マンション管理最前線
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| 建設業界の多層請負構造に疲れます |
福島原発の廃炉処理とか、除染作業における「多層請負構造」はものすごく、なかには、「8次下請け」とか出てくるので、ほんと呆れ果てます。
もともと、国からは「1人あたり１０万円」の賃金が出ているのに、下請け~下請け と下ってくる間に、「実際に働く人は日給８千円とかになってしまう」という、めちゃくちゃなことが起きています。ほんと、この業界の多層請負構造はなんとかならんのか？ と切実に思います。
さて、わが勤務マンションでのお話。
予算３００万円程度の中規模工事が行われることになりました。
この予算規模になると、当然、「相見積もり」が必須になります。なので、ABC３社ほど、業者がやってきて、私はその応対をしました。いっぺんに３社来てくれればいいのに、違う日に来るから、同じことを別々の３社に繰り返し説明するのはけっこう大変です。本当は、「工事担当役員」とかを決めてもらって、その役員さんに応対役をお願いしたいのですが、そういう係はおらず、たいてい、私に押し付けられます。
相見積もりというのは、本来、「同じ条件 同じ仕様 でやってもらい、その中で金額の差が出てくるから、一番安い業者に頼む」というものですが、うちの場合、「ここの不具合を直すには、どのようにしたらいいか？」って段階で、相見積もりに出したため、「A社」が提案する工事内容と、「B社」が提案する工事内容の、「方法」が違っており、「やり方が違うんだから、当然、工費も違うだろ」っていう、変な相見積もりになりました。
理事会の面々は、こういった工事に関する専門知識もないため、「A社案」と「B社案」と「C社案」とどっちのほうがいいのか？ ってこともわからず、私の個人的意見では、「A社案は金額は高いけど、その工法のほうが、長持ちしそうだから、A社案がいいのでは？」というものでしたが、「一番安いC社案」に決定してしまいました。フロント君も、建設設備に関しては、そんなに知識がないため、「このほうがいいです！」と言うこともできませんでした。
ということで、C社が受注したのです。でもって、再度、現場の調査にやってきたのですが、「見積もり」の時にやってきたC社の社員と違う社員がやってきました。この人、内容をしっかりと把握しておらず、このため、私は、また、「一から教え直す」ということをしないといけません。
そうやって、じっくりと説明しましたが、いざ、実際の工事期間の１ケ月前になると、C社の下請けのF社の社員が現場調査にやってきました。そう、「丸投げ」ってやつです。実際に工事をするのはF社さんのようです。なので、そのF社の社員に、またまた、詳細な説明をします。
これで、「この工事の実体はF社がやるんだな」と把握しました。
さて、最近は、この手の工事をする際に、こういった工事にかこつけて（掲示板に日程とか工事の内容とかが貼られているため、部外者であっても、誰でも、この工事の内容を把握することができる）、全然関係のない、別の業者が、勝手に日曜日とかを狙って、マンション内に入り込み、「今度実施される工事に関連して」とかウソをいって住民を信用させ、「ついでに、おたくの室内の水回り設備もリニューアルしたらどうですか？」と飛び込み営業をかけてくることが多いのです。でもって、そういうことをする業者というのは、たいてい「高額＆悪質」なわけでして。
そういうのを避けるために、これは私の発案なんですが、なんか工事があるときは、「実際に工事をする会社の名前」を事前に公表するということをしています。表面的には「管理会社で受注した工事」であっても、掲示板には、「＋＋の工事があります。Fという会社のスタッフがやってきて、実際に工事をします。F社の制服もしくは身分証を持っていない人が戸別訪問とかしても、相手にしないでください。詐欺の可能性が高いです」という、注意喚起をするのです。
大規模修繕工事なんかでは、実際に作業するのが、3次請けとか４次請けの別会社の人間であったとしても、受注した会社の服を着せたり、受注した会社の名前のあるゼッケンをつけたり、IDカードをぶら下げたりしますが、それと同じで、どこの会社で受注した工事なのか、マンション住民にわかるようにしているのです。
私はF社の担当者に対して、１ケ月前ということもあり、工事内容以外の付帯実務的な「どんな車が何台来る？ 職人は何人くらい来る？ 責任者の名前は？ 携帯番号は？ トイレや手洗いは必要か？ 残業の可能性はあるか？ その場合、MAXで何時までやる？」といった、細かなことについての具体的な打ち合わせもしました。その際に、「住民に対して、F社が実際に工事をする、ってことを告知するから、当日やってくるスタッフは、F社の人間ということで意思統一して欲しい」というお願いもしておきました。
しかし・・・・・・
工事開始の２日前になると、別の人がやってきて。「G社の＊＊と申します。２日後の工事はうちでやらせていただくことになりました」と言い出しました。３次請けってことです。間際になって、急に別の業者に丸投げしたようです。それでもって、前回打ち合わせしたことを、この人は全然聞いておらず。再度、「トイレはどうする？」「タバコを吸える場所は？」といった、こまごまとした打ち合わせを行いました。それでもって、「実際に来る作業用車両は、こんな車が何台」っていう話が、この人の言うことと、１ケ月前に打ち合わせた人の言うことと、食い違いがいろいろあり、再度、やり直しです。
それでもって、工事初日当日になると・・・・ 実際にやってきた人は、初めて合う人で。「X社の＋＋と申します。今日はよろしくお願いします。ところで、この車はどこに置けばいいでしょうか？」と言い出し。どうやら、４次下請けみたいです。でもって、2日前にやった打ち合わせ内容もこの人にはほとんど伝わっていないようで。こうなると、当然、「F社がやるってことで告知しておく」ってのも、そんなのはどこかに飛んでいって。
もう、しっちゃかめっちゃか。３００万程度の中規模工事でも、「４次下請け」まで使うとは・・・・ おまけに、２日前に打ち合わせしたことと、実際がまたまた全然違い。やってくる車両は３台のはずだったのに、実際は、この４次下請け会社の社長が自分１人の移動のために、自家用車（レクサス）でやってきたりして、計５台で、それをなんとか構内に駐車させるために、あわてて調整しないといけないし。
こうなると、「何のための打ち合わせだったのか？」となります。でもって、当初「４日間」の予定だったのが、３日目の午後になって、「今日で全部終わりますから、明日は来ません」とか急に言い出すし。工程もめちゃくちゃ。（契約駐車場利用者に対して、４日目に、「工事の支障になるので、そこか外部のパーキングに移動してください」って、事前にお願いしてあるのに・・・ どうすんだよ？） 「しびれのスカタン」じゃないけど、「もう、めちゃくちゃでござりますがな〜」と嘆きたくなります。
そうやって、早めに終わったものの、工事した後を確認すると、「やり忘れた箇所がある！」って事態も発生し・・・
すっごく疲れました。多層構造、なんとかして欲しいなあ。せめて、みんなが同じこと言って欲しいよ。
この業界って、みんなが、すぐに「俺は社長になりたい」って、独立したがるから、会社が乱立し、どんどん多層化し、こういうことになるんですよねえ。困ったもんだなあ。現地で相手をする管理人は大変なんだよ。ほんとに。
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