業は、すべて私に押し付けられます。いつものとおり、「じゃあ、やることにしたから、管理人さん頼むよ」、これで役員の仕事は終わりです。ご本人たちは何もしません。

 まあ、私も過去に1回経験していますから、どの業者に任せるかもわかってますし、簡単な事務作業なんですが・・・・

 ところが、今回はいろいろと問題が発生しました。

「注文件数が少ない」・・・・今回、業者側からは、「一度に10件以上の注文をいただけるのであれば、2割引にします」と言われています。しかし、注文を募ったら、9件でした。大きなマンションとはいえ、前回同じことをやっていますので、現在すでに、大部分の部屋で2ロックになっており、残りはわずかです。しかし、割引にならないと、何のために組合が斡旋するのか意味が無いです。そういうわけで、「2ロックにしましょう」というポスターを私が作製して、募集活動をがんばらなくてはなりませんでした。(努力のかいがあって、最終的に12件になり、一安心です)
 

「今回の注文者は賃貸部屋が多い」・・・賃貸の部屋のオーナーは「経費をなるべくかけたくない」「貸している部屋のことなどどうでもいい」という、いい加減な人が多いです。このため、前回の募集の際には賃貸の部屋は1件もありませんでした。しかし、今回は、「さすがにこのご時世、2ロックにしないのはまずい」と思ったのか、賃貸の部屋からの注文が8件もあります。このため、事務作業が面倒で面倒で。


 賃貸に住む賃借人から、「泥棒が怖いから2ロックにしたいんだけど、大家(所有者)がウンと言わないのよ。管理人さんのほうから大家に対してプッシュしてくれませんか?」と頼まれました。なんで私、そんなことしなければならないんでしょうか? それにここの大家は、「あの部屋のことは、全部、仲介不動産業者に任せている。自宅には連絡するな」と釘を刺されている、超無責任大家です。完全に管理規約違反ですよ。そういう場合は、不動産屋にまず交渉します。そして、不動産屋が所有者に話をします。決まるまでに面倒な手続きが必要です。

 お金の支払いのこともややこしいです。ドアの鍵ですから、基本的には部屋の所有者である大家が支払うべき性質のものです。ですから、私なんかが考えるに、「工事に立ち会う賃借人が立替払いをして、あとから、家賃と相殺するとか、なんとかして、費用を大家に負担してもらえばいいじゃん」と思うんですが、そうもいきません。「費用は大家さんが払いますので、鍵業者から、大家宛に請求書を郵送してください。あとから銀行振り込みで払います」なんて人がいます。でも、ここの大家って、「全部不動産屋に任せている」とかいって、自分の住所すら管理組合に教えていない不良所有者です。どうすればいいんでしょうか? また、中には、「賃借人が、自分の都合で、2ロックにしたいと言ってるだけなんだから、私は半分しか払わない。半額分の請求書を送れ」なんていう人もいます。こういう複雑な事務作業になってくると、鍵業者も困ってしまい、「請求書郵送するんですか? 切手代もかかるし、事務が面倒だし、組合さんのほうでなんとか代行してくれませんか?」「金額を半々にして、それぞれ、請求書と領収書を作るんですか? そんな面倒なことできませんよ」と私に言ってきます。こちらとしては板ばさみです。

 賃貸にしている所有者って、自分たちがどれほど組合に対して面倒をかけて、かつ、自分たちがやるべき仕事を何もしていない、ということを理解している人は全然いません。普通の神経なら、「いろいろご面倒をおかけしてすいません。領収書なんていいですから、なるべくそちら様のお手間をかけない方法でお願いします」とか、へりくだるもんじゃないですか? たった8件とはいえ、そのひとつひとつがすごく面倒で、私参ってます。トホホ。


 今、消防法の改正で「全家庭に火災警報器を設置しなければならない」ことになりました。これは、本来、住民個人の問題ですが、マンションでは組合で動いているところが多いようです。近くのマンションでも、「管理組合が斡旋して、全世帯に取り付けることになった。でも、その事務作業は全部管理会社に任された。そして、その実務は全部管理人。大変だよ。トホホ」と嘆いている管理人さんがいます。うちでも、いずれ、この問題が出てくると思います。火災警報器となると、当然、取り付け工事の時は、住民の在室が必要だし、また、賃貸の部屋では面倒なことになるだろうし、想像すると恐ろしいです。
(普通の管理会社は、こういう小工事で実はけっこう手数料をとってもうけるんですが、会社は儲けても管理人には何のバックもありません。それに、当社飯加減」は、「こういうのはサービスでいいよ」と言って、会社で儲けようとする貪欲さがありません。いい会社なんだか、それとも、お人よしのバカなのか?)


2007/11



次はこれが来るはず。