管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

植栽消毒の季節です 準備が大変です





 GW前後、日本中で暖かくなりました。虫もあちこちでわいてきています。ということで、この時期、どこのマンションでも「植栽部分の春の消毒作業」というのが行なわれます。

「消毒なんて、噴霧器でシャーってやるだけで簡単じゃん?」

と一般の人は思うかもしれませんが、そう、作業自体は実に簡単ですが、
事前の準備、そして、告知が大変なんです。

 まず、消毒実施の日程なんですが、これが「排水管清掃」みたいに、「早く予定がわかったほうがいい」と、ある程度前から決まっているわけではありません。「雨が降ると出来ない」「晴天だと洗濯物を干す家庭が多くやりにくい」ということから、「晴れでもいいけど、曇天が最適」とされています。かつ、風が問題なので、「風のない、おだやかな日」を選びます。植木業者のほうで、「週間天気予報」とか見ながら予想をして、「今週の金曜あたりならOKだなあ」と思ったときに、日程が急に決まります。まあ、消毒は「在宅をお願いします」というものではないんで、これでもいいんですけどね。

 というわけで、日程が決まると、植木屋さんから電話があって、「13日の金曜にやりますから、(告知作業を)よろしく」という電話がきます。「おいおい、あさってかよ。急だな」とか「縁起の悪い日だなあ」などと思いつつ、毎回、管理人が速攻で告知文書を作成しています。(まあ、長年やってると慣れてるから、昨年度のワード文書のデータの日付曜日を変えるだけですけどね)

 さて、ベランダに干した洗濯物を消毒するのはまずいので、住民への告知が大事です。特に、消毒液がかかりそうな1階2階の住居には、対象世帯すべてに個別に「お知らせ」を投函して予告します。また、駐車車両にもなるべく消毒液をかけたくないので、駐車場利用者にも「できれば、車に乗ってでかけてください」とか「樹木に近い場所に置いている車は、少し、前に出して、木と離して下さい」とか、「この日だけは、別の空間に置いてください」とか、下準備がいろいろあります。

 でも、告知文を全然読んでくれない人が多く、消毒の日、「あ〜あ、洗濯物が干されてるよ。参ったなあ」と頭を抱えます。在宅している部屋に関しては、ピンポンして、「いったん、中に取り込んで下さい」とお願いします。うちみたいに中規模なマンションでも大変なんですから、500戸以上など大規模なところはもっと大変だと思います。
 

 ところで、消毒の場合、事前告知というのは、「マンション内住民」に限られないのが厄介です。消毒液は噴霧しますから、原発の放射能同様、拡散します。特に、風があると、予想よりも遠距離まで拡散します。そういうわけで、当マンションに配備されている「予想装置 SPEEDI」(要するに、私の頭)により、当日の風向きや風速を予想して、隣接する周辺住民にも、 「消毒液がかかるかもしれません。なるべく洗濯物を干すのはご遠慮下さい。ごめんねごめんね」という告知文を作って、地域の対象世帯全部に個別に配布しないといけないんです。

 隣が、マンションだったら、そこの管理人さんに1部渡すだけで済むんですが、当マンションは敷地が広い関係で、周囲には実は小さな一戸建てがたくさんあり、そこを一軒一軒訪問して、「あさって、消毒なんでごめんなさい」と頭を下げて回ります。この地域のことなんで、「他人様に迷惑かけてただで済むと思ってるのか?」「洗濯物 が干せないじゃないか? その補償はどうしてくれる?」と、すごんでくる輩もいて、これもなかなかの疲れる仕事です。文句を言ってくる人に対しては、交付金を渡せるわけもないので、「つまらないものですが」と、タオルを渡したりします。(管理人が自腹で用意している) 東電の社長の気持ちがちょっとわかる、似たような仕事です。

(東電の社長が体育館で土下座している映像がテレビで流れていますが、実は、あの時、事前に座布団を並べて、東電の連中は座布団の上に座って頭を下げているんです。あれは土下座じゃないです。あいつら全然反省してません)

 植木屋さんにとっては、消毒自体は、ごくごく簡単な軽作業ですが、管理人にとっては、事前告知がものすごく疲れる作業です。

 それでも、天気予報があたって、予定した当日に作業ができればいいんですが、たまに、はずれて、「雨で中止。翌日に延期」ということが起きます。となると、告知文に 「雨天時は翌日へ延期です」と書いてはあるんですが、よく読んでいない人から、「え? 消毒は昨日だろ? なんで今日やってるんだ」と苦情が来たりします。とにかく、予定の日程で終わってくれることを祈ります。

管理人がこんな苦労をしているなんて、誰も知らないだろうなあ。あ〜、震度4。



2011/5