管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

メタボ(メーターボックス)が満杯なんです





 各世帯には、玄関横に「メーターボックス」があります。我々の業界では「メタボ」と呼びます。「メタボリック症候群」のことではありません。

 この中には、水道のメーターとガスのメーターが設置されています。電気のメーターは、ここではなく、玄関扉の上部にあります。水道に関しては、各メーターボックスで検針することも可能ですが、一般的なマンションでは、各世帯のメーターボックスから電気信号が送られ、マンションのどこかにある「水道メーター集中監視盤」というところに情報が集められ、そこ一箇所で、全世帯の水道使用料が一目瞭然にわかるようになっています。(時々、この電気信号が異常になって、ありえない水量が表示されることもあり、トラブルのもとになります。ところで、今さかんに宣伝している
「イーモバイル」の携帯電話も、料金体系に関して、「ありえない!」ミスを会社が犯したらしく、トラブルになっているそうです。会社側は素直にミスを認めず、逆に、いま必死になって隠蔽工作をしているようですが、こういう不祥事は、最初にきちんと謝罪するほうが過去の例を見ても得策だと思います。今回のイーモバイルの対応はよくないですね。社長は、HP上で、「皆様からご鞭撻いただきたい・・・・」とかなんとか言ってますが、一般消費者からの意見は聞く耳を持たないそうです。ひどい会社だなあ。マンション管理会社出身の社長なんだろうか? 「ありえない」会社です。)


 さて、本題に移ります。このメーターボックスは基本的には各世帯の所有物です。そこで、このスペースを「自分専用の物置」として使用する人がいます。自転車の空気入れポンプが置いてあったり、バイクのタイヤが置いてあったり、その家の小学生の息子が親に黙って買ってきたエロ本が保管してあったります。管理人は基本的にはノータッチなんですが、時々、水道局の職員から、「管理人さん、この家の水道メーターが故障しているようなんですが、ちょっといっしょに見てくれませんか?」と頼まれたり、地震がおきるとガスが自動的に遮断されるため、その復旧作業(これがけっこう難解な作業。このため、すぐに、「管理人さん、なんとかしてよ!」とSOSが来ます)のためにメーターボックスをあけることがあり、そういうときに様々な中身が判明します。

 このメタボが、ここのところ異変が起きています。それは、
「メタボがゴミの一時保管場所になっている」ということ。

 ゴミ収集が細分化され、種類によっては「1週間に1回しか回収しない」「1ケ月に1回しか回収されない」という品目があります。また、オバカな市長は、地元向けのケーブルテレビの画面で、大きな一戸建ての大きな台所の中でロケをして、「台所の中に、○○用ボリバケツ、××用ポリバケツ・・・・・・・と種類ごとに容器を分けて、置いておいてください。簡単ですよ」などとバカなことを言ってましたが、そんなだだっぴろい台所ならば、いくらでもゴミ容器を置けるでしょうが、狭いマンションの小さな台所の中には、そんな何種類もの容器を置いておくスペースなどあるわけはないです。臭いも気になります。皆さん、困ってしまい、そして一部の頭のいい人が、自分のメタボを「ここは生ゴミ置き場」「ここは、空き瓶置き場」といったふうに決めて、メタボの中にゴミを一時保管しているのです。
 このため、回収日の前日などは、大量のゴミがメタボの中に詰まっていることもあります。そんなときに、ガス会社の検針員がやってきたりすると悲鳴があがります。メーターがゴミによって隠されて読めないからです。いちいち、いったんゴミを外に取り出してから、検針しなければなりません。水道の検針はいとも簡単ですが、ガスの検針は相当苦労して時間がかかります。そのため、私のほうで、「今日は、回収日の前日だから、一番ゴミがたまってるよ。こんな日に来てはだめだよ。ゴミ回収日の当日に来るのが一番だよ。メタボの中のゴミがなくなってるから・・・・」などとアドバイスしてあげました。

 管理人として本来なら、管理組合と相談して、「メーターボックスの中には、物を置かないで下さい」といった告知をしなければならないのでしょうが、メーターボックスにゴミを入れなければいけないという事情を重々わかっているため、今回は何もしません。ゴミに関しては、「真面目に、律儀に、正確に分別する人ほど大変。家中がゴミだらけになっている」ということで、そういう人が、「置くところがなくてどうしようもないから仕方なくメタボを使っている」わけですから、そんな真面目な人たちに、「置くな」とは言えないんです。

 このように、ゴミ分別の問題は様々な影響が出ています。役人たちは何も知らないでしょうけど。なんでもかんでも管理人の仕事です。



2008/4