管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

東日本大震災の経験から学ぶ
マンションにおける「水」の確保方法について





東日本大震災。2011/3/11。
当マンションでも被害がありましたが、幸い、大規模な損壊はなかったのですが、困ったのは
「停電」でした。
震災直後の停電が復旧しても、そのあとに、「計画停電」という「国からの脅し」が始まり、「電気が止まったらどうなる?」ということを深刻に考えたものです。

今回は「水」(=給水)のことを特集して記述します。

マンションによって、給水の方式はいろいろで、新しくなるほど、「タンクがない」マンションが多いです。タンクのないマンションでは、「停電=即 ポンプが止まる=即 給水が止まる=即 水が使えない」ということになり、停電の影響は甚大です。2時間程度の計画停電であっても、「水が使えなくなる」のです。

当マンションは古いマンションなので、給水の設備はこのイラストのようになっています。
(イラストや写真はGoogle検索結果から借用させていただきました。)


今回はこの方式における「停電の影響」と、対策を考えます。

停電になると、「受水槽」の横のポンプが停止します。つまり、屋上にある「高置水槽」に水が行かなくなります。
しかし、「高置水槽」には常に満水の状態の水があり、ここから各部屋への給水は「引力」で行なっており、電気動力は使用していないため、各家庭の給水は、すぐに停止はしません。「高置水槽」は「1日の標準給水量の10分の1程度の量をためることができる」という設計になっています。この場合、各家庭で「風呂には入らない」「なるべく節水する」という努力をすれば、災害時は24時間程度は持ちこたえることができると思います。
実際、今回の震災では、当マンション地域では震災直後から、20時間程度の「停電」が続きましたが、「いつ、電気が復旧するのか?」情報もない状態で、最悪の状況に備えて、拡声器を使って(放送設備はないのです)、「節水をお願いします」「風呂に汲み置きの水があれば、その水でトイレを流して下さい」と、管理人から各家庭にお願いした結果、「給水が停止した」という事例は、幸いなことに発生しませんでした。
※この時、管理組合役員はまったく何もしませんでした。無能な連中です。

ただ、今回はたまたま20時間程度の停電で済みましたが、今後、大きな地震が起きれば、「何日間も電気が止まる」という事態も発生するかもしれません。「そういう時はどうなるの?」という質問を住民から多数受けました。
そこで、私のほうで、いろいろ考えてみました。(恥ずかしながら、今回の震災が起きるまで、そういうことを考えたことはありませんでした。すいませんです)

おそらく、24時間以上の停電になると、当マンションでも、いくら節水に努力しても、「高置水槽」が空になり、給水は停止します。
しかし、地面にある「受水槽」の中にはたくさんの水が残っています。(地震で倒壊していなければ)

これを使うことができます。こういう「受水槽」には、「タンク清掃(年1回実施)」の際に、中の水を全部抜くために、この写真のような「排水弁」が必ずあります。


上部のハンドルをくるくるまわせば、水が出てきます。水量は変えられます。これはきれいな水ですから、もちろん飲用も可能です。
排水の口部分の口径が大きいため、この排水口の下に「ペットボトル」を置いて水を入れようとすると、当然、あふれますが、バケツのようなものならOKですし、こういう時用に、管理組合で「ロウト」を用意しておけば大丈夫です。

給水車から水をもらうように、ここから、水を得ることができます。
この「受水槽」は、見た目巨大ですが、これでも「マンションで1日で使用する水量の半分の量」ということになっています。(あまり大きいと場所もとるし、水の回転が悪くなり衛生上問題があるため)
それでも、おそらく、節水を心がければ、4〜5日程度はしのげると思います。

さて、普通の人は、こういう目につくタンクのことに注目しますが、マンションには、この「タンク」の系列とは別に、普通、地面に「散水栓」という水道があります。これは我々管理人が「ゴミ置場の清掃」とか「植木に水をやるため」などに使用しています。
これは、「タンク」とか「ポンプ」とは無関係で、おおもとの水道局の上水道に直結しています。ですから、マンションのある地域が停電していても、水道局の機能(ポンプで圧送する)が生きている場合(ほんとの大きな大震災では、これも破壊されているかもしれませんが)は、この「散水栓」から水を得ることが可能です。

ただ、この時に注意して欲しいのは、こういう散水栓は、普段は管理人だけが使用するもので、普通の住民が「盗水」しては困るため(管理人のいない休日に洗車に使ったりする)、「蛇口上部のハンドル部分を外していたり」、「蛇口の「吐水口」が特殊なネジになっていて、通常のホースを取り付けられない」という場合があるのです。

ですから、管理組合の役員さんは、「ハンドルはどこにあるのか?」「これにとりつけられるホースはどこにあるのか?」というのを日ごろから管理人に聞いておいて頭に入れておいて下さい。

それから、上記すべての水が全部使えなくなっても、まだ最終手段があります。
これは設置されているところと設置されていないところがあるので、全てに有効な手段ではないですが、
「屋上に消火用の補助水槽がある」場合があるのです。



こういうものです。量的にはすごく少ないので、あまり有効ではないかもしれませんが、「これも使えるよ」ということを頭の片隅に入れておくといいかもしれません。
ただ、この水槽の中身は、通常の「給水」とは違って、ほとんど入れ替わっておらず、古い水がそのまま入っているので、水は見た目はきれいでも、飲用は不可と考えて下さい。(消火用なので衛生面のことは考えていません)

それから、「裏技の裏技」ですが、こんなのもあります。

ご存知、「猫避けのペットボトル」。当マンションの中でも、某住民が勝手に置いた2リッターのペットボトルが50本ほどあります。猫避けの効果のほどは疑問ですが、震災以降、「いざとなったら、これも使えるな」と思って見ています。

いかがでしょうか? 「停電=水が止まる=大変だどうしよう!=パニック」になるのではなく、自分の住むマンションの設備環境を一度調べて、震災時のことを考えることが大事だと思います。

管理組合や管理会社は、上記のような「段階的な対応方法」を、具体的に(実物の写真も使って)説明する「マニュアル」を作成して、できれば、玄関ホールとかに常時掲示しておくといいと思います。こういうことができる管理会社は「良質」だと思います。
うちの場合は、会社も組合も何もしないので、私だけで作って貼ってます。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

(今回はオイラ、真面目だなあ)



2012/1