管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
節分の豆撒きの後始末に苦労してます 2 & アルコープの解釈 |
長年管理人業をやっていると、「過去の経験」というのが蓄積されて、「予防線を張る」ということをできるようになります。
例えば、「節分の豆撒き」。
過去にこのような記事を書いているので、その苦労話をまずは読んで下さい。「共用部分に撒いた豆を掃除するのは管理会社の仕事」と当然のように思っている住民がいっぱいいるのに悲しくなります。
そんなわけで、本日2/1に、2/3に向けて、「ベランダから外に撒かないで」「駐車場の車の屋根にあてないで」「共用廊下で撒かないで下さい。撒いたら自分で掃除して下さい」といった注意書きを作成し、掲示しています。
掲示しても、みんな無視して好き勝手しますので、たいした効果はないんですが、何もしないと「清掃員さん」が、「掃除する人の立ち場になってよ!」と怒るので、いちおう「対策はしてますよ」ということを示しておきます。まあ、「豆まきはゴミのポイ捨てと同じです」ってことを住民の皆さんに少しでも知ってもらうためには、このくらいのことはしないといけません。
さて、この「撒いた豆の掃除」の時に問題となるのが、「アルコープ」というものです。
新しいマンションほど、多いのではないでしょうか? 当マンションは古いマンションですが、一部の部屋には、このアルコープが設置されており、規約上も、「ベランダ」と同様に、「専用使用権のある共用部分」ということになっています。(使用料は無料)
この「アルコープ」というものも、その形状がいくつかあって、ややこしいものです。
@玄関扉の部分が他の壁よりもくぼんでいるもの
特に「柵」のようなものはなく、ただ、へこんでいるだけです。自転車を置けるほどの広さはありません。これは、「扉を開けた際に、廊下を歩く人にぶつからない」とか「扉をあけて来客と応対しているところを他の人に見せない」とか、安全面やプライバシー配慮で作られたものだと思います。
A一戸建ての門扉をイメージさせるような、「ポーチ」と呼ぶほうが適当と思われるようなもので「柵」のないもの
幸い、当マンションでは、ここまで立派なアルコープはないのですが、近隣のこういうのがあるマンションでは、「傘立て」を置いたり、「三輪車」を置いたり、「自転車」を置いたり、「冬用タイヤ」置いたり、「物置」を置いたり、ここで洗濯物を乾かしたり・・・・ いろいろ使われています。(※使用細則的にはアウトのはずですが、住民は、そんなの関係ないわけで。)
B Aのようなアルコープで、かつ、その入口に「柵」というか「門扉」が設置され、よりいっそう「自分専用のもの」感をアピールしているもの
こんな感じですね。角部屋なんかだと、もっと広いものもあります。これくらいになってくると、インターホンや新聞受けが、この門扉のところに設置されていたりします。
さて、「豆まきの掃除」という観点で、上記3種類のアルコープを考えると。
@は「共用部分感」が強く、住民としては、この部分に豆が落ちていたら、管理会社が清掃するものである、と思う率が高いです。
Bは、「専用部分感」が強く、住民としては、この部分で豆まきをしたら、「後始末は自分でしないといけない」と思う率が高いでしょう。
問題は、Aのケースでして。「共用廊下の続きなんだから、管理会社で掃除するのが当たり前でしょ?」(実際、ポリッシャー等を使用した機械による特別清掃なんかは、この部分まで掃除します)と思う住民もいれば、「ここはうちのスペースよ。勝手に中に入らないでよ」と考える住民もいて、住民によりけりです。
ご近所のマンションの管理人さんで、Aのケースで、節分の翌日に、このアルコープの中の「撒かれた豆」を「親切心」で掃除をしたらしいのですが。管理人さんご本人としては、「正規の仕事じゃない無料奉仕」なのに、「なんで、うちの場所の中に勝手に入って掃除をしたのよ」と怒られたそうです。
このように、同じ「アルコープ」でも、「掃除してくれてありがとう」と思う住民もいれば、「自分のテリトリーに無断で入った」と怒る人もいます。難しいものです。
ですから、アルコープのあるマンションは、分譲時にきちんと詳細な「使用細則」を制定し、管理委託契約の「清掃仕様書」の中にも、この部分の清掃の有無をしっかりと明記すべきと思います。
アルコープ。悩ましい存在です。
<お願い> 当HPは閲覧に際し、購読料をとることはしておりません。有料メルマガなどもありません。でも、もし、ご協力いただけれるのであれば、アマゾンで買い物をする際は、このバナーよりアマゾンサイトに入って購入して下さい。当貧乏管理人の生活費の足しになりますので。なにとぞ、よろしくお願いします