管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

野良猫でてんやわんや





 
ちょっと前に、「野良猫にえさをやっているのを注意されて、きれてしまい、注意した人を殺した」という、殺人事件がありました。

 うちの近所にも、こういう「えさやりおばさん」がいて、問題になっていますが、この事件のために、自治会の役員さんも注意できなくなってしまいました。なんで、こういう「犬猫好き」には、頭のおかしい凶暴な人が多いんでしょうか? 酒井ラリピーの覚せい剤よりも、ペットという「人間の神経を狂わす麻薬」を取り締まって欲しいものです。

 こういった「野良猫にえさをあげて繁殖を促す」人たちのせいで、そして、「安易に飼い猫を捨てる極悪飼い主」のせいで、当マンション内でも、野良猫が増えて困っています。ゴミ集積場に関しては、野良猫対策をとったので大丈夫なんですが、「野良猫が階段を伝わって、上の階に行き、ベランダに侵入する」「洗濯物を汚す」といった事例が何度も発生しています。

 昨日は、「何度も布団を汚されて頭にきていた住民」が、怒って、「この野良猫め!」と叫びながら、金属の物干し竿で叩いたら、なんと、うまくヒットしてしまい、猫が5階(よくここまでのぼるなあ)のベランダからまっさかさまに落ち、ちょうど、その落下位置には、「共用部分なのに、某住民が勝手に作った家庭菜園」があり、そこに突っ立てていた、細い金属の棒に、猫が落っこちて、串刺し状態になり、悲惨な状況で死んでしまった、という事故がありました。
 その、突っついた住民が、あわてて、管理室に来て、「管理人さん、猫を殺しちゃったみたいなの。 なんとかして!」とSOS。終業時間20分前で、終業準備にとりかかろうという忙しい時間帯に、面倒なことを押し付けられてしまいました。

 この前の、「プロレスラーが、虐待するために猿を買って、虐待三昧」とは違い、犯罪ではなく、事故なので、警察に届けたりはしませんでしたが、問題は死体の処理。内臓が破裂し、交通事故に近いような悲惨な状況です。
 とりあえず、役所に電話しようと、かけたら、すでに「閉庁」してました。「明日また役所に電話をかけて相談しますから、とりあえず今日はそのままということで・・・・」と、今日のところは収めようとしたら、落下地点の前の部屋の住民が、「冗談じゃない。こんな状況でほったらかしにしないでよ!」と怒り出しました。「だいたい、あんたが悪いんだから、あんたが始末しなさいよ!」と突っついた住民を突っつきました。「そんなこと言われたって、あたしだって、何度も洗濯物を汚された被害者なのよ!」と反論。その後、集まった住民同士で、「野良猫にえさをやる奴が悪い」「放置している、この地域の町内会が悪い」「ペットブームが悪い」「こんな社会にした自民公明が悪い」・・・・

 こんな具合で、なんだかわかりません。でも、最後はみんなで「管理人なんだから、なんとかしなさいよ」という、いつもの結論に落ち着きました。まあ、しょうがないので、軍手をはめて、ゴミ用のビニール袋に入れました。気持ち悪かったなあ。軍手が血だらけです。それに、今のごみ袋は、「分別」のために、昔みたいに黒くなく透明だから、グロさ満点です。
 とにかく、「明日になったら役所に電話して、なんとかしてもらう」ことにして、その死体は、いったん、ゴミバケツに入れて、他者の目に触れないようにして、いったん「終了」ということで終わりました。

 しかし、翌日出勤すると、マンション内の一部で騒動が。
 実は、私が処理したゴミバケツは「清掃員専用で、清掃員がきちんと分別してあるゴミです。住民の方は、ここにゴミを入れないで下さい」とはっきり書いてあります。管理会社の作業用のもので、我々が掃除した、分別済みのゴミを入れるもののため、ここに一般住民が異物を入れてもらっては困るのです。
 けれども、ここのようにスラムの住民は、そんなことおかまいなしに、収集曜日も関係なく、平気で自分たちのゴミを入れます。そういった住民が、ゆうべ、そのポリバケツをあけてしまい、
「キャー!」と叫び、猫落下事故のことを知らない住民たちが「こんなところに猫の死体が入っている!」と騒いだそうです。

 ほんとに、手の焼ける住民ばかりです。

 今日は早速役所に電話をして、死体を持っていってもらう約束をしました。でも、「午前中」の約束なのに、午後3時になってもまだ来ません。役所の約束だからあてにはしてませんが、早く来て欲しいなあ。困った。



2009/9