管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

雑排水管清掃  その手法のあれこれ





 当HPやブログには水道関係の読者の方が多く、いろいろご意見などもいただいております。この場を借りてお礼を申し上げます。ただ、いろいろな人の意見を聞いていると、「やはり、なんか問題の多い会社もたくさんある業界だなあ」ということを感じます。

 さて、この前、勤務マンションではなく、自分の居住しているマンションの排水管清掃がありました。その際に、「実施される住民側」として気づいたことを記します。自分は当然のことながらマンション管理の専門家なので、視点が細かいかもしれませんが、いろいろと気になることがありました。

「管理会社が請け負っていることなので、その内部事情を住民に公開しないが、どうも、しょっちゅう実際に作業にあたる業者が変わっているような気がする。去年とは制服も違うし、手法が異なる」・・・これが今回の肝です。

「これは、おそらく管理会社側の問題と思うが、清掃の予告を出す時期がバラバラ」・・・・以前、不在率を下げて全戸実施を目指すために、”3ケ月前には日 程を決めて予告して欲しい”と管理会社へ要請したんですが、”2ケ月前ならなんとか”となり、2ケ月になったはずで、2ケ月前の年もあったんですが、それも反故にされ、今回は3週間前という遅さ。5月というのはレジャーの季節だから、出かける人もおり、やはり、なるべく早く教えてくれるほうがいいと思います。

「予告の文章がまちまち」・・・・この管理会社の場合。排水管清掃を実施する業者が、自分の会社の名前で、予告の紙を作り、それに管理会社のゴム印を押し て、「管理会社発行書類」としたものをコピーして配布する手法です。ですから、業者が変わると、その紙のフォーマットも変わり、一定ではありません。今年 は、業者がちゃんとしたものを作らず、管理会社がやっつけ仕事で作った、「なんかラフだなあ。字も小さいし、読みにくいぞ」という紙が配られました。また、普通、「全戸配布」するものと「掲示板に掲示するもの」は別のものを作ります。掲示板用は小さな文字だとわかならいので、大きな文字で作らないといけませ ん。しかし、今年は、配布物と同じ小さな文字のものが貼られました。その後、おそらく、今期の役員からクレームがきたのか、管理人さんの手書きの、「大きな文字」にものが作ら れ、張り替えられました。

 さて、その予告文書なんですが、たいてい、「午前中 1階〜4階」「午後 5階〜8階」といったふうに、午前と午後の区分だけは書いてあります。
 しかし、この業界の人なら知ってますが、「上の階から下へ」のほうがいいんだと主張する派と、「下から上へ順に」のほうがいいんだとする考えが、ぶつかっ ていて、両方のやり方があり、住民としては、「上から始めるの? 下から始めるの?」と、わかりません。これも、私が役員の時に、「どっちから先に始める のか明記してくれ」と頼んで、書くようになったはずなのに、よく忘れています。
 今年は、管理人さんが作った手書きのものに、私が指摘し、あとから、「1階から先にやります」と追記されました。午前と午後の区別はわかっても、「もうちょっと、ある程度の時間がわかんないのかな?」というのは、どの住民からも寄せられる意見です。せめて、「前後 30分くらいの時差があってもいいから、”午前11頃です”とか教えて欲しい」と思います。そうすれば、ずいぶん助かります。特に、土日というのは、「洗濯」をする曜日です。排水管清掃の時は、洗濯ができませんから、時間を教えて欲しい気持ちは強いです。

 さてと、実際に今年の清掃が始まってみて。

「去年は10時ごろに来たから、今年も10時くらいだろうと思って、朝のうちに受け入れ準備をして、8時50分から朝食をとっていたら、9時5分にいきなりやってきた」
・・・・うちは1階ではないのに、なんで開始時刻ちょうどにやってくるのか? 聞いてみたら、「今日は2グループでやりますから、おたくが3番目です」と のこと。たしかに、このマンションの戸数(約80)だと、「不在室を計算すると、1グループでなんとかぎりぎり可能だが、できれば2グループのほうが安心」という戸数なので、2グループのほうがいいのでしょうが、昨年は1グループでやっていたのですから、できれば、2グループ編成ということを予告してお いて欲しかったです。キッチンの清掃も行なうのに、朝食の最中にいきなり来られるのは困ります。また、今回もそうですが、「9時開始」とアナウンスしているのに、おそらく「早めに準備が完了したから」なんでしょうが、フライングで9時よりも早く始めるのもあまりよくないと思います。

