管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

共用部分が全部真っ暗に LED照明交換工事のその夜



2015/4

 某大手管理会社が管理している、別のマンションのお話です。

 そのマンションでは、共用部分の照明を「LED化」することになりました。単純にランプをLEDのものに変えればいいところもあれば、照明器具自体を取り替える工事もあり、そんなに簡単には行きません。そこで、ある日に、まる1日かけて工事を行うことになり、専門業者が数名来て、一斉に器具やランプを交換しました。

 そして、その工事が終わった夜。本来なら、きれいで明るくなった照明が煌々と照らすマンションに、居住者の皆さんが帰ってくるわけですが、そこにあるのは・・・・

 
建物全部が真っ暗なマンション

 そう、共用部の電灯はひとつもついていないで、真っ暗なんです。当然、玄関ホールも真っ暗。一番困るのは、オートロックの解除をするところの照明が真っ暗なため、住民の皆さんは、「どこに鍵を差し込んだらいいのかわからないよ!」という状態。皆さん、懐中電灯は持っていないものの、スマホとか携帯があるので、その画面を鍵穴のところへ近づけて見ています。集合ポストも、「番号が見えないからあけられないよ」と困ったそうです。

 そんな状況下、みんな「おかしいよ、なんで照明がつかないの?」と不思議に思いながらも、誰も、管理会社に電話をしなかったそうです。というのも、真っ暗なので、「管理会社の緊急センターの電話番号って、どこに書いてあったっけ?」とわからないからです。(日頃、そういうのをちゃんと確認しておかない住民も悪い。私なんか、ちゃんと自分の携帯に、管理会社の夜間センターの番号を登録しています)
 なお、専有部分内の電気は消えていないので、部屋の中だけにいる居住者には影響はありませんでした。

 夜の8時になって、理事長が帰宅。「なんだ、こりゃ?」と思って、すぐに管理会社に電話。そこではじめて、管理会社側も非常事態に気づきます。そして、その日の日中にLED化工事をした業者を呼び出したわけですが・・・

 「汚染水は完全にコントロールされています」という悪質なウソを全世界に向けてついた安倍総理のおかげで、東京オリンピックが開催されることになり、電気工事会社も忙しいようで、その日にやってきた工事会社は、そのマンションのすぐ近くにある会社ではなかったそうで、「隣の隣の県から、高速道路を使って、片道3時間かけてやってきた業者」だったらしく、呼んでもすぐに来れないんです。

 結局、その業者が、そのマンションに到着したのは、深夜12時。

 電灯がつかない原因は、故障とか、なにかが壊れたとか、工事の不具合とか、では全然なく、ただ、単に、「共用部照明電源スイッチ」の「セットし忘れ」だったそうで・・・・ 交換工事をする時には、通電したままじゃまずいから、電源を切ったりつけたり、いろいろとやっていたのでしょう? 交換工事を終了した後に、本来の電源スイッチの切り替えがなされてなかったようです。

 結果論としては「工事業者じゃなくても、管理人が、管理室に戻って、スイッチをONすれば、それだけでOK」だったらしいのですが。

 きっと管理人も、「大きな工事だから、オレは関係ない。業者に全部任せる」として、工事終了後の動作確認をちゃんとしなかったんでしょうね。工事業者も、そのマンションに来るだけで疲れるような距離のところから来ていますから、工事完了時には疲労困憊だったのかもしれません。いずれにしろ、凡ミスです。

 でも、この「照明電源のスイッチのセットし忘れ」とか、「誤って、オフにセットしてしまう」というのは、恥ずかしながら私も過去に2度ほどやっておりまして。この前の徳島空港の自衛隊の管制官の大失態ではないですが、単独勤務で、ダブルチェックができない、という現場では起こりうることなのです。凡ミスゆえに、起こりやすいということです。(消灯とは逆のケースで、「明るくなっても消えない」なんてのもあります) 実際、ご近所のマンションでも時々ある事象です。照明の球切れ点検をするために電源スイッチをいじったところに、別のややこしい用件を頼まれたりすると、スイッチを変更していたことを忘れたりするのです。管理人は高齢者が多いですから、仕方ないです。

 ですから、私の場合、電気関係の工事があった際は、残業して、「夜になって、きちんと電灯がつくか」、自分の目で確認してから、勤務を終えるようにしています。

 こういうことができない、管理会社だったということですね。これで、顧客満足度○位とか、えばってるんだから、ざまあねえな。