管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

水道料金の異変 故障発見 









 2ヶ月に1回、水道の使用料の検針が行なわれます。

 当マンションの場合、「集中検針盤」という装置(全世帯の水道メーターと連動していて、全室の使用量がここでわかります。東芝の特許製品で、これの開発で東芝は大もうけしたそうです)が玄関ホールの裏に設置されており、検針員が各部屋に行くことは不要で、この機械1箇所で仕事は終わります。検針員は、表示された数字を携帯端末に入力し、その場で「使用量明細票」が印刷され、ポストへ投函して終わりです。一戸建てだと大変ですが、マンションだとすごい楽な仕事です。屋根のある場所だから雨でも平気だし。

 ただし、毎回、数件、「前回の使用量と大きく異なる数字が表示される」部屋があります。この場合は、検針員は、各部屋に行って、実際の水道メーターを見て、照合します。メーターの数字と集中検針盤の数字が異なっている場合は、集中検針盤の故障です。(私の知っている範囲で、過去に1回だけあります。) 両者の数字が合致している場合は、機械の故障ではないと判断し、管理人に事情を聞いてきます。

 「101号室。全然メーターが回ってないんですが、引越しでもしたんでしょうか?」「あ、101ね。長期出張で東京へ行ってるみたい。だから、実際は不在です」「あ、そうですかわかりました」  こんな具合で、個人情報保護ギリギリの線で、水道局へ情報を教えます。

 「いつもよりも使用量が少ない場合」は、さほど問題ではありません。問題なのは、「前回の倍になってるんですが、急に家族が増えたとか、ありますか?」というケース。「いや、特になんにも聞いてないなあ」「そうですか? じゃあ、直接ご本人に聞いてみます」 こんな感じで、管理人情報だけでは解決しない場合は、ご本人のところへ行きます。
 「個人の生活のことなんか関係ないんじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、「水道使用量が異常に増える」のは、実は漏水の可能性が高いため、水道局は気にします。当マンションでも、過去に何回もあります。たいていは、トイレのタンク内の故障です。フロートが上がっても、完全に水が止まらずに、常時チョロチョロ流れ続けていることがあります。ご本人に聞くと、「そういえば、なんか、ポタポタ音がしていたような・・・」と、少しは気づいていたようです。ただ、ハリー・ポタポタ程度でも、それが24時間ずっとということだと、「チリも積もればアルゼンチン」で、けっこうな水量になってしまうのです。こういうのは管理人の仕事の範囲外ですが、たいていは私に頼まれて、「ちょっと、トイレの中を見てくれない」と呼ばれて、調べてみます。「わずかですが、漏れてますね。水道屋を呼んで修理してもらったほうがいいですよ」となって、私が水道業者を手配します。古いマンションはこういう仕事が多いんです。

 たいていはトイレ関係が原因なんですが、「トイレを調べても異常なし」「その他を調べても異常なし」の時がまれにあります。こうなると原因を特定するのが困難になります。「しばらく様子を見ましょうか?」といったんそのままにします。すると数週間後、階下の部屋から、「天井が濡れている」といった苦情が寄せられることがあります。これはよく調べてみると、浴室のユニットバスの配管から水が漏れていました。こうなると、修理が大変です。

 とにかく、水道使用量の変化にはなんらかの原因があるため、水道局は気にします。そういえば、過去に1回だけですが、「前回の10倍の使用量が表示されています。こんなこと絶対にありえません。メーターが故障したみたいです。」というのもありました。すぐにメーターを交換しました。

 


 


2007/12