管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

罪悪感のない人  赤信号 みんなでわたれば・・・





 この前の大阪の「若い母親が、育児放棄をして、かわいい子供2人を殺してしまった事件」など、最近のこの手の事件を見聞きすると、「日本は終わってる」「モラルはどこに行ったのか?」とあきれてしまいます。

 昔、ビートたけしが「
赤信号 みんなで渡れば こわくない」という名セリフを吐きましたが、この心理って、根底には「赤信号を渡すのは悪いこと」というのがあるからこその言葉であって、「悪いと思っているけど、大勢でやれば、その悪さが薄まって、罪悪感を感じないでできる」という意味だと思います。この他、「ばれなきゃいいんだ」という言葉もよく聞きますが、これも、「悪いことをしている」という意識はあるうえでの言葉です。

 昔の仕事(小売業)では、万引きをよく捕まえましたが、基本的には「悪いことをしてごめんなさい」と謝ります。いちおう、悪いことだとわかっていて、やってるんです。

 でも、このマンションに来て、その「常識基準」が覆りました。

「みんなでわたればこわくない」なんかではなく、「俺は一人でも赤信号を渡るよ」という人の多いこと。また、「ばれたって関係ない」という人の多いこと。だから、ゴミ集積場に監視カメラを設置しても、分別マナー違反は全然減りません。「まったく分別をしない」「収集指定日をまったく守らない」人がいるんです。

 そういう「悪い奴」にも、ずいぶん慣れたつもりなんですが、最近、「恐ろしい」と感じるのは、「まったく罪の意識がないまま、悪いことを平然とできる子供が増えている」ということです。普通、悪いことをする時と言うのは、多少なりとも「躊躇」「良心との葛藤」するものなのですが、最近の悪がきは、まったく躊躇することなく、悪事を働きます。ほんと、恐ろしいです。

 当マンションに住む小学校2年生の、ある男子の話です。

「周囲で見ている人がいるのに、各部屋の玄関ドアの新聞受に配達された夕刊の新聞を、次々に抜き取り、放り投げて捨てる」
 目撃者に話を聞くと、「あまりにも堂々とやるので、唖然として注意することもできなかった」と言ってます。


「ピンポン歩き」
ピンポンダッシュといういたずらがあります。これは、他人の家の玄関のインターホンをいたずらで押して、そして、すぐに逃げる、という行為なんですが、この子は、学校から自宅へ帰る途中の、帰路に面する家のインターホンを次々に押し、逃げもせずに、普通に歩いて帰ってきます。こういういたずらというのは、仲間といっしょになって、「キャハハ」とか笑いながら「スリルを楽しんで」やるもんですが、この子は、終始無言で顔色ひとつ変えず、淡々とやるそうです。

「他人の家の花をもぐ」
せっかく丹精して咲かせた花を、無情にもこの子は、もぎ捨てます。無表情でやるそうです。


「12階の廊下から、鉢植えを投げ捨てる」
廊下に植木を置く住民も違反だけど、それを、何の躊躇もなく、持ち上げ、下に人がいるのかどうかも確認せずに、ただ、放り投げる。こんなの、人間の神経があったら普通はやりません。さすがに、これは「下手したら、殺人だ」ということで問題になりましたが、こういう子供の親は、こういう子供の親なんで、反省もしません。何を注意しても、蛙の面に小便状態です。「死んだわけじゃないだろ!」「子供っていうのはそういうもんだ」と反論しました。

 なんか、もはや、「常識」の概念は消え去り、ベトナム戦争やイラク戦争で、民間人を何の躊躇もなく、虐殺したアメリカ兵みたいな神経の人間が、この平和な日本で増えています。おそろしい現実です。核兵器よりもこういう人間の「心」のほうが恐ろしいです。

 でも、日本の消防士も同じかな? これだけ、強姦事件を起こす公務員って、いないでしょ?







2010/8