管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
課税対象になる 管理組合の収益行為 |
今、販売されるマンションの多くは「駐車場100%完備」といったものが多いです。しかし、「不況の影響で車を手放す人」「高齢化のため、車に乗らなくなった人」「車を持っていた子供が独立して出て行ったために、駐車場が不要になった人」「マンションの機械式駐車場には背の高い車が置けない。今流行のファミリーカーはみんな背が高い」・・・・・いろいろな理由で、駐車場が「空き」になるケースが増えています。
ここで、普通の感覚では、「空きのままではもったいない。(機械式駐車場は維持費もかかるし) 不動産屋に頼んで、外部の人に貸出して、お金を得よう」と考えます。実際に、貸し出しているマンションもたくさんあります。
しかし、落とし穴があります。
「マンション内駐車場を外部へ貸出し場合、区分所有者又はその関係者(同居家族とか、賃貸で入居している人など)以外に対する貸出しは、たとえ1台でも外部貸出しを行なうと、<駐車場業を営んでいる>として、駐車場全体の収入が課税対象となる場合がある」
といったことが、マンション管理士さんが運営する相談サイトなどに書かれています。ネットで調べてみると、実際に、「大阪のマンションで追徴課税2700万円」といった事例があります。
現実のマンションでは、きちんと申告納税をしている組合は皆無だそうで、「税務署にばれなければオーライ」と、外部貸し出しをしているようです。もっとも、「課税されるなんて知らなかった」という言い訳をするところも多いです。ただ、ちゃんとした知識のある管理会社であれば、「外部貸し出し=課税行為」というのは、当然知っておくべき常識ですから、管理会社が管理している物件では言い訳は通用しないかもしれません。
あるサイトでは、「昨今の不況で税収が落ち込んでいる現在、税務署が、いままでは見逃していた、マンションの収益事業に踏み込んでくる可能性が高い」とも書いています。たしかにありうるかもしれません。
某マンション管理士さんは、「空き駐車場が問題になった際、理事会で、”課税対象になりますよ”と警告したが、”ばれなきゃいいんだ”と、外部に貸すことが決まった。自分が違法行為を認めたようでまずい」と言ってました。
「たとえ、外部貸し出しが1台のみでも、全駐車場に課税される」というのが、ミソです。こうなると、少数の貸し出し数では、税金と差し引きすると、貸した方が逆に損をする」ということになり、要注意です。また、正直に申告すると、そのための会計処理もとても面倒になり、管理会社の仕事が増えます。
幸い、当マンションでは、外部貸し出ししている駐車場はないんですが、この件を調べていたら、まずいものを見つけてしまいました。「携帯電話の基地局」や「屋上に設置された広告看板」も課税対象なんだそうです。やばい、うちには両方ともある。しかし、この管理組合では税金払ってません。
両設備とも、当然のことながら、外から丸見えです。税務署に指摘されたら、言い逃れできません。駐車場と比較するとたいした金額ではありませんが、違法は違法です。なんで、うちのフロントは、このことに今まで一度も触れなかったのでしょうか? 無知?
<2011 追記>
※素人考えだと「外部に貸した分の料金だけに課税されるのでは? 居住者用を含めて全体に、というのはおかしい」と思うんですが、いろいろなマンション管理士さんとかのサイトを見ていても、ほとんど「全部」と書いてあります。でも、その根拠が明確にかいていなくて、よくわかりません。なんでなんだろう??
ちなみに最新(2011)国税庁のHPを探してみたら、http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/02/26.htm
マンション管理組合は、その居住者である区分所有者を構成員とする組合であり、その組合員との間で行う取引は営業に該当しません。
したがって、マンション管理組合が収受する金銭に対する消費税の課税関係は次のとおりとなります。イ 駐車場の貸付け………組合員である区分所有者に対する貸付けに係る対価は不課税となりますが、組合員以外の者に対する貸付けに係る対価は消費税の課税対象となります。
ロ 管理費等の収受………不課税となります。
と書いてありました。これを文面どおりに読むと、「組合員以外に貸した場合、その分は、課税される」と解釈できます。つまり、「全部」ではない、ということです。「組合員」という括りなので、「賃貸入居者」がどうなるかが微妙ですが。とにかく、わかりやすい表現ではなく、解釈が難しいところです。実際、各地の税務署(というか担当者)によって、扱いが違うケースもあるようで、はっきししていません。なんか釈然としませんね。う〜ん。