管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

管理組合理事長の印鑑に関する問題あれこれ  文房具的視点で





 今は7月。どこのマンションも定期総会を終え、理事長が入れ替わったことと思います。(1年任期の場合の話)

 新しい理事長は、以前の理事長より、「管理組合代表者印」という、いわゆる「理事長印」を引き継ぎます。これは非常に大事な印鑑で、これ1本で「億単位のお金」が動くこともあります。

 さて、そういう大事な印鑑なので、銀行関係がうるさくて、印鑑を押した書類を提出する際に、「ちょっと端っこがかすれているから、NGです。やり直して下さい」ということもよくあります。普通の人でしたら、銀行の窓口で、「じゃあ、今、押し直します」ということもできますが、管理組合の場合、銀行の事務処理は、管理会社の会計担当者等がやりますので、その場に印鑑を持っているわけでもなく、当事者の理事長ではないわけで、「では、いったん引き下がります」となり、また、新しい用紙に、理事長に頼んでハンコを押しなおしてもらう処理が必要になります。非常に面倒です。

 また、管理会社の社員が、この手法を悪用して、「引き出し伝票を2通作成してお金を引き出し、一方の分を自分の懐に入れてしまう」という、いわゆる「業務上横領」が多発していることから、こういう誤解を招きやすい「ハンコをもう一度押して下さい」ということはやりたくないものです。

 
印影に関しては、人の個性が出るものでして、うちのマンションでは、昨年度の理事長はハンコの押し方がうまくて、きれいな印影でしたが、今期の理事長は押し方が下手でして。
「薄い」「左のうえのほうが一部押されていない」「押しながら動かしてしまったのか印影が滲んでいる」など、ひどいものでして。すでに、やり直しを数回お願いしています。

※私が思うに、銀行側も「電算機読み取り」の関係で、昔の紙より、今の紙のほうが、朱肉の乗りが悪いようです。今の紙は変に表面がツルツルして、ハンコが押しにくいです。これって、銀行側の責任じゃないかなあ?? お客さんのせいにするなよ。

 そして、年々、銀行のほうは、厳しくなり、昔ながら、「この程度なら大丈夫ですよ」と言ってくれたのが、「だめです。やり直し」と突き返されることが増えました。朱肉なんかは100円ショップでも買えることから、それを使用する理事長もいるのですが、やはり、100円ショップの朱肉は粗悪品でして、薄かったり、乗りが悪かったり、ハンコの中にこびりついたり、ろくなもんじゃないです。

 ですから、管理会社が望む「理事長の資質」の中には「ハンコの押し方が上手」という技術的なことが加わってきました。(これ、マジな話です)

 ここで、こういうことがあるたびに思うのですが、大事な印鑑なんですから、「朱肉」も高級なものを使用し、押印の際には、「専用の台」を用意して(不動産屋に行くとよく使われています)、「きれいにハンコを押せる」ように、あらかじめ準備しておくものではないか? ということです。
 朱肉と台が高級なものだと、けっこうきれいに押せるものです。(この前、タモリ倶楽部でもやってました) 現状では、新理事長には「印鑑」を渡すだけで、「朱肉は自前のものを使用して下さい」となっていますが、理事長がハンコを押す回数というのは相当なものですから、管理組合の費用で朱肉を買うべきだと私は思います。
 残念ながら、それを言っても、いつも、「そんなことしなくていいよ」って理事会で否決されてしまうのですが、やり直しに伴う、無駄で面倒な事務作業をやらされているこっちとしては、ぜひ、「高級な朱肉」&「高級で押しやすい台」は買って欲しいのです。高いといっても、それを何年も使うのですから、もとは十分とれるはずです。これらも、「引き継ぎ備品」ということにすべきだと思います。

こういうことまで配慮できる管理会社が「いい管理会社」だと、私は思います。


2015/7