管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
大規模修繕工事で、大規模盗難事件 |
私のような「頭のわるい人間」というのは、なんでも、「自分で経験しないと理解できない」という面があります。昨年秋におこなわれた「エレベーターの更新工事」なんかも、実際に経験しないとわからないことがいっぱいあって、ものすごく苦労しました。
「管理会社のリプレイス」なんかも同じで、自分で実際に経験しないと、その苦労はわからないものです。同様に、「大規模修繕工事」というのも、「その場で自分が関わらないとわからないもの」の代表格かも知れません。マンション管理士さんとか、コンサルタントや、監理設計事務所さんなんかが、「大規模修繕工事はうちにお任せ下さい」といったことを宣伝文句にしてますが、その内容を読む限り、「ほんとにこの人達、わかってるのかなあ?」と疑問に思うことが多々あります。
お金のこととか、工法のこととか、そういった内容ばかりで、「実際に生活をしているマンション住民目線」、まあ、「生活者目線」とでも言いましょうか、そういう観点が足らないのです。私ら、管理人はまさに、「その場でいっしょに生活しているようなもの」ですから、管理人目線で大規模修繕工事を考えると、何よりも先に、「住民の安全」ということを考えますし、「極力、生活に支障がないように工夫する」ということを配慮しますが、工事業者とか、コンサルの人は、そういうことをあまり考えず、「工事本体」のことしか考えない傾向があり、実際の大規模修繕工事の現場でも、私と工事業者は、「もっと、住民のことを考えろ!」「そんなこと、いちいち考えていたら、工事は進まない」「小さな子どもが通るところに、あんな危険な機材を置くな!」「あそこに置くのが一番便利なんだよ!」とケンカをしたものです。(※独立した「監理者」がいたんですが、そいつは、業者からの接待漬けで、丸め込まれ、完全に業者側の人間になり、業者を注意することも全然なくなってしまいました)
「新築の建設工事」とは違い、また、「オフィスビルの修繕工事」とも違い、「マンションの大規模修繕工事」は、「その現場では、幼児も高齢者も含めた、大勢の人間が24時間生活している。そこで平行して工事をしていかないといけない」ものであり、単なる工事ではないのです。「クソガキが悪意を持っていたずらをする」というところまで配慮した「安全確保」もしないといけません。
そういう「観点」が欠けている業者が多く、とても、嘆かわしく思います。
さて、本題に入ります。マンションの大規模修繕工事における「生活者観点」で、重要視されるが「防犯」です。オートロックも手薄になりますし、いろんな業者に紛れて犯罪者が入り込む可能性が高くなるからです。また、外壁には最上階まで足場がかけられるため、高所恐怖症ではない泥棒は、容易に、高い階の部屋のベランダにも侵入できます。
このため、「ベランダ側のアルミサッシに臨時の錠前をかけることをおすすめします。錠はお貸しします」と、この写真のような「補助錠」と言われるものを貸してくれたりします。また、良心的なところでは、ベランダ側のサッシを開閉するとアラームが鳴り出す、センサーを貸してくれる工事業者もあります。
このように、大規模修繕工事では、住民の「防犯」のために、あれこれ配慮してくれるのが、一般的です。
「そんなの誰だって知ってるよ。何をいまさら」と、某マンション管理士が怒り出しそうですが、実は、今回書きたいのは、「住民が被害を受ける犯罪」のことではありません。
意外な盲点なんですが、「工事業者が被害を受ける犯罪」がここのところ増えているのです。「職人が使っている高価な電動道具を盗まれる」なんてことが実際に起きています。恥ずかしながら、当マンションでは、いたずら半分なんでしょうが、クソ中学生住民が、そういう大事な工具をかっぱらった事件なんかも起きました。
今は、「銅線だけ盗まれる」とか、「橋の擬宝珠だけ盗まれる」とか「ステンレスの柵が盗まれる」とか、変な犯罪が増えています。某大規模修繕工事の現場では、「重さ500kgもある、大型コンプレッサーの機械がまるごと盗まれた」なんてことが起きています。普通の感覚では信じられないですが実話です。(週刊実話はウソが多いけど) こうなると、クレーンじゃないと動かせないですから、UNIC付きのトラックで大掛かりに盗んでいったのでしょう。
「資材置場に保管しておいた部材が盗まれた」なんてことも起きています。特に、今は、東京五輪誘致のせいで、建設資材も高騰してますから、泥棒も金になるんでしょう。
また、大手有名会社の「制服」といいますか、名前入りのベストが、盗まれる、という、「キングオブコメディ」の高橋健一君の「女子高生の制服泥棒」みたいなことも起きています。このベストがあると、怪しまれないで現場に入り込むことができるため、盗むらしいです。(盗まれた現場では無理だが、同じ会社がやっている別の大規模修繕工事の現場に入り込める)
こういう「犯罪」というのは、大きなマンションほど、やりやすくなります。うちのマンションでもそうだったのですが、実は、大きなマンションの修繕工事では、元請けが下請けを雇う際に「東棟はA社さんに任せる。西棟はB社さんに任せる」といった「分担」が行われることがあり、A社の人間もB社の人間も、どっちも、元請けが配布した、元請けの社名入りのベストを着ていますが、中の人間は、「俺はA社の関係者なら顔がわかるけど、B社の関係者は誰だか全然わからないよ」ということがあり、現場監督でさえも、不審者が紛れ込んでもわからなかったりするのです。このへんも盲点です。
というわけで、現代の大規模修繕工事では、「住民が被害にあう盗難」の防犯だけではなく、工事業者の防犯も考えないといけないことになっているのです。「コンプレッサーが盗まれたので、今日は作業ができない。どこかから借りてこなくては。作業は明日に延期だ」なんてことも起きます。
こういったことまで、神経の回る、コンサルタントやマンション管理士じゃないと、大規模修繕工事のことを任せてはいけません。それほど、大変だってことです。
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