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マンション管理最前線

オレオレ刑事詐欺 ハイテク犯罪 携帯電話が逆効果




※今回の記述は、個人情報保護のため、大きく脚色しています。

2008/6

 「20年間無免許で消防車を運転していた(免許証は偽造)消防士」や「無免許運転をもみ消した警部補」「ストーカー判事」「タクシーからワイロをもらう霞ヶ関役人」など、相変わらず腐った公務員ばかりの日本。生ゴミも腐る暑い日が始まっています。みなさんいかがお過ごしでしょうか?

 5月のGW明けでしょうか、警官が当マンションにやってきて、「オレオレ詐欺に注意して下さい」というチラシを置いていきました。「詐欺に遭いそうなお年寄りに配布してください」とのこと。「これだけ、マスコミで騒がれているのに、いまだにひっかかる人、いるかね?」と警官に聞いたのですが、「いや〜、いるんですよ」「そうかい? もういないでしょ? それとも、何か新手の詐欺方法が現われたの?」「いや、それは、・・・・・」
 なんか、知っているようですが、口を濁して言いません。警察用語で言うのなら、「隠してないでゲロしろよ」というところですが、まあ、それくらいにしておきました。

 いちおう、危ない人には配布しました。しかし、6月になって、詐欺にあった人が出ました。これがまた、ハイテクを使った悪質な手口です。

「対象者は、一人暮らしの中年女性」
「息子が一人いるが、昨年、東京の大学に進学し、下宿生活中」
「昨年、一度、飲み会で暴れて、他人にケガをさせて警察のお世話になっている。被害者には示談金を払って、示談にしてもらった過去がある」
「息子は心を入れ替えて勉学に励み、この春、母の日に、らくらくホンという中高年向けの携帯電話を買って、プレゼントしてあげた」

「その携帯電話に、東京の警視庁の刑事から電話が来た」


 その刑事は、「息子がまた暴力事件を起こした」と母親に伝えました。「お宅の息子さん、2回目だし、成人になったし、今度は前みたいには済みませんよ。示談しないと、刑事事件として告訴されて、検察庁に身柄を送らなければなりません」「え? そんなあ。とにかく、息子と話をさせてください。」「今、留置場ですから、話はできません」「そんなあ、ここから東京へは今日中には行けないし、私、どうしたらいいんでしょうか?」「ですから、相手に賠償金を払って示談にするのが一番です。告訴を取り下げてもらえば、警察は何もしません」「お金を払えばいいんですか?」「そうです、私が取り次ぎますから、今から言う被害者の銀行口座に、今日中に振り込んでください」

 ここまできて、この母親は、「もしかして、これって、詐欺じゃないの?」と不審に思いました。

 「あの、刑事さん。刑事さんって、本物の刑事さんですか?」「何言ってるんですか? 本物ですよ。証拠を見せましょうか? 今、お母さんが持っている携帯電話に、発信元の電話番号が表示されていますよね」「はい、03−××××ー0110」です。「日本全国、そうなんですが、警察署の電話番号の下4ケタは、0110なんですよ。110番の110です。うそだと思ったら、おかあさんの地元の警察の番号を調べて見てください。」「あ、はい、今、電話帳を見ます。 (パラパラとページをめくる)  ああ、はい。○○県の警察署は全部最後の下4ケタは0110になっています。」「そうでしょ。0110は警察しか使えない番号なんですよ。わかりましたか? 本物の警察だってこと」「はい、わかりました。疑ってすいませんでした」「それでね、お母さん、今日は金曜日だから、お金を振り込むとしたら今しか時間がないんです。とにかく、急いで、銀行に行って、20万円振り込んでください。相手側は、それで示談に応じると言ってますから。そうすれば、○○君はすぐに釈放します」

 という流れで、この母親は、まんまと20万円騙し取られました。

 今回の詐欺で重要なポイントは、
母親の携帯電話の液晶文字盤に、03−××××ー0110が表示されたことです。誰だって、これだけ明らかな証拠を目の前に出されれば、相手が本物の警察だと信じることでしょう。私でも、信じるかもしれません。発信元の番号を偽造するなんてことはできないはずですから。まして、最新型の携帯電話機ですし。

 ところが、実は、
「電話番号の偽装は簡単にできる」ことがわかりました。

 「何か専門的な機械を買うの?」と普通は思いますが、実際は違います。これは一例ですが、アメリカに「電話番号偽装サービス」を提供する会社があるんです。この会社にお金を払って登録すると、この会社の電話に国際電話をかけて、それから暗証番号を入力して、次に、自分が偽装したい番号を入力すると、相手側の電話機には、偽造した番号が表示されるのです。つまり、福岡の固定電話機から電話をかけても、東京の警視庁からかけたように偽装することが可能なんです。特に通信関係の高度な知識も必要ありません。お金さえ払えばいいんです。

 このシステムには発展形があるようで、携帯電話の液晶画面に、好きな電話番号を表示させるだけではなく、好きな文字も表示することができるらしいです。つまり、オレオレ詐欺の場合は、全然関係のない固定電話から電話をかけたのに、母親の携帯電話の画面に、本物の息子の名前と、息子の携帯電話の番号を表示させることもできるのです。これを使えば、「私は、息子さんの友人の○○です。息子さんは今、警察に逮捕されていて、かわりに私が息子さんの携帯を使って、お母さんと話をしています。実は、事故で相手をけがさせてしまい、治療費が必要なんです・・・・・・」と話を進めることが可能です。母親は、この相手が、息子の携帯を持っていると信じていますから、今までマスコミで騒がれていた、「今、風邪引いていて、声が変なんだよ」といった、うさんくさい、息子になりすます方式の詐欺でもなく、事前に「携帯の番号が変わるからよろしく」と予告するタイプの詐欺でもない、と思い、「これは本物」と信じてしまう可能性が大です。

 実際に、このシステムを使った詐欺が頻発しているようですが、警察もマスコミも積極的には公表していません。私の邪推ですが、「このシステムの存在が広く知られると、模倣犯が発生するから報道管制をしよう」としているのではないでしょうか? この犯罪援助システムはアメリカの会社のため、日本の警察は手を出せないようです。(もしかして、そういうことを見越して、日本人の技術者が設立したのかも)

 携帯電話会社の社員が、内部情報を流出させるのは日常茶飯事で、詐欺師側は、この母親の携帯番号も簡単に入手したはずです。

 とにかく、最近の詐欺は高度化しています。皆さん、気をつけてください。このシステムを使えば、役所の職員に成りすますことも簡単です。いろいろな犯罪に応用されます。

 母親のためを思って買ってあげた携帯電話が、逆効果になりました。電話番号の表示のない、昔ながらの固定電話機であれば、警察の電話番号など表示されず、信用もしなかったであろうに。固定電話の場合も、「迷惑電話撃退のために、ナンバーディスプレーを」とNTTが宣伝してますが、お金を払ってナンバーディスプレーを導入した人が、ナンバーディスプレーゆえに詐欺に遭うケースもあります。まさに、ふんだりけったりです。NTTは今すぐ、ナンバーディスプレーの付加料金を無料にすべきです。

※表示された番号だけで信用せずに、「どこの部署のなんという警官なのか?」をきちんと聞き出し、いったん電話を切って、その該当する警察署に、折り返し、電話をかけて、その警官が本物かどうか確認することが大事です。