管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

電気メーターがリサイクルされているの 知ってました?









 最初にお断りします。私は文科系の人間です。

 さて、どこの家庭にもついている「電気のメーター」(正式名称:電力量計)のお話です。先日、電力会社の下請け業者の人が来て、「電気のメーターは10年ごとに交換することになっています。つきましては、このマンションでも交換の時期が到来しています。来週、交換工事をさせていただきます。ご了解下さい」とのお話。

 こういうのって、赴任以来初めてです。「え? 200個以上を一斉に交換するんですか?」「いえ、今回は約80個です。全部で3回に分けさせてもらいます。残りは、来月と再来月に行ないます。」「80個でも相当大変でしょう。1日で終わるんですか?」「いちおう、3日間でやる予定です」

 詳しく聞くと、停電することもなく、わりと簡単に交換できるそうで、かつ、住民が在宅している必要もないそうです。このため、該当する部屋に、「予告通知」のチラシを入れ、掲示板にも、貼って、それでOKです。

 さて、3日間で交換工事が終わりました。これで一安心です。と思ったのもつかの間、住民から、「交換するという話だったが、うちのは交換してないぞ。古い奴のままだ」という苦情が寄せられました。私は、「もしかして、電力会社の人が間違えて、来月交換予定の部屋にチラシを入れてしまったのかも?」と思い、確認をしましたが、「○○号室はきちんと交換しました」という返答がありました。
 その後も、別の複数の部屋から、「交換してないわよ。」「メーターの製造年が1995年ってなってるぞ、交換してないじゃないか!」という苦情が寄せられ、「いったいどういうことなんだ? 私がいっしょに交換作業を見ていた部屋からも苦情が来ているじゃないか?」と、ちょっとしたパニックになってしまいました。苦情の主の部屋へ出向いて実物を見ましたが、1985年製だったり、1990年製だったり、製造年がバラバラです。「なんなんだこれは? 前回の交換は一斉に替えたんじゃないのか? いや、まて、1980年製って、すでに28年も経過してるぞ、建築当初のまま、一度も交換していないんじゃないか?」、頭がおかしくなりました。再度、工事会社に電話をして、(小さな会社なのに、あちこち、たらいまわしにされました)、直接、工事をした人と話すことができて、ようやく理解できました。

 「電気メーターはリサイクルしているんです」

 「え? 新品に交換するんじゃないの?」「いいえ、取り外したメーターを修理&整備して、また、再利用するんです。ですから、交換したといっても、製造年は2008年ではなく、昔の年なんです」「は、はああ。なるほど。道理で・・・・・」「でも、ちゃんと、<2018年8月まで有効>というシールを貼ってありますから、問題ないはずです」

 交換=新品に替える、と思い込んでいた私や住民の盲点でした。まさか、リサイクルとは? 過去に、水道メーターの交換も経験していますが、この時は新品交換でした。今回の電気メーターには、よく見るとたしかに小さなシールがありました。<2018年8月まで有効>とかかれており、ちゃんと交換していました。このシールに気づいた人も当然いたでしょうが、「新品交換」と思い込んでいる人にとっては、交換したメーターが古いままで、1990年製とか刻印されているのですから、不審に思うのは当然です。
 ちなみに予告のチラシを再度よく見たら、裏に「リサイクルしてます」と小さな字で書いてありました。「よく読まないのが悪い」ということでしょうか?

 まあ、とにかく、苦情や質問殺到なので、急いで、説明を書いた掲示物を作って張り出し、対処しました。来月も80世帯交換しますから、事前に、大きな掲示物を作っておくほうがいいかもしれません。


 それにしても、そういうことであれば、電話を受けた受付の人の段階で「リサイクルなんです」と教えてくれればいいのに。不親切だなあ。


 「長年管理人をやっていて、何でも知ってる」と過信していた私ですが、「なんも知らない、未熟者だなあ」痛感した次第。

 なお、「新品ではないので、カウンターはゼロから始まらない」ということもわかりました。これなんか、今後質問がきそうな問題で、あらかじめ知っておいてよかったです。


 なお、「10年で交換」というのは、「計量法」という法律の規定らしく、「機械そのものの寿命が10年というわけではない」とのことです。実際は、40年くらいは使えるみたいです。




2008/10