「以前の業者は、ひとつの部屋を始める際に、その次の部屋に行って、インターホンで”あと7分後にうかがいます”という予告をしてくれたが、今回は予告なし」
・・・・この気配りって、実はすごく大きいです。住民側も、いきなり来られるよりも、3分でも5分でも、ちょっと前に予告してもらえると、準備の余裕があって、精神的にもすごく楽です。業者側にしても、あわてた住民から、「え? もう来たの。まだ準備できてないよ。ちょっと待ってくれる」と待たされる よりは、「はい、どうぞ」と受け入れてもらえるほうが効率的なはずです。こういう「配慮」は、排水管清掃業者全体で統一してもらえるといいと思います。と いうか、管理会社がちゃんと指示すべきです。

「作業員の服装が汚い」
・・・昨年の人がすごくきれいだったので、今年の人の汚さが目立ちました。

「作業員の人の言葉遣いが、あまり丁寧でない」
・・・これも昨年が丁寧だったので、気になりました。また、昨年の人は、「では、まず、キッチンからおじゃまします。キッチンはどこでしょうか?(わかっ ていても、あえて聞いて、家人に案内してもらう。一人でズカズカと勝手に入っていかない)」と言っていたのに、今年はなんにもいわずに、勝手に入ってきま した。

「ホースの扱いがぞんざい」
・・・これ、ずっと昔に来た業者がひどくて、ホース(高圧がかかってもいいように、頑丈になっている)を、下駄箱の壁にぶつけて、傷をつけたりしたので、 「注意するように」苦情をいったことがあって、その後、丁寧になっていたはずなのに、今年はとてもぞんざいでした。また、あちこちにぶつけてました。ま た、水滴を廊下とか廊下の壁にあちこち撒いていて、濡らしてました。これは困ります。

「床に布キレを敷いてくれない」
・・・・「ホースむきだしそのまんま」という最悪の業者が昔いました。外廊下の床面をはった汚れたホースを室内に持ち込む「論外」のやり方です。不潔です。これはや めさせました。普通の業者は、室内の廊下をはう部分のホースに蛇腹上の布製のカバーをつけて、ホースを直接、室内廊下などに接触させないようにしていま す。

 こういうのは、いまや、どの業者さんもやるんですが、昨年の業者さんはこれに加えて、廊下部分にシーツのような幅の広い布地を広げて、廊下全体をその布で カバーしてました。これなら、多少、水滴が拡散しても、大丈夫です。そういうわけで、昨年の業者さんは「しっかりしてるなあ」だったのが、今年は、その シーツはなし。なんか、質が落ちた気がします。

「作業が早すぎ」
・・・なんか、ただ、ホースを突っ込んだだけのような感じで、早いこと早いこと。全部で5分かかってないです。「今日は2グループで」と聞いたので、時間 の余裕があるから、もっとしっかりゆっくりやってくれると思ったのですが、はたしてちゃんとやってるのかなあ? と疑問を持つような速さでした。それに、 台所から浴室へ移動するにも、今から何をするか何にもしゃべらないし、最後の「ハンコください」しか言葉に出しません。なんかなあ???

「安全対策」
・・・これは住民視点では気が付きにくいことですが管理人サイドで見ると大事な点です。
1.高圧洗浄機械搭載車の周囲を、いたずら小僧などが近寄らないようにコーンなどで囲む。
2.ホースが、住民が通行する部分(廊下など)通る場合に、やはり、コーンとか「近寄らないで」の表示板などが必要。
3.高圧ホースを廊下の壁の上のてすりなどに紐で結び付けて固定することがあるが、この際に、手すりを傷つけないための保護対策(タオルで包むとか)が必要。高圧ホースって、ゴム製とはいえ、ものすごく硬くて、かつ、微小に振動しているため、手すり部分の塗装をはがしてしまうなど、被害を与えることがけっこうあるんです。
4.直接作業をしないが、全体を見渡して監視する人員をつける。人件費のからみもあるけど、その業者の社長が見に来て、監視しながら、住民に「そこにホースがありますから危ないですよ」などと声をかけることも大事。
 今回の業者は、こういう配慮がいずれもありませんでした。

 今年の業者も、そんなに悪質ではないのかもしれませんが、昨年がよかっただけに両社を比較すると、今年は落ちる気がしました。見積書の中には出てこない、さまざまな、 手法(つまりは気配りです)を、ほんとは管理組合が明文化して発注するといいんですがねえ。こういうのって、マンション管理士さんとかが知恵を与えてくれるといいのになあ、と思うんですが、こういう「現場のこと」に気が回らないマンション管理士が多いんです。こういうことって法律書とか参考書には載ってませんからねえ。知らないんでしょうね。



2011/5