管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

管理業務の事業系ゴミ





 マンションの住民の中には、なにかしらの自営業をなさっている方も当然いるわけでして、そういう人が、自分の仕事上で発生したゴミを家に持って帰って、家庭ゴミとして出す人がいます。先日も、「業務用」と大きく書かれた、巨大な「カレーのルー」の缶が3個ほど、ゴミに出ていました。

 その他にも様々な「これは家庭内では使わないだろう」というものがゴミをして出されます。明らかにおかしいものは、「収集拒否」にあうこともあり、この場合は、「事業系ゴミはここに出さないで」と貼り紙をして、放置します。
 微妙なのは、「経営コンサルタント」とか「保険代理店」とか、事務系の、いわゆる、「自宅兼事務所」として、このマンションを使用している商売の方のゴミです。そういう職業の住民が何件かいます。この人たちは、時々、膨大な量の「シュレッダー済みの紙ゴミ」を出すことがあり、びっくりします。でも、「事業」と「家庭」の境界線が判定しにくいため、我々は、大目にみて、処理しています。

 一番困るのは、完全に「犯罪」のゴミ。まったくの他人が、建設廃材など、事業系ゴミを自動車かなにかでここまで運んできて、当マンションのゴミ置き場に捨てるケースです。これは本当に悪質です。大量のゴミの場合は、当マンションだけでなく、近隣マンション数カ所に分散させて捨てることもあります。

 さて、今回の話題は、上記のようなものではありません。先日、市役所から文書が来て、「マンション管理業務上で発生したゴミは事業系ゴミです。家庭用ゴミとしては出せません。事業系ゴミとして専門業者に申し込んで処理してください(有料)」と書かれていました。文章の内容が抽象的なため、(匿名で)市役所に電話して聞いてみると、「清掃の際に発生したゴミは、事業系ゴミになります」とのこと。その他、「廊下の蛍光灯を交換したら、それも事業系ゴミです」、はては、「管理人さんが事務室内で食べた昼食の弁当の器も事業系ゴミです」とのこと。

 なんか、これって、今まで盲点でした。たしかに、指摘されてみると、管理人とか清掃員が仕事をして、それに伴い生み出されるゴミは「事業によって発生するゴミ」であり、事業系ゴミです。しかし、今までずっと、マンションのゴミ置き場に捨てていました。他のマンションも同様です。秋の落ち葉の季節などは、大量の葉っぱゴミが出るため、さすがに気が咎めて、何回かに分割して出したこともあります。
 ちょっと気になったのは、「住み込み管理人」のケース。役人が言うには、「勤務時間に発生したゴミと、それ以外の時間に発生したゴミを分けて、出してください」とのこと。なんとも、ややこしいです。

 市の言っていることは、いちいち「ごもっとも」なんですが、はたして、「いい加減」が売りのこの業界(マンション管理)、、どれくらいの業者が、従うでしょうか? うちの場合、会社からは「しばらく、放っておけ」という指示が出ています。真面目に、事業系ゴミとして処理をすると、お金がけっこうかかります。その分は会社の経費となり、それでなくても苦しい会社経営を圧迫します。この大不況下、素直に従う会社などないでしょう。

 それにしても、ゴミ関係を筆頭に、本来は役所がやるべき仕事を、役所が経費節減のため、仕事をせずにほうっておくので、我々管理人が、役所になりかわって、ずいぶんと苦労して働いてあげているのに、感謝の言葉ひとつもなく、たまになにか連絡があると、こういう話題です。まったく、役人という人種はなんなんでしょうねえ。

 そういえば、茨城の連続殺人鬼。父親は外務官僚だそうです。裕福な家庭で、わがままに育てられたんでしょうねえ。そして、「一般庶民なんか、殺したっていいんだ」ということを父親から学んだんでしょう。


2008/3