管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

0570 ナビダイヤル 便利なようで不便





 
 ナビダイヤルって、ご存知でしょうか? 0570から始まる電話番号で、「全国どこからかけても市内通話料金で話せます」というものです。電気製品メーカーのアフターサービス窓口の電話番号としてよく使われています。その他にも、大企業の中には「お客様相談センター」などの電話として使っているケースが多く、日々、この番号が増えています。

 
さて、当市では、「市民サービス向上のため」(これは表面的なもので、実際は「組織の合理化」と思います)ということで、今まで、「市政に関することは各セクションに直接電話をしてください」という仕組みだったのを変えて、ひとつの窓口に一元化しました。おそらく、救急患者のトリアージみたいなもので、最初にある程度の話を聴いた上で、振り分けるための、前段階の窓口のようです。実際、「ゴミの件で聞きたいんですが」と電話をかけても、「では、○○清掃局事務所へかけ直してください」とあしらわれます。

 まあ、とにもかくにも、こういうものを設けることは悪いことではないと思います。相談の中には相手先のセクションがわからないものもあり、たらいまわしにされることもおうおうにして発生しますから、きちんとふりわけてもらえるのは良いことです。
 良い事なんですが、この電話の番号が問題です。 0570−×× なんです。

 「市のたより」に、この電話番号が掲載されてから、マンション住民からの問い合わせが急に増えました。その内容は、「電話が通じなくなっちゃたのよ。こわれちゃったのかな? ちょっと見てくれない?」というものです。電話のことだったら、電話会社に聞くのが普通だと思うんですが、すぐ管理人に質問するところが、当マンションの住民らしいです。
 最初は、本当に故障だと思っていたのですが、数人から事情を聞いて、理由がわかりました。相手先がすべて、0570−の番号だったのです。そして、マンション住民の電話は、「IP電話」か「ひかり電話」などのいわゆる「インターネット電話」でした。

 ナビダイヤルのことを調べてみたら、「PHSからはかけられない」「050−から始まる電話からはかけられない」といったことがわかりました。要するに、電話の故障ではなく、「かけられない電話番号にかけたから、つながらない」ということでした。でも、インターネットの普及により、IP電話が急増しており、IP電話からかけられないというのは実に不便です。

 市側でも、苦情が殺到したらしく、翌月の「市のたより」には、「0570−の番号の他に、一般電話番号のものを設置しました。PHSやIP電話からはこちらの番号をお使い下さい」と書いてあり、結局、番号が2種類になりました。一元化したはずなのに、逆に面倒なことになりました。市政に関することですから、ほとんどが市内からの発信になるはずですから、ナビダイヤルにするメリットはないと思います。

 最初の告知の段階で、「発信できない電話があります」ということをきちんと注意書きで書いておくべきです。毎度のことですが、役人の頭の中は浅はかです。
そして、そのしわ寄せはいつもマンション管理人にきます。

 
ますます公務員が嫌いになりました。





2008/1