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マンション管理最前線

EMTR とは何でしょう? エレベーターのトランクルーム






 さっき、ある愛読者の方からメールをいただきました。
「テレビで棺おろしの話ばっかりしている。そこで、”棺おけを下ろす”と連想した。マンション内で棺おけを下ろすこともあると思うが、どうするんだろう? 以前、エレベーターの中には、そういうときのための設備があると聞いたが、知りませんか?」という質問メールです。

 う〜ん、なるほど。たしかに、菅総理にはそろそろ棺おけに入って欲しい気がするけど、棺おけの運び方は考えなかったなあ。

 でも、ずっと昔、マンション管理人になりたての頃、このトランクルームのことを救急車の消防隊員から聞かれて、答えに窮して、ちょっと調べたことがあったような、ないような? (年寄りだからすぐに忘れるんです。ごめん)

 そんなわけであらためて調べてみました。ネットはこういう時便利だなあ。近隣の管理人仲間にも聞いてみよう。

「エレベーター内のトランクルーム」とは?
 あらためて調べてみたら、当マンションのエレベーターの中にもありました。ただ、うちのマンションのエレベーターは、前回の大規模修繕工事以降、工事資材の搬入とか、引越しの時などに、「壁が傷つかないように」と、クッションマットを壁に貼り付けている関係で、目に見えないため、「壁の向こうにトランクルームがあるなんて誰も知らない」という状態でした。

 http://www.zb.em-net.ne.jp/~ms-summit/news28/elv-key.html

 こちらのサイトさんがとても勉強になりました。ありがとうございます。


写真をお借りしました。トランクルームとは、このように、エレベーターの奥の壁の向こう側に備えられた設備です。下半分に観音開きの扉があり、その扉を開くと、奥行きが30センチ程度広がるのです。これはなんのためかというと、「救急隊員がストレッチャー(寝台)を搬入できるように」という意味と、「ご遺体を棺に入れて運ぶために」あるのだそうです。

 
 実際には、その他、大きな荷物を運ぶ際にも使えると思います。

 これを見たら、思い出しました。何年か前ですが、理事長から、「棺おけを運ぶのにトランクを使ったので、管理室から鍵を借りたよ」と言われたような記憶があります。

 そう、ここで問題になるのが「鍵」です。鍵がないと、このトランクルームは開閉できません。改めて調べたら、大変でした。当然持っているはずの理事長が持っていないからです。実際に、鍵を持っている人って、「管理室内」と「6年前の理事長」と「集会室」の3本でした。本当は毎年変る理事長が、毎年引継ぎの際に、新理事長に渡すべきなのに、6年前の理事長が5年前の理事長に引継ぎするのを忘れて、自分の玄関のところに置いてある「鍵用の箱」に入れたままだったそうです。その後の理事長は誰一人、「理事長がトランクルームの鍵を持っていなければならない」という自覚はなかったそうです。このため、今日、現理事長に鍵を渡しました。それから、集会室の鍵ですが、これも、なんでここにあるのか理解できません。「集会室の中に保管してある」のは、今日私が探してみて初めて気が付いた次第で、組合役員の中には存在を知っていた人が皆無です。

 現実問題として、「病院内でなくなる人が多い」「自宅にご遺体を運ぶこむ人がいない」「救急隊は、狭いエレベーター用に、ストレッチャーではない、別の小さな道具(ペリカンの袋みたいなもの)を持っていて、それを使って患者を運ぶ」ということがあり、トランクの必要性は低いのです。必要性はないというか、「わざわざ、鍵の所在を探している時間がもったいない」ということかもしれません。本当は、すぐにこのトランクを使えれば使いたいのではないでしょうか?

 かといって、鍵をあけっぱなしにしていたら、そこに子供が入っていたずらするかもしれないし、やはり、鍵はかけておかないとだめです。

 ということで、鍵のことを調べたら、画期的なことがわかりました。

 やはり、皆さん、鍵のことで悩んでいたらしく、消防署とエレベーター会社が連携して、平成15年以降の設置された新しいエレベーターでは、全国共通の鍵を使用しているそうです。(でも、気が付くの遅いよなあ。それまでどうしてたんだよ?)
 これが、EMTRというもので、
Emergency Medical Trunk Roomの略です。この文字が刻印された鍵は、全国共通の鍵であり、ひとつの鍵があれば、全部のエレベーターで使えます。つまり、救急隊員がこの1本の鍵を持っていれば、全国どこのマンションのトランクルームでも開けられるのです。(平成15年以降建設のマンションであれば) こりゃ、めちゃくちゃ便利です。緊急の時、管理人の勤務時間外に、「理事長が鍵を持っているはずです。理事長はどこですか?」と探さなくてもいいんですから。救急隊員は、この「EMTR]という文字を目印に、「これなら、うちで持っている鍵で開けられるからすぐに使用できる」と判断します。

 ただし、平成15年以前に作られたマンションでは無効です。でも、「鍵だけを新しく交換すればいいんです」とのこと。4万円程度で交換できるそうです。しかし、うちのマンションのエレベーターを保守管理するM社からは過去に一度もそんな話を聞いたことがないです。エレベーター会社っていい加減だなあ。そして、そういうことに知識を全然持っていない管理会社もひどい。ほんとは高層住宅管理業協会がそういうことを広報して、新型への交換を進めるべきなんだよ。でも、腐りきった天下り団体はそういうことをしないんだなあ。

 ところで、一点落とし穴もあります。エレベーターの床面にマットを敷いているところでは、このマットがじゃまして扉が開かないことがあります。みなさんのところでも、一度、トランクルームをあけてテストしてみることをお勧めします。

 とにかく、当マンションも「EMTRに変更する」「その鍵を誰が持っているか表にして掲示板に貼っておく」などの措置が必要だと思います。フロント君頼むぜ。

 ただ、よくよく考え見ると、こんな「トランクルーム」なんていう面倒なものを作るよりも、最初から、「寝台も棺おけも運べる大きさ」のカゴのエレベーターを設置すればいいんだよねえ。これからマンションを買う人はこのこともチェックポイントにしておくといいと思います。

<追伸>
このトランクルームについては、当マンションで契約しているメンテ会社では、通常の「定期点検」に項目には入ってないそうで、もし、この中に誰かが「死体を隠した」としても、なかなか見つかることはないそうです。ドラマ「相棒」のネタに使えそう。




2011/